ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

視点 廃止は自明ではなかったのか(下)

2012年02月23日 02時21分07秒 | 障害者の自立
                 日本障害者協議会常務理事 藤井 克徳

 「自立支援法は廃止でなく一部改正で」、障害者総合福祉法を模索する一方でこうした論調が
台頭している。自立支援法を推進してきた旧与党が「一部改正」の立場に立つのは驚く話では
ない(自民党と公明党をひと括りにするのは正確ではないかもしれないが)。厚労省についても、
骨格提言を取りまとめる過程でのコメントなどを併せみれば予想がつく動きだ。しかし、一部とは
言え民主党にみられる同調の動きは解せない。

 問題は、民主党の中になぜこのような論調が生まれるのかということである。返ってきた答を
まとめるとこうなる。「ねじれ国会にあって、法律案を通すためには野党の同意が絶対的な条件。
すべて壊れてしまうよりはトーンダウンしてでも歩み寄りが大事」と。さらに、「廃止では同意が得
られず、形としては「一部改正」でいくが意味は同じ」と続く。この部分だけを取り上げればそれな
りの論理に聞こえる。

 声を大にして言いたい。それは違うと。何よりも廃止を公言したのは民主党自身であることを忘
れては困る。国政選挙時のマニフェストに始まって、基本合意文書の締結、総理や厚労大臣の
国会での演説や答弁、推進会議主要部分の閣議決定等々、政権政党である民主党が関与して
の「廃止宣言」は、枚挙に暇がない。「立法技術上は一部改正も廃止も同じ意味」の論法も無理が
ある。霞が関や永田町では通用するかもしれないが、改正と廃止がイコールで結ばれるなどは、
市民感覚では詭弁としか聞こえない。

 むろん、重要なのは中味であり、壊れるなどがあってはならない。かと言って、手順や手続きが
どうでもいいことにはならない。廃止をくぐるのとそうでないのとでは、内容面への影響だけでは
なく、障害当事者による新法のとらえ方が全く異なろう。本質的な問題なのである。もう一つ言い
たいのが民主党の軸足である。政局を乗り切るには、与野党間の交渉力も重要だが、それ以上
に廃止宣言に拍手喝采を送った国民の思いとエネルギーを信頼することではないか。徹底して、
軸足を国民の側に置いてほしい。

 旧与党にも言いたい。ふり返れば、小泉政権の絶頂期に誕生したのが自立支援法であった。
制度の根幹に競争原理や「自己責任」論などの考え方が深く宿っていることは否定できまい。こうし
た考え方が障害者政策に似つかわしくないとする懸念は、当時の与党議員からも少なくなかった。
懸念が的中したからこそ、修復に継ぐ修復を重ねなければならなかったに違いない。一般的に考
えて、根幹に由来する問題は致命的な欠陥と同意義であり、修復という手法では限界があるよう
に思う。たしかに「つなぎ法」で改良が加えられたのは事実であり、その延長での「一部改正」とす
る政策手法もあり得るのかもしれない。でも、軟弱な土台の楼閣が永久に修復を重ねなければな
らないのたとえではないが、いま問われているのは土台そのもののあり方なのだ。

 加えて、自立支援法の制度設計時後に登場した障害者権利条約の存在を認識すべきだ。批准が
視野に入りつつあるこの国にあって、国際仕様でのチェックは立法府の責任と言えよう。そして、何
よりも骨格提言に真摯に向き合ってほしい。障害者政策をめぐる論議であれほどのメンバーがまと
まることは奇跡に近い。限界集落ならぬ「限界生活」にある障害のある人たちの厳しい実態に思いを
馳せればこその帰結と言える。「55人の総意」は軽くはないはずだ。今国会を足掛け9年におよぶ
自立支援法問題の終着駅としようではないか。

視点 廃止は自明ではなかったのか(上)

