ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

精神障害者の就職 支援の動き拡大 人材サービス会社が後押し

2013年04月17日 01時21分18秒 | 障害者の自立
 人材サービス会社などが発達障害などの精神障害者の就職支援に力を入れている。働く場を用意して実践的な研修を行ったり、企業側に対して事前説明をきめ細かく行ったりするなど障害者と企業の間に立ち、就職や職場への定着を後押ししている。(竹岡伸晃)

 ◆特性を生かす

 千葉県内に住む男性(21)は昨年10月、「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル」(千葉県浦安市)の人事総務部で働き始めた。高校在学中に発達障害と診断され、「緊張感が強い」「気持ちをうまく表現することや大きな音が苦手」などの特徴を持つ。一方、集中力があり、パソコンのスキルもかなり高いという。

 仕事内容は、ホテルから発送する郵便物の料金計算や社員食堂の売上金のチェックなど。いずれも従来は他の社員が抱えていた仕事で、同部の中村佳津江スーパーバイザーは「意欲的に仕事を行っており非常に助かっている」と評価。男性も「今後もさまざまな仕事を覚えて頑張りたい」と意欲を示す。

 男性と同ホテルをつないだのは、人材サービス大手のパソナ(東京都千代田区)とパソナグループの特例子会社、パソナハートフル(同)。千葉県から障害者の雇用促進事業を受託し、平成23年から実践形式での研修を行ってきた。

 具体的には、ビジネスマナーやパソコン操作といった基礎的な研修の後、パソナハートフルで請求書処理やデータ入力、印刷、販売などの業務体験を実施。本人の適性を見極めたうえで民間企業を紹介し、そこで実務研修を行う。実務研修には「試用」の意味もあり、企業と本人の双方が合意すれば採用に至る。冒頭の男性は昨年、これらの研修を経て採用された。

 パソナハートフルの白岩忠道取締役は「精神障害者には苦手なことがあるが、本人の特性を生かした働き方を用意すれば生産性の高い仕事ができる」と指摘。企業に実情を知ってもらい雇用を進めたい考えだ。


事務作業を行う発達障害の男性(右)。仕事の幅も広がっているという=千葉県浦安市のシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル

 ◆特別視しない

 リクルートスタッフィング(中央区)は昨年4月、精神障害者に特化した人材紹介事業を始めた。仕事を求める人に登録してもらい、企業を紹介する-という流れは通常と変わらない。しかし、登録時に精神保健福祉士などの資格を持つスタッフが病気の内容や状態、病気発症のサインなどについて確認。採用が決まった際は配属される部署に出向き、病気の特徴や配慮すべき点などについて伝える。働き始めた後も会社や本人と定期的に面談を行う。

 事業責任者の川上祐佳里さんは「精神障害は見た目では分かりにくい。企業側にきめ細かく説明することで働きやすくなり、定着につながる」。これまでに125人が幅広い業種の企業に採用されたという。

 精神障害者などを積極的に採用している企業もある。企業に技術者を派遣して情報通信システム設計などを行うアイエスエフネット(港区)は、約2500人の社員のうち約300人が障害者。そのうち約250は精神障害者だ。

 平成12年の創業時、人材集めに苦労したことから障害者などを特別視しない採用方針とした。教育や職場環境の整備に力を入れているほか、健常者と障害者の社員が助け合うことで、「一人一人が戦力となっている」(杉岡和彦専務取締役)。同社では今後、障害者の社員を1千人にまで拡大するという。

 ■企業側も注目

 4月に障害者の法定雇用率が民間企業では1.8%から2.0%に引き上げられ、「勤務可能な身体や知的障害者の就労はかなり進んでいる」(パソナハートフルの白岩忠道取締役)ことから、各企業は精神障害者の雇用に注目している。

 雇用する際は各障害者の特性に合わせた対応が求められる。例えば、「曖昧な指示が苦手」な人には「具体的な指示を出す」、「チームで働くのが苦手」な人には「単独で働ける場を用意する」などだ。「健常者を上回る能力を持つ人も少なくない」(白岩さん)ため、雇用の拡大が期待される。

MSN産経ニュース ‎- 2013.4.16 07:42