もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

盾形の鏡を知る

2023年01月30日 | 歴史

 日本最大の円墳とされる奈良市の「富雄丸山古墳」で盾形の鏡と蛇行剣が発見されたことを知った。

 富雄丸山古墳は4世紀後半に作られたとされているが、当時は既に前方後円墳が主流となっており、特に大和政権の権力者の墳墓は巨大化している中で、一時代前の円墳であることや発見された鏡と剣が玄室ではなく墳丘の張り出し部に収められていたことなどから、大和政権や大和文化とは一定の距離を置いた有力者の墳墓である可能性が指摘されている。
 盾形の鏡(高さ64㎝、幅31cm)はこれまでに出土したことが無く、剣(長さ230cm)の長大さも他に類を見ないとされており、いずれもが国産であることから、当時の技術水準の高さを示すとともに独自のデザインからは日本人の創造性の高さが窺い知れる。
 出土した鏡と剣は、現時点でも国宝級とされているが、今後の調査によっては新たな発見があるとともに、古代史・古代政権に関する新事実が明らかになることだろうと期待している。

 今回の発見を知って、日本産品のガラパゴス化は今に始まったことではなく、1500年以上も前に始まっていたのかと思った。
 ガラパゴス化の成功例としては、7世紀に輸入された表意文字である漢字を加工して表音のために仮名とカタカナを案出して倭語に適応させることで世界で最も難解な文字を操る文化を作り出したが、このことが世界に先駆けて女性文学者を生み出し、明治維新の西洋文化の吸収・膾炙に大きく貢献したとされていることが挙げられると思う。
 一方、失敗と呼ぶのは失礼かとも思うのだが、かって世界市場を席巻したテレビ等の白物家電が、国内消費者向けに多機能化を競った結果、単純明快な機能で良しとする国外では売れなくなってしまった。また、携帯電話も同様で「ガラパゴス携帯」なる新語を招いてしまったように思える。

 技術であれ思想であれ、移入・輸入したものを国内で深化させて自家薬籠に特化させることは望ましいことであると思うが、国外との関係を断ったガラパゴスにまで発展させてしまうことは危険であるように思う。
 アメリカの、それも一部左傾将校の押し付けた憲法を変えることなく、非戦にまで深化させたことを再考し、世界基準に適合させようとする現在の動きは必然に思える。
 本日の産経新聞「正論」で東京国際大学特命教授の村井友秀氏が、専守防衛を《毛沢東が愚か者の戦略と述べている》と書かれていた。
 専守防衛を国是としたウクライナでの市民の惨状・犠牲を観ると、必然的に領土内が戦場となる専守防衛は世界基準とは呼べないガラパゴス戦略と化しているように思えるが。


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2 コメント

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盾形の鏡と剣 (雨上がりのペイブメント)
2023-01-30 21:29:54
 盾形の鏡と剣。
 謎の多い、それ故にとても興味を掻き立てられる発見ですね。丁度今日朝日新聞で件の記事を読んでいたところでした。続報わかりましたら楽しみにしています。
 ブログを拝見し、いつもながらの見識の深さと論理の明快さに感服しています。今回も、私だったら「盾形の鏡と剣」だけで論を結んでしまうところ、「ガラパゴス化」にまで論を広げられる見識に脱帽です。

 
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おはようございます (管理人)
2023-01-31 08:19:35
雨上がりのペイブメント様
コメントを有難うございます。
体系だった知識に欠けるために的外れ・独りよがりに陥る可能性を自覚したうえで、ボケ防止の意味から「Qアノン」的でない推論・考察を加えています。
貴ブログに追いつくように頑張ります。
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