2012年02月23日 02時16分00秒 | 障害者の自立
 日本障害者協議会常務理事 藤井 克徳

 忘却曲線というのをご存知だろうか。人間の記憶というのは曖昧で、2週間ぐらいを境に
新たに覚えたことの大半は急カーブで遠ざかるとのこと。理不尽さなどを伴う衝撃的な出
来事となると話は別。「しこり」のようになって脳の奥深くに住み着くらしい。記憶のしこりを
障害分野との関係でみるとどうか。いくつもあろうが、最近ではいわゆる「つなぎ法」の国
会通過があげられよう。「つなぎ法」とは、正確には「障がい者制度改革推進本部等にお
ける検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活
を支援するための関係法律の整備に関する法律」で、ちょうど1年前の2010年12月3日に
参院本会議において採決が強行された。

 実は、この「つなぎ法」は、民主党の閣僚の一部からも「廃止が決まった自立支援法なの
になぜ"つなぎ法"が必要なのか」とあったくらいで、不可解さが残っていた。さらに不可解
さを助長したのは、同じ日の参院本会議で成立をみた法律だった。その名は「原子力発電
施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律」だ。当時の国会は、
野党が優位の参議院において内閣総理大臣に対する問責決議が提出され、空転したまま
閉会に向かっていた。事態は一転、閉会中審査の件で開いた本会議でこれらの法案があっ
さりと通ってしまった。問題は、二つの法律の間に政治的な取り引きがあったかどうかである。
ある与党議員は、問責決議提出下での法案成立自体が異例であるとした上で、「与野党の
双方から、こちらを通す代わりにこちらも」と言うのは珍しくないと漏らす。今を震撼させる原
発関連問題が絡んでいたとなると、これまた因縁染みた話ということになる。

 曰くつきの「つなぎ法」であるが、素直に捉えれば「新法へのつなぎ」ということになるが、こ
こにきて雰囲気が変わってきた。簡単に言えば、自立支援法の命をつなぐという意味での
「つなぎ法」に変質しつつある。自民党関係者からは「自立支援法を大改正したのが『つなぎ法』
で、これを修繕すれば事足りるはず」、こんな声が聞こえてくる。民主党からは、正式な見解は
ない。ただし、10月末から始まった同党ワーキングチームによるヒアリングの席上で、障害関
連団体に「骨格提言を生かした「つなぎ法」の改正でいいのではという意見もある。これをどう
思うか」といった趣旨の質問が投げかけられている。単純な質問とは思えない。そこに民主党
担当部署の本性を垣間見る思いがする。

 私たちの立場は明快だ。「廃止」の二文字に尽きる。自立支援法違憲訴訟に伴う基本合意
文書、骨格提言の真髄、新政権発足直後の鳩山由紀夫総理大臣や長妻昭厚労大臣の「廃
止宣言」、民主党の選挙公約、どこからみても廃止しかない。「つなぎ法」という根っこに、いか
に骨格提言を接ぎ木しようがまともな花など咲くはずがない。自立支援法問題で問われたの
は、まさに「根っこ」の部分(障害を自己責任とする考え方など)だった。結果的に現行の「つな
ぎ」法と共通になる点は少なくないかもしれない。しかし、廃止という一線を超えるのと、そうで
ないのとでは法の価値は全く異なるはずだ。法の理念や個々の施策にも有形無形の影響が
出よう。さらに心配なのは、万が一でも廃止が反故になった場合の政治や行政への不信であ
る。禍根は取り返しのつかないものとなろう。

 これ以上政争の具にしてほしくない。障害団体にくさびを打ち込むのも避けてほしい。与野党
を問わず、心ある国会議員の真摯な対応を、そして何より後世に恥じない立法府の毅然とした
姿勢と決断を期待したい。

*本稿は、2012年2月号に続きます。


衰弱死:障害児、自宅で 母病死…2カ月気づかれず 東京

2012年02月23日 02時08分10秒 | 障害者の自立
 東京都立川市のJR立川駅に近いマンションの一室で13日、死後2カ月程度経過した成人の女性と男児の遺体が見つかった。2人暮らしだった母親(45)と知的障害のある息子(4)とみられる。死因は女性がくも膜下出血で、男児は衰弱死だったようだ。男児がつけていた紙おむつの汚れがひどく、警視庁立川署は、母親が病死した後、助けを呼べなかった男児が1週間~10日ほど何も口にせず死亡した可能性があるとみて、身元確認を急いでいる。

