文京学院大学は、ふじみ野市近郊在住の精神障害者にとって役立つ施設やコミュニティに関する情報をまとめた地域情報マップ「ココロノート -精神障害者のための社会資源map- 2015年版」を作成しました。マップは2015年6月15日(金)に400部発行し、順次「ココロノート」に掲載した各施設や、ふじみ野市内の図書館にて無償で配布します。
本マップは、本学作業療法学科の柴田貴美子准教授が中心となって進めている「作業療法学科としての地域貢献」をテーマとする研究に基づき、同学科の3年生・4年生が主体となって作成しました。障害者の身体運動機能や精神心理機能の改善を担う作業療法士には、医療行為だけではなく障害者が住みやすい地域づくりへの貢献も役割として求められています。そのため、本研究では大学としてどのような地域貢献をするべきかについて検討することを目的としています。
本研究による成果物として、ふじみ野市の精神障害者が活用できる社会資源(※)マップを作成し、2014年3月に初版を発行しました。初版の作成では学生が中心となって意見を出し合い、精神障害者に役立つと考えられる施設やイベント情報を盛り込みました。今回の改訂では、実際にマップを利用した障害者および精神保健福祉関係者に対してインタビュー調査を実施し、記載されている情報の量と質の妥当性について質的分析を行い、改善点の洗い出しを進めました。
分析の結果、当初学生が記載すべきと判断していた情報の一部は障害者にとっては不要であり、一方では学生が想定してなかったものの障害者にとっては不可欠な情報があるといった課題が浮かび上がりました。今回発行するマップでは、これらの点を改善しています。また、障害者の生活圏に合わせて情報掲載対象エリアはふじみ野市に加え、富士見市、三芳町、川越市の三市一町に拡大し、全8Pのマップとして改訂しています。
※ 施設、人材、法律など社会福祉のために必要なあらゆるものの総称
【 「ココロノート -精神障害者のための社会資源map- 2015年版」 初版からの4つの変更点 】
1.精神障害者の外出を促進する工夫
精神障害者が社会参加するには制約が多く、外出するきっかけ作りが必要であることが分かりました。そのため、単に施設やイベント情報を載せるだけではなく、そこに参加する精神障害者の方からのメッセージを載せることで、外出の動機付けを高める工夫をしました。
2.掲載地図の変更による正確な情報提供
見やすく親しみやすいようにという配慮からイラストでデフォルメした地図を掲載していましたが、これでは距離感がつかみにくく、精神障害者はより正確な情報を求めていたため、具体的で詳細な地図に変更しました。
3.不要な情報・分かりにくい情報の削除
「集いの場」となるように学生が掲載していた情報(ファミリーレストランなど)は、障害者の人から見ると「障害者手帳が使える」といった勘違いにつながり分かりにくいという声が多かったため、削除しました。
4.緊急連絡先を追記
突然パニック状態になるなど、夜間や休日等、病院が開いていない時間帯に調子を崩した場合の不安を解消するために保健所の情報を記載しました。
2015/06/09 文京学院大学 CNET Japan