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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

”山粧う”と郭煕

2023年09月22日 | 美術

 TBS番組の「プレバト」で、随分前に「山笑う」が春の季語であることを知ったが、一体何のこと?と思っていた。

 本日の産経抄で、由来は北宋の画家「郭煕の画論『臥遊録』の「春山淡冶にして笑うが如く、夏山蒼翠にして滴るが如く、秋山明浄にして粧うが如く、冬山惨淡として眠るが如く」であり、春「山笑う」・夏「山滴る」・秋「山粧う」・冬「山眠る」がそれぞれ季語と扱われているらしい。
 郭煕(かくき:1023年-1085年)は、北宋の山水画家で字は淳夫とされている。日本では平安時代中期に当るが、中国では北宋時代で、水滸伝の題材とされる宋江を首領とする36人が実在の梁山泊の近辺で反乱を起こしたのが1121年であるので、北宋文化の爛熟期若しくは退廃初期に当るようである。

 何故に季語の話題かと云えば、現在「歌謡シリーズ第5弾」として、秋の里山「柿の木坂の家」を描こうとしているがイメージに行き詰っている。成る程!!「秋は粧うイメージか」と道が見えてきたが、描くとすれば俳句で表すと同じくらい困難であるように思える。
 これを機会に、郭煕もPC美術館に収集するかと思い立ったが、現在までに発見できたのは1枚(幅)のみである。


早春図(台北国立故宮博物院)

 


大椿裕子議員の公開資産に思う

2023年09月21日 | 野党

 大椿裕子参議院議員(50歳)の公開された資産が、預金105万円とされている。

 大椿議員は、社民党の副党首で先の参院選挙での吉田忠智(立憲民主党)氏の議員辞職に伴っての繰り上げ当選である。
 人様の懐具合を云々するのは慎むべきであり自分でも忸怩たる思いがあるが、大椿議員が「蓄財に頓着しない、清廉な井戸塀政治家」であるとしても、50歳女性の資産が105万円とは頷けない思いがする。
 大方の一般的50歳女性と云えば、既婚者であれば「夫の不意に際しても葬式代くらいの自分名義預貯金を確保」しており、未婚者であれば「老後不安に備えて幾ばくかの預貯金・金融資産を考える時期」であると思う。大椿議員の私生活などは伝えられていないので節税対策や危機管理のために資産を分散されておられるのかも知れないが、公になっている経歴などから見ても105万円の資産とは如何なものであろうか。
 大椿議員の来し方やWikipediaの記事を眺める限りでは、紛うかたなき「残り少ない社民党闘士」とお見受けするので、憲法特に9条堅持は当然のこととするものの、《「日本人の日本人による日本人のための政治をする人を選ぶ」と言うのがそもそも間違いです。国籍にかかわらず、この国で暮らす人々のことを考えるのが政治です。》という主張は再考して頂きたいものである。
 「同化しない異教・異境の民」が移住地の文化と秩序を破壊する現状から、マクロン、メルケル両氏の様な中道左派色の指導者と雖も「節度ある移民政策」に転舵を余儀なくされていることを観れば、大椿議員の主張は明日の日本を独仏米並みの混乱に投げ入れることに繋がるように思える。また将来的な危惧は置いても、既に顕在化している近隣トラブル、医療保険制度の悪用、治安の悪化、不法滞在者の収監・強制送還などに国費を含む多くの資源が浪費されていることなどをも、冷静に学んで欲しいものである。

 公開資産云々とは別であるが、比例名簿4位である大椿議員の繰り上げ当選にも釈然としない思いがする。名簿2、3位が辞退しためとされているが、副代表を議場に送るための忖度は無かったのであろうか。
 自分の様な勘繰りが生まれる素地を持つことを思えば、比例選挙は無くすべきではないだろうか。「地域には密着していないが、全国的に活動する知識人などを議場に送るため」とされている比例選挙であるが、選挙区立候補者の保険であったり、名簿記載者を1年ごとに議員にするという荒業を公言する政党もあったことを思えば、比例制度の目的も色あせて見える。