 遺体が発見されたきっかけは、ガスがずっと使われていないことを知ったマンション管理会社から連絡を受けた親族が通報したことだった。立川署員が同行し、3階建てマンションの1階の1LDK(約50平方メートル)の鍵を開けて室内に入ると、女性は部屋の床に倒れ、男児はそばのソファに横たわっていた。

 捜査関係者によると、司法解剖でも男児の死因は特定できなかったが、水分や血液が失われて体重は10キロに満たず、胃の中には何も残っていなかった。男児が冷蔵庫の食べ物に手を付けた形跡はなかった。

 立川市などによると、マンションの家賃は10万円弱。住人の母親は無職とみられ、生活保護も受けていなかった。知人男性から援助を受けていた可能性があるが、マンションは2年前に建てられたばかりで、生前の状況ははっきりしない。男児は食事など日常生活に介助が必要で、母親は昨年5月、市が障害児のいる家庭に紙おむつを支給するサービスを申し込んでおり、市の委託を受けた業者が月に1回、自宅に届けていた。

 業者は、昨年12月上旬におむつを母親に渡したが、1月中旬に訪問した際は応答がなかった。連絡を受けた市の担当者は同月下旬、ケースワーカーを派遣したが、マンション玄関がオートロック式で立ち入れず、安否を確認できなかったという。市障害福祉課の担当者は「障害があるからといって定期的に訪問するのは、プライバシー尊重の観点から難しかった」と話す。

 母親はマンション住人ともあいさつ程度しか付き合いがなく、男児が保育園や幼稚園に通っていなかったことも発見の遅れにつながった可能性がある。1階の女性(29)は「子供に障害があるとは知らなかった。年末から郵便受けがあふれているのは気になっていたが、泣き声も聞こえなかった」と話し、別の住人は「ほとんど見かけることはなかった。2カ月ぐらい静かだったが、年末年始で帰省したと思っていた」と語った。

 さいたま市のアパートで20日に親子3人の遺体が見つかったケースと同様に、都会の真ん中で起きた悲劇。日本障害者協議会(新宿区)の荒木薫事務局長は「地域でのつながりがあれば子供は助かったかもしれない。プライバシーなど踏み込みにくい部分はあるが、おむつ支給サービスで関わっていた行政がもう少し対応できなかったのかと思う。声を出せない人に支援が届く態勢を考える必要がある」と話している。

2012年2月22日 15時0分 更新:2月22日 16時9分

また都会の孤独死 プライバシーの壁に阻まれ、幼い男児助けられず

2012年02月23日 02時02分09秒 | 障害者の自立
 都会の一角でまた、助けを求めることもできないまま「孤立死」した家族が見つかっていたことが22日、分かった。45歳の母親と知的障害を持つ4歳の次男とみられる。病気で急死したとされる母の横で、男児はなすすべもなく衰弱していったようだ。助けるチャンスはなかったのか。関係者の苦悩は深まる。

 オートロック、窓はシャッターで閉ざされ、外から部屋の様子はうかがえない。立川市のケースワーカーは1月中旬と下旬、2度にわたり女性宅を訪問したが、「プライバシーの壁」に阻まれ、“異変”には気づけなかった。

 「1回目に郵便受けにあふれていた郵便物が、2回目にはなくなっていた。長期の不在と判断してしまった」(市障害福祉課)。生活保護は受けず、保育園や幼稚園にも通わない。2人と行政の唯一のつながりだった障害児世帯向けの紙おむつの支給サービスも「都会の孤立死」を防ぐ手段にはつながらなかった。

 「虐待の疑いがあるならともかく、ケースワーカーに家庭に無理やり立ち入る権限はない。プライバシーに踏み込むのは難しい」と厚生労働省障害福祉課の担当者は行政の限界を示す。

