もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

特攻隊員の記事を読んで

2015年04月01日 | 社会・政治問題

 特攻戦死した陸軍少年航空兵の記事を読んだ。

 思い返せば、自分の艦艇勤務の初期(昭和30年代後半)には、軍歴を有する猛者が随所に居た。真珠湾攻撃従軍者、空母飛龍からの生還者、艦攻『天山』の操縦員、海兵・予科練・海兵団の修了者、等々きら星のようであった。その方々に共通したのは、若年者の内務的な過ちや平易な事象については極めて穏やかで大きな声を出すこともなかったため、若年者の自分達は軽んずるとまではいかないものの「海軍なにするものぞ」の気持ちでいたが、一旦緊急事態に遭遇するや冷静沈着かつ大胆に率先する指揮者に変身して事に当たられた。しかも、際立っていたのは技量未熟者の安全確保を最優先する姿であった。戦後の映画、文芸、報道が一貫して、古参兵の新兵いじめを取り上げているが、多分それらはレアケースをオーバーに、センセーショナルに取り上げていったものと思う。艦艇システムの全力発揮の為にも、システムの底辺に携わる技量未熟者を保護しなければならないとする風潮が存在したものと思うし、階級の上下を問わずにOBの殆どが帝国海軍に郷愁を持ち続けた事実からも窺える。海軍には『サイレントネービー』の伝統があった。本来は軍人の政治への発言を禁じたものとされているが、レイテ謎の反転の栗田中将が無言を貫いたように、海軍の毀誉褒貶に対しても黙して語らずの諸先輩が多かったように思う。

 生死の境目で究極の選択をした諸先輩に 合掌

 


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