「別班」を考える

2023年09月17日 | 自衛隊

 陸上自衛隊に「別班」という秘密情報部隊が存在するとされていることを知った。

 脚光を浴びたのは、現在放映中の連続ドラマ「VIVANT(ヴィヴァン)」で、堺雅人氏演じる主役の所属が陸上幕僚監部運用支援・情報部別班(通称:別班)とされていることが契機であるらしいが、実は、2013年11月に共同通信専任編集委員の石井暁氏が、「陸上幕僚監部運用支援・情報部別班が、冷戦時代から首相や防衛相(防衛庁長官)に知らせず、独断でロシア、中国、韓国、東欧などに拠点を設け、身分を偽装した自衛官に情報活動をさせてきたことが分かった」と報じたことが発端であるらしい。
 「別班」は都市伝説に近いものかと云えば、既に国会での質疑や安倍内閣時の菅義偉官房長官が記者会見で存在を否定しているなど、別班の存在に関してはQアノン好事家のみならず国会議員や官房長官の会見に参加できるレベルの記者も半信半疑ながら無視できないものであるらしい。
 自分の考えを先に述べると、「独立国として情報機関は当然に持つべきで・持って欲しいが、秘密機関については国内法と予算の壁から自衛隊は持っていない」と考える。
 特に重要な点は、若し政府に隠れて自衛隊が独自・隠密に対敵情報・テロ情報などを得たとしても、その情報を生かす・若しくは独自(政府に隠密)に反撃する術を持たないことから、情報入手に危険を冒すメリットが全くないことである。情報が価値を持つのは、その情報に対処できる意志と手段を持っていることが絶対条件であり、例えば「金の価格が高騰している」という情報も、金相場に興味があって資金を持っている人には貴重であるが、興味がなかったり資金を持たない自分には利用価値の無い噂話に過ぎない。
 別班問題に火をつけた石井暁氏は、情報の価値と意義に無知であったために別班と云う格好の噂に飛びついたものであろうし、テレビの逆取材に対して別班OBの証言を得ているとしている点についても慰安婦強制連行の吉田清治氏に近いように思える。

 古来「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」と云われるように、戦争・軍備に反対する人は往々にして軍人(自衛官)=悪人と思い込み、挙句には「悪人であるからには良からぬことをしているに違いない」まで発展させる。情報の価値・自衛隊の能力・流用できない予算制度、会計検査制度などを総合的かつ冷静に見れば、別班は荒唐無稽なものと解るはずである。
 何よりも、自衛官はシビリアンコントロールを信奉していることを理解して欲しいものである。


矢田稚子氏が総理補佐官に

2023年09月16日 | 野党

 前参議院議員で国民民主党副代表の経歴を持つ矢田稚子氏が総理補佐官(賃金・雇用担当)に任命された。

 不勉強の所為で矢田氏について知らなかったのでWikipediaにお願いしたが、軟弱化した現在には珍しい「苦学力行」の方とお見受けした。
 矢田氏の総理補佐官受諾に対しては、野党分断の狙い、連合(電機連合)の取り込み、国民民主党の連立参加布石、と喧しいが、矢田氏個人の政治活動の延長線上の必然と見るべきであるように思える。
 先の通常国会の予算委員会では、予算に関する質疑は20%に満たず、それ以外は閣僚・与党議員の資質や不正疑惑の追及で占められていたとされるが、本会議で反対票を投じた立民の公式見解は「審議が尽くされていない」であったとされている。予算審議の場にあって「閣僚の箸の上げ下し」を国家の一大事と攻撃する作戦は、政権運営と内閣支持率維持に苦悩する政府から多くの譲歩と来年度予算の修正を勝ち取ったであろうかと思いきや、政府原案から1円の修正も成し得ていない。
 野党の政治家を大別すれば、空理・空論に近い思想を玉条として意に添わぬ政権・政策を全否定する理想派と理想実現のためには政権の意思決定にも関与する実務派に大別できるのではないだろうか。政治家個人の労度・負担を考えると、理想派は攻撃材料を発見(週刊誌等で十分)して委員会の場で火を点ければ仕事の大半は終わったも同然で、後はメディアや世上の沸騰に委ねることで使命は果たせる。一方、実務派は現状の問題点と原因を調査・考察して改善策を見つけ出すことを出発点とし、法制化に当っては党内・政党間・官僚の根回し・説得が必要となることから、実務派の活動Mhは理想派に数倍するのではないだろうか。