 なぜ孤立を深めたのか。知的障害児を持つ親たちでつくる「全日本手をつなぐ育成会」の宮武秀信事務局長(63)は「障害児というレッテルを貼られることへの抵抗感や、子供に対する自責の念を抱き、自分の子供を障害児と周囲に伝えられない親は多い」と話す。

 障害者支援施設への短期入所、児童ヘルパーなど、障害児を持つ保護者への行政のサポートは拡充されつつあるが、「気後れもあり、サービスを受けたくないという人もいる」。マンションの住民も、男児に障害があることを知る人はほとんどいなかったという。近隣住民との関係の希薄さも漂う。

 こうした孤立は、障害児を持つ家庭に限った問題ではない。日本福祉大学健康社会研究センターの鈴木佳代主任研究員(社会階層論)は「小さな子供を抱える母子家庭や老老介護の世帯など、一人が一人を支える世帯であっても『他人の手は借りない』と肩肘を張って生きている人は多く、孤立の危険性は高い」と指摘する。

 75歳以上の要介護者のいる世帯のうち、75歳以上が介護する割合は平成22年に25・5%に及んだ。未成年の子供がいる母子家庭も元年は55万4千世帯だったのが、22年には70万8千世帯となり増加傾向にある。

 鈴木主任研究員は「難しい問題だが、地域とのつながりが大切だ。行政はプライバシー保護と孤立を混同させてはいけない。ある程度の介入があってもよいはず。こうした人たちを社会につなぎ止めておくことも行政の仕事だ」と話す。

 警視庁立川署によると、2人の遺体は今月13日午後1時半ごろ、東京都立川市のマンションで発見された。部屋のガスが長期間にわたって使われていなかったため、マンション管理会社から連絡を受けた親族が同署に相談。署員らと、3階建てマンション1階の室内に鍵を開けて入ると、部屋の床に母親が倒れ、そばのソファにやせ細った男児が横たわっていた。

 司法解剖などの結果、2人は死後1~2カ月で、母親の死因はくも膜下出血の疑いがあることが判明。男児の死因は特定できなかったが、体重はわずか9キロ。胃の中は空で、脱水状態だった。着けていた紙おむつは汚物で汚れていた。

 同署は、1人で食事もできなかった男児が1週間から10日ほど飲食せず、衰弱死したとみて調べている。

 発見時、ガス、水道、電気などは止まっておらず、暖房はつけっぱなしで、冷蔵庫には野菜や飲み水も入っていたという。

 部屋は1LDKで、平成22年4月から母親と男児が2人きりで住んでいたとみられる。関係者によると、家賃は月額約10万円。生活保護は受けていなかった。

 立川市によると、市の委託を受けた業者が月に1回、男児の紙おむつを届けており、昨年12月上旬にもおむつを母親に渡したが、1月中旬に訪問した際は応答がなかった。連絡を受けた市の担当者は同月下旬、ケースワーカーを派遣したが、マンション玄関がオートロック式で立ち入れなかったという。

MSN産経ニュース -2012.2.22 22:36

研修会:障害者の震災時の安全対策を考える--大田 /東京

2012年02月23日 01時59分37秒 | 障害者の自立
 障害者の震災時の安全対策、防災対策を考える研修会「巨大地震に備える-東日本大震災を踏まえて-」が20日、大田区立消費者生活センター(蒲田5)で開かれ、障害者や家族、民生委員ら約120人が参加した。

 東京消防庁防災部地域防災担当副参事の江原信之さんが講師を務め、東日本大震災での被害状況や被災地での同庁の活動内容、地域での助け合い事例など、映像を交えながら紹介した。

 また、災害時の障害者の安全対策として、民生委員やケアマネジャー、電気・ガス事業者ら関係機関が一緒に住居の安全チェックやアドバイスを行うことや、町会、自治会、民生委員協議会などが地域の見守り活動に取り組み、地域全体で障害者を見守る体制づくりを推進する必要性などについて説明した。研修会を主催した大田区地域自立支援協議会の志村陽子会長は「消防の協力をいただき、研修の場が持てたことはとても有意義だった。今後の活動に生かしていきたい」と話した。

毎日新聞 2012年2月22日〔都内版〕