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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

オオカミ犬を学ぶ

2021年06月13日 | 社会・政治問題

 長野県でブリーダーに飼育されていたオオカミ犬が逃げ出し、無事に保護(捕獲)されたことが報じられた。

 犬事情に暗いこともあって、オオカミ犬とは何ぞや、と調べて見た。
 ウイキペディアの記述を要約すると《狼犬(おおかみいぬ、ろうけん)はイヌとオオカミの交雑犬で、英語ではウルフドッグなどと呼ばれる》《オオカミとの交配はシベリアン・ハスキー等の大型犬と行われ、オオカミの血が75%以上のものをハイパーセントと呼び、外見がオオカミにより近いために好まれる》《知能は高く、性格的には独立性・野生味が強いために警戒心が強い反面、信頼関係が築ければ家犬よりも従順である》とされているが、管理が難しいことから日本での飼育頭数は少ないらしい。
 一方、生まれ育った九州では、古老から聞いた昔話には「狼が人に憑いた犬神様」がしばしば登場した。筋立ての詳細は忘れたが、犬神様は人間に対して、ある時は富貴・恩恵を与えたり、ある時は害を為したりと、説明の煩わしい展開は全て犬神様で片づけられていたように記憶している。柳田国男氏ほどの知識欲と好奇心が有れば収集・記録していたであろうが、笑ったり・怯えたりで終わってしまった。
 犬神様についての自分の経験はその程度であるが、ウィキペディアに記述された「犬神」信仰は複雑かつ陰湿で、民差別と同様に村八分の対象であったり、結婚話が壊れたりという悲劇があったとされている。1977(昭和52)年に出版された「日本の憑きもの 俗信は今も生きている(石塚尊俊著)」では、《犬神信仰は、キツネ憑きとともに、西日本に最も広く分布する憑き物で、近年まで、大分県東部、島根県、四国の北東部から高知県一帯においてなお根強く見られ、大分県速見郡山香町(現・杵築市)では、実際に巫女がこのように(手段:略)して犬の首を切り、腐った首に群がった蛆を乾燥させ、これを犬神と称して売ったという霊感商法まがいの事例があり、しかもこれを有り難がって買う者もいたという》となっているが、犬神様が昔話の範疇になっていたという自分の体験から見ると眉唾のように思わざるを得ない。

 千葉県で怪鳥が捕獲され、神奈川県ではニシキヘビが屋根裏に潜み、と続いた飼育動物の逃亡・捕獲劇に狼犬が加わったが、いずれも飼育・管理が難しく、素人が飼えるものでは無いように思える。
 アライグマ・ミーアキャット・インコは野生化して今や全国に広がり、ブラックバス・ブルーギルによって日本の古来魚種は激減しているとされる。動物愛好者は奇種を好んで絶滅危惧種にまで入手を試み、素人でも容易に飼育できる動物は繁殖力が旺盛であるために逃げた場合には生態系を壊しと、自然界と人間界のバランスを保つことは容易ではないようであるが、オオカミ犬と聞いて犬神様に辿り着く発想も、自慢できるものでは無いだろう。と反省。