障害者差別解消法が四月に施行された。職員向け対応要領の制定は努力義務だが、県内自治体の六割はすでに策定済みで、新たなバリアフリーの取り組みも広がる。
中日新聞が県内十九市町に行った調査で、対応要領を策定した自治体は、大津市や彦根市など十二市町。長浜市や野洲市など七市町は、本年度上半期から年度末にかけて「策定」または「策定を検討」としている。
法律は、障害者への差別的な取り扱いを禁止し、個々の障害の特性に応じた合理的配慮を義務付けている。これを受け、各自治体の対応要領は、差別解消の具体的なマニュアルが盛り込まれる。法律は成立から約三年後の今年四月の施行だったが、これだけの猶予があっても自治体によって整備にばらつきが出ている。
近江八幡市は、対応要領のほかに、さらに踏み込んだ職員向けハンドブックを作成。湖南市でも障害者特有の行動や対応方法について注意事項をまとめた。同市の担当者は「普段から障害者に接する機会が少ない職員にも注意喚起が必要」と話す。
東近江市では、職員以外も民生委員や障害者相談員にも研修を課している。守山市は、民生委員の会議でも対応要領を説明し、法律内容を書いたパンフレットを全自治会に回覧した。
また、庁舎内外でバリアフリー化も進められている。大津市は、車いすの利便性向上などのため、障害福祉課の窓口を本館二階から一階へ移転。知的障害者向けの「療育手帳」の交付案内の文章に、すべてふりがなを振った。日野町では、車いす使用者専用の駐車場を役場や公民館など町内十二カ所に設けた。
2016年6月3日 中日新聞