知的障害者の就労、生活支援に取り組むみよし市のNPO法人「サンタ村」(鶴田清理事長)が、高齢化で営農の継続が難しくなりそうなブドウ畑を借りてブドウの栽培に乗り出す。障害者の働く場を確保するため、「一般的にスピードと正確さを要求される従来の単純作業」から、「知恵と経験を積み上げる作業」へのステップを目指しており、3年後には農業レストランの運営を目指す計画だ。
同法人では同じ敷地にあるクリーニング工場で現在、障害者18人が働いている。高齢化で作業のスピードについていけない障害者も出始めており、スピードではなく、コツコツとやっていける働く場の確保を求められていた。
そんな折、同市明知町のブドウ畑が高齢化でビニールハウス維持や木の皮むきなどの作業が困難になっていることを知り、法人で40アールを借り受けた。3月から農家の指導で鶴田理事長や法人スタッフが栽培方法の勉強を始めた。
構想では、栽培したブドウでジャムやシャーベット、ジュースなどの加工品を生産するほか、野菜の栽培も始める。3年後には2階建ての建物を建てて、1階に農業レストランを開設し、野菜などを販売する。2階は障害者の共同住宅にする。
詳細な計画を策定中で費用は4000万〜5000万円を見込む。行政の助成金や鶴田理事長の自己資金などでまかなう考えだ。
鶴田理事長は「市内のブドウ農家で、高齢化で作業ができなくなり、倉庫になるなどしている所もある。高齢者、障害者が生き生きと暮らせる地域づくりに努めたい」と話している。
毎日新聞 2015年06月04日 地方版