鳥取市は、路線バスの乗り継ぎ案内や高齢者の乗降の介助をする「バスアテンダント」の導入を検討している。年々利用者が減少し、路線の廃止や減便などが続く“住民の足”をサービスの向上で守るのが狙い。全国的にも珍しい取り組みで、同市南部地域(佐治、用瀬、河原など)のバス路線の再編に向け10月から1年間続ける実証事業の一つとして、試験的に実施する予定だ。
市によると、98年に587万人だった県東部の路線バス利用者は10年には272万人まで減少。同市南部地域のバス路線の場合、年間約1億円の運行赤字を抱えている。利用者の多くは高齢者と通勤・通学者だが、少子化の進行で通勤・通学者の大幅な利用増加は見込めないのが現状だ。
市交通政策室は「利用者の減少がバスの減便や路線廃止などのサービス低下を引き起こし、それがさらに利用者の減少を招くという“負のスパイラル”に陥っている」と現状を分析。通勤・通学者以外の利用者の増加につながるサービスの向上策を検討していた。
市は南部地域の自治会の代表者らが出席する「交通会議」で対策を議論。その中で、住民から「乗降の手伝いなどをしてくれる人がいてほしい」という趣旨の意見が多かったことから、バスアテンダントの導入に向けて検討を始めた。
バスアテンダントは、幹線と支線の乗り継ぎ拠点や、利用者の多い鳥取駅、市立病院などに配置され、乗降時に手助けが必要な高齢者や障害者のサポートをするほか、乗り継ぎの相談を受けるなどして、「利用者が快適にバスを利用できるようにおもてなしのサービスをする」(同室)。今年度中の策定を目指す「南部地域新総合公共交通計画」の目玉政策として検討が進んでいる。
関連事業費が2月議会で承認されれば、導入に向けた具体的な検討に入る予定。同室の遠藤幸二主事は「減便などで地域の公共交通をこれ以上不便にしないためにも、バスに乗る人を増やすことが大切。バスアテンダントがバスの魅力アップにつながればいい」と話している。
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■ことば
◇南部地域新総合公共交通計画
鳥取市南部地域のバス路線を再編し、鉄道やタクシーなどの交通手段と連携した新しい公共交通システムの構築を目指す計画。現在の計画案では、鳥取-用瀬間の幹線の増便▽通勤、通学のための快速の新設▽バス停が遠くて不便な「交通空白地域」である佐治の一部や国英地区での予約型の小型車両運行--などが盛り込まれている。市交通政策室(0857・20・3257)は、案に関する意見やバスの利用促進に関するアイデアなどを28日まで募集している。
毎日新聞 2012年2月11日 地方版
市によると、98年に587万人だった県東部の路線バス利用者は10年には272万人まで減少。同市南部地域のバス路線の場合、年間約1億円の運行赤字を抱えている。利用者の多くは高齢者と通勤・通学者だが、少子化の進行で通勤・通学者の大幅な利用増加は見込めないのが現状だ。
市交通政策室は「利用者の減少がバスの減便や路線廃止などのサービス低下を引き起こし、それがさらに利用者の減少を招くという“負のスパイラル”に陥っている」と現状を分析。通勤・通学者以外の利用者の増加につながるサービスの向上策を検討していた。
市は南部地域の自治会の代表者らが出席する「交通会議」で対策を議論。その中で、住民から「乗降の手伝いなどをしてくれる人がいてほしい」という趣旨の意見が多かったことから、バスアテンダントの導入に向けて検討を始めた。
バスアテンダントは、幹線と支線の乗り継ぎ拠点や、利用者の多い鳥取駅、市立病院などに配置され、乗降時に手助けが必要な高齢者や障害者のサポートをするほか、乗り継ぎの相談を受けるなどして、「利用者が快適にバスを利用できるようにおもてなしのサービスをする」(同室)。今年度中の策定を目指す「南部地域新総合公共交通計画」の目玉政策として検討が進んでいる。
関連事業費が2月議会で承認されれば、導入に向けた具体的な検討に入る予定。同室の遠藤幸二主事は「減便などで地域の公共交通をこれ以上不便にしないためにも、バスに乗る人を増やすことが大切。バスアテンダントがバスの魅力アップにつながればいい」と話している。
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■ことば
◇南部地域新総合公共交通計画
鳥取市南部地域のバス路線を再編し、鉄道やタクシーなどの交通手段と連携した新しい公共交通システムの構築を目指す計画。現在の計画案では、鳥取-用瀬間の幹線の増便▽通勤、通学のための快速の新設▽バス停が遠くて不便な「交通空白地域」である佐治の一部や国英地区での予約型の小型車両運行--などが盛り込まれている。市交通政策室(0857・20・3257)は、案に関する意見やバスの利用促進に関するアイデアなどを28日まで募集している。
毎日新聞 2012年2月11日 地方版