ギリシャのデフォルトが現実味を帯びてきた。
自分の知識では、ギリシャは華やかなエーゲ海文明の担い手で、今に名を残す哲学の偉人が思索を深めた国との認識であったが、意外なことに1821年の建国以来200年に満たない国で、日本では伊能忠敬が日本地図を完成させた年でありペリー来航の30年前のことであることに驚いた。経済危機は数年前の赤字隠し発覚を契機に顕在化し、EU諸国から経済再建を強いられ、緊縮策を提示されていた。国家公務員の数が全国民の20%という体質と赤字にもかかわらず充実した福祉等、赤字経済はむべなるかなの感があった。にもかかわらず、経済赤字顕在直後の総選挙で、政権を握ったのは『緊縮政策NO』の政党であった。デフォルトの危機が秒読みの今も、緊縮政策採否の国民投票を行うと宣言し、10日間程度の返済期限延伸に成功したものの財政再建の具体策を採ろうとはしていない。これは民意を盾にしてユーロ圏からの更なる支援を得ようとする姑息な手段としか思えず、『自国民の楯』による綱渡り外交と呼べるのではなかろうか。しかしながら、ユーロ圏のひび割れに乗じて表明された中国の経済支援の申し出を切り札として、中国の地中海進出を喜ばないNATO諸国に踏絵を迫るしたたかさも窺える。
3000年前のギリシャ人は、単一民族国家として団結するよりも自己の主張と権益を守るために都市国家として繁栄することを選んだ国民である。今回も、小異(私欲)を捨てて大同(緊縮政策)に付くことなくデフォルトを迎えるのではないかと思う。