難病患者がヘルパー派遣や短期入所を活用できる「難病患者等居宅生活支援事業」の利用が伸び悩んでいる現状について、事業主体の20市町の担当課に取材したところ、13市町が「周知などは行っていない」と回答した。対象となる難病患者が自治体では十分把握できないのも消極的な要因の一つとみられ、支援者らは「患者が積極的に活用できる環境整備を」と訴えている。
同事業はホームヘルパー派遣や一時的に医療施設などに入る短期入所を実施する。国が臨床調査研究をしている130疾患と、関節リウマチ患者が対象。障害者自立支援法や介護保険のサービスを受けていないことなどが条件になっている。
県によると、06~10年度に県内でヘルパー派遣を利用したのは佐賀市の1人だけ。短期入所はゼロ。制度を知らない当事者も多いとみられ、利用促進の取り組みについて、20市町の担当課に尋ねた。
ホームページ掲載などで制度について情報発信をしていたのは、佐賀、唐津、鳥栖、小城、嬉野、神埼市と、白石町の7市町。他の市町は「相談があれば対応する」「利用実績もないので、考えていない」など、消極的な回答が多かった。
多くの自治体から漏れたのは「対象者が分からない」という声だった。
県健康増進課などによると、特定疾患の56疾患患者(10年度で5334人)は医療費助成を受けており把握できるが、それ以外の対象患者はどこに何人住んでいるか情報がつかめない。この結果、当事者が気付いて申請しない限り、制度を利用できないという現状がある。
一方で「災害時要援護者の登録リストを作成する際、同意してもらった難病患者には紹介している」(玄海町)など、柔軟な対応を心がけている自治体もあった。
制度の利用は全国的にも伸び悩んでいる。10年度の実績(福島県は郡山、いわき市のみ)はホームヘルプで実施率8・3%、短期入所は同0・3%にとどまっており、制度自体の使いづらさを指摘する声もある。
毎日新聞 2012年1月25日 地方版
同事業はホームヘルパー派遣や一時的に医療施設などに入る短期入所を実施する。国が臨床調査研究をしている130疾患と、関節リウマチ患者が対象。障害者自立支援法や介護保険のサービスを受けていないことなどが条件になっている。
県によると、06~10年度に県内でヘルパー派遣を利用したのは佐賀市の1人だけ。短期入所はゼロ。制度を知らない当事者も多いとみられ、利用促進の取り組みについて、20市町の担当課に尋ねた。
ホームページ掲載などで制度について情報発信をしていたのは、佐賀、唐津、鳥栖、小城、嬉野、神埼市と、白石町の7市町。他の市町は「相談があれば対応する」「利用実績もないので、考えていない」など、消極的な回答が多かった。
多くの自治体から漏れたのは「対象者が分からない」という声だった。
県健康増進課などによると、特定疾患の56疾患患者(10年度で5334人)は医療費助成を受けており把握できるが、それ以外の対象患者はどこに何人住んでいるか情報がつかめない。この結果、当事者が気付いて申請しない限り、制度を利用できないという現状がある。
一方で「災害時要援護者の登録リストを作成する際、同意してもらった難病患者には紹介している」(玄海町)など、柔軟な対応を心がけている自治体もあった。
制度の利用は全国的にも伸び悩んでいる。10年度の実績(福島県は郡山、いわき市のみ)はホームヘルプで実施率8・3%、短期入所は同0・3%にとどまっており、制度自体の使いづらさを指摘する声もある。
毎日新聞 2012年1月25日 地方版