 既に政界から距離を置いている矢田氏であるが、来し方・主張をWikipediaで見る限り、今回の補佐官受諾からは実務家として「主張の一部でも実現したい」、「問題点の一部でも解決したい」、との心情・熱情が窺い知れる。
 外交辞令・永田町言葉であるかもしれないが、矢田氏と行動を共にした経歴を持つ国民民主党の榛葉幹事長の「政局で捉えるのは矢田氏に申し訳ない」とのコメントが一面の真実を伝えるものと思いたい。
 矢田氏にあっては、外野の思惑・中傷に迷うことなく、所掌する賃金・雇用に関して実務経験に根差した提言を期待したい。


上瀬谷通信施設跡地利用

2023年09月15日 | 国政・行政

 2015年6月30日に全面返還された米海軍上瀬谷通信施設跡地の利用計画が漸くに動き出したことが報じられた。

 上瀬谷通信施設は、当初は米海軍の通信(送受信)施設とされていたが、1960年9月に上瀬谷通信施設に勤務していたNSA(国家安全保障局)職員2人がソ連に亡命して、NSAの指揮下で電波傍受・暗号解読・分析・通信保全などを主任務としていることを明かした。それまでアメリカ政府はNSA自体の存在を認めていなかったが、この亡命を機にNSAの存在が明らかとなったという因縁の施設である。
 その後、冷戦の終結や先進国の軍用通信が衛星中心となったことから、上瀬谷の機能は順次三沢や沖縄に移されて、返還時は無人であったとされている。
 そんなこともあってであろうか、パーティーなどで「所属は横浜BASE」という軍人には、それ以上聞かないのが礼儀であったし彼等もさりげなく話題をそらせたものである。
 上瀬谷基地の面積は2.5㎢(250ha:250町歩)と広大であるが、所有者が国有地 45.2%、市有地9.4%、民有地45.4%と複雑であるために跡地の再開発は中々に進展しなかった。返還後には宅地開発が有力視されたがアクセスや将来所要に難があることから頓挫し、USJを模した映画会社とタイアップするテーマパーク構想には乗ってくる会社が無く、漸くに平成9年度に花博会場として使用されることが決まっていた。
 今回の再開発計画は、花博終了後に三菱地所が主導して「テーマパークを核とした複合施設」を整備し、年間入場者数も当初1,200万人、将来的には1,500万人と予測されているが、大勢のリピーターに支えられるミッキーのような突出したキャラクターがいないこともあって、「サぁ!どうだろう」の危惧は拭えないようにも思える。

 上瀬谷跡地の様な首都圏にも近いために変換地には民間ディベロッパーも触手を動かすが、過疎地域の米軍用地が返還された場合にはそうはいかないように思える。基地交付金を減額される自治体、借地料を得ていた地権者は言うに及ばず、基地雇用者や米軍人相手の商売人まで80年続いた生活設計の大幅修正を余儀なくされだろう。土地にしても、人里離れた演習場などは返還後に荒れ果てて放置されることは間違いないだろう。
 さりとて、有効な対策を提示できないが、戦略・戦術・武器の変化に伴って、米軍から返還される用地は今後も増えるように思える。日本国の土地を取り戻すことは慶事とすべきであろうが、そこには悩ましい問題が連れ子として同伴していることを覚悟しておかなければならない。