小さな象
ガジ丸という名前でHPを作り、沖縄の草木や動物を紹介するようになって13年が過ぎた。草木については若い頃から興味があって多少のことは知っていたが、動物についてはあまり関心が無く、特に昆虫についてはほとんど知識が無かったのだが、13年も経つと、記憶力の弱い私の脳味噌でもいくらかは知識となって残っている。
甲虫類には有名なカブトムシ、クワガタムシ、コガネムシの他、カミキリムシ、テントウムシ、タマムシ、ハムシ、ゴミムシなどの種類がいることを知った。そして、ゾウムシなる名前の種類がいることも知った。小さいのに象と名がつく甲虫の種類だ。
ガジ丸HPの目次を確認すると、ゾウムシの類はこの13年間で7種を紹介している。そして何と、私の軟化脳がその全てのだいたいの見た目を覚えている。その7種は大きいものと小さいものに別れるということも覚えている。具体的には覚えていないので、それは調べる。大きいものは概ね12ミリ内外、小さいものは6ミリ内外であった。
畑にクワの木が多くあるからだと思われるが、よく見かけるものにオキナワクワゾウムシがいる。これはまた、体長13~15ミリ内外と大きいのでよく目立つ。
去年(2016年)5月、虫除けネットにしがみついている小さな黒い虫に気付いた。とても小さいが、私の、接写もできるデジカメのファインダーで覗いてみたらゾウムシのようであった。「ゾウムシのようであった」と気付いたのも、この13年間の勉強のお陰である。被写体の小さな虫は鼻(のように見える、実際には口吻)が長かった。
写真を撮って、後日何者か調べ、バショウコクゾウムシと判明。今まで見た小さなゾウムシ、例えばアリモドキゾウムシやコフキゾウムシに比べても小さい。それらは体長6ミリ内外だが、バショウコクゾウムシは4ミリ内外しかない。それでも鼻(口吻)はちゃんと長い、形としては象の名に恥じない形をしている。それにしても、小さな象である。
バショウコクゾウムシ(芭蕉穀象虫):甲虫目の昆虫
オサゾウムシ科 沖縄島、奄美大島、ハワイ、、熱帯アジア、他に分布 方言名:不詳
名前の由来、資料が無く正確には不明。コクゾウムシは米を食うということで有名なあのコクゾウムシ。コクゾウムシは広辞苑にあり、穀象虫と表記され「オサゾウムシ科の甲虫。体長約3ミリメートル・・・幼虫は米粒など貯蔵穀類の中にすみ食害する」のこと。最初私は、本種の体色が黒いので黒象虫かとも考えたが、本種とコクゾウムシは同じオサムシ科であり、見た目もよく似ていることから穀象虫とした。
本種の寄主はバナナ、イトバショウで、バナナとバショウは同じバショウ科の植物、イトバショウは糸芭蕉と表記し、繊維を採る芭蕉、バナナは実芭蕉とも表記され、果実を採る芭蕉となる。寄主が芭蕉の類なのでバショウと頭に付いたものであろう。
体長3.5~4.2ミリと小さなゾウムシ、3ミリのコクゾウムシより僅かに大きい程度。バナナやイトバショウなどの腐りかけた茎の内側に生息し、同じような場所に生息するバナナツヤオサゾウムシに比べ個体数は少ないとのこと。成虫の出現は周年。
斜めから
記:2017.9.21 ガジ丸 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行
『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
『日本原色カメムシ図鑑』友国雅章監修、全国農村教育協会発行
『原色昆虫大圖鑑』中根猛彦他著、株式会社北隆館発行
伊豆といえば『伊豆の踊子』がすぐに思い浮ぶ。川端康成作の小説であることも知っている。観てはいないが、山口百恵主演で映画化されたことも知っている。山口百恵の顔が思い浮ぶ。イイ女だった。見た目だけでなく心も美人であろうとその顔から想像された。彼女と結婚したら幸せな人生を送れるだろうなと想像できた。目に浮かんだその顔はもう40年くらい前の顔、私の青春の頃、ついでにその頃を思い出す。あー懐かしや。
17、8年前、伊豆を旅したことがある。修善寺温泉に一泊した。夕方まで宿の近辺を散歩、修善寺の町並みは私の好みだった。夕飯前には宿に戻り、美味いものを食い、美味い酒を飲み、ゆったりと星空を眺めながら露天の湯に浸かり、日頃の疲れが全部流されたような癒しの旅となった。そして、癒しの最後にマッサージを頼んだ。
マッサージ師は若い女の人だった。しかも可愛い人だった。オジサン(私)は、柔らかい手で身体を揉みほぐされて幸せであった。「あぁ何てラッキーなんだろう」と思った。マッサージが終わって暫く話をした。「明日、案内します」と彼女は言う。一般には公開されていない修善寺の本堂の庭を案内してくれるという。彼女は禅をやっていて、住職と知合いなのだそうだ。「あぁ何てラッキーなんだろう」と思った。
伊豆といえば、そんなことも思い出した。翌日、彼女に修善寺の本堂を案内されて、さらに多くを語りあったのだが、その頃既にオジサンとなっていた私には『伊豆の踊子』のようなラヴストーリーは生まれなかった。可愛かっただけに、今思うと残念。
※修善寺は「静岡県伊豆市の地名。伊豆半島北部の温泉地。」(広辞苑)
シマイズセンリョウ(島伊豆千両):添景
ヤブコウジ科の常緑低木 九州南部以南~南西諸島、他に分布方言名:ミラシンクヮ
名前の由来、近縁種にイズセンリョウがあり、イズセンリョウは広辞苑に伊豆千両と漢字表記があって「ヤブコウジ科の半蔓性常緑低木。東海以西、特に伊豆山神社に多いので命名」とのこと。センリョウについては、ガジ丸HPのセンリョウの頁に私の推測を述べている。「(センリョウの)名前はおそらくおめでたい名前。赤い実が縁起の良いものとして金千両の価値があるということなのであろうと思われる。」とのこと。頭に島が付いているのはその分布が「九州南部以南~南西諸島」だからであろう。
分布は上記の他、台湾、中国南部ともある。近縁種にイズセンリョウがあり、関東南部~九州、沖縄島に分布する。本種の葉は波状鋸歯縁が荒く目立つが、イズセンリョウの葉は鋸歯の切れ込みが低いか、または全縁とのことで、判別はできるとのこと。
低地や山地の林内に生育し、高さ1~3m、分枝が多く、横に広がる。花序は腋生で、長さ3~6センチ。花柄がいくつもに分かれ鐘形の花が多数つく。花色は白、開花期についての資料はないが、文献の写真は3月で私の写真も3月。果実は球形で白く熟す。
花
記:島乃ガジ丸 2017.9.16 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行