ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

障害者 個性生かして<6完>社会が壁なくすことから

2016年06月08日 03時13分16秒 | 障害者の自立

 東京都北区の桐ケ丘団地。シャッター通りと化した商店街の一角に、高齢者でにぎわう店がある。カフェレストラン「ヴイ長屋」だ。

 建設から50年以上たった団地は、高齢化率が50%を超える。孤立しがちな高齢者が立ち寄って交流でき、栄養バランスの良い食事ができる場所を作ろうと、2014年に開店した。雇用契約を結ばない「就労継続支援B型」として働くのは、知的障害を中心に障害のある19人だ。

 外出が難しい高齢者の見守りも兼ね、配食サービスも始めた。近くの高齢者施設に出向き、掃除や庭の手入れなども行う。

 運営する社会福祉法人ドリームヴイの小島靖子理事長は「近くに飲食店やスーパーが少なく、『助かる』と毎日通ってくれる人もいる。高齢者の外出のきっかけや仲間づくりの場にもなっている」と手応えを感じる。

 障害者というと、今の社会では「支援の対象」と見なされがちかもしれない。しかしこのカフェで働く彼らは確実に、地域の高齢者を支えている。なくてはならない存在になっている。

 「支えられる」側から、「支える」側へ-。そんな動きは、精神障害の領域で顕著だ。精神障害のある人が、同じような障害のある人を支援する「ピアサポーター」。そのうち、それを仕事とする「ピアスタッフ」がここ10年ほどで増えている。

 男性(46)は就職したばかりの24歳のとき、統合失調症を発症した。「常に上司に監視されている」など妄想がひどくなり退職。その後4年間、家に引きこもった。

 転機はデイケアに通っていた32歳のとき。福岡県久留米市の障害者地域生活支援センター「ピアくるめ」が、全国でいち早く当事者をスタッフとして雇用することになり、採用された。

 男性は、引きこもりの支援活動を行い、精神保健福祉士の資格も取った。現在は、社会福祉法人つばめ福祉会が運営する就労継続支援B型事業所「ピアつばめ」(福岡市早良区)で施設長を務める。14年には、ピアスタッフでつくる「日本ピアスタッフ協会」を設立し、副会長に就任した。

 つばめ福祉会は、現在職員約30人の3割近くがピアスタッフだ。男性は「当事者ならではの視点や強みを生かせる」と利点を挙げる。自身の体験を語ることや回復した姿を見せることで、支援される側は「自分も回復できる」と希望を持てる。

 ただ、ピアスタッフはまだ、仕事内容や働き方が確立されていない。雇用契約が結ばれず賃金が払われていない例や、職場内での立ち位置が曖昧で孤立する例もあるという。

 私たちが生きていく限り、「支えられる」が「支える」へ変わるように、ある日「支える」から「支えられる」へと変わることだってある。健常者と障害者を区別し、障害者を「支えられる」対象とだけ見ること自体が、障害者が働く上でのバリアー(障害)を生み出してしまうのかもしれない。

 つばめ福祉会のピアスタッフ、女性(48)は以前、無理をすると統合失調症の症状が悪化し、入退院と転職を繰り返した。「今は誰かに頼りにされるという役割を持て、症状も軽くなってきた」。知的障害があり、「ヴイ長屋」で働く男性(69)も「いろんな人と交流でき、家にこもっているよりずっと楽しい」と働きがいを感じている。

 実は、ヴイ長屋で働く障害者の半数近くが50歳以上。就職できても短期で辞めざるを得なかったり、早期退職を促されたり、障害者が働き続ける環境は、いまだ厳しい。理事長の小島さんは「障害者がシルバー時代をどう過ごすかは重要な課題」と指摘する。高齢社会の日本では、障害者の高齢化問題も存在する。「地域で貢献できる役割を見つけたい」と小島さんは意気込む。

 =2016/06/07付 西日本新聞朝刊=


悩む内部障害者、4人に1人が「職場の理解ない」

2016年06月08日 03時07分08秒 | 障害者の自立

 仕事を持つ「内部障害者」のおよそ4人に1人が、職場で病気について理解してもらえないと悩んでいる――。当事者へのアンケートからこんな実態が浮かび上がった。病気の影響で仕事を辞める人もおり、周囲の理解が進むことが期待される。

■仕事や家事に影響

 調査は、長崎県立大と、内部障害者らでつくるNPO法人「ハート・プラスの会」が実施。2013年、障害者や患者団体など9団体の協力を得てインターネットや郵送で配布し、238人が回答した。障害者手帳を持つ人は8割で、病気を抱えているが手帳の申請をしていない人や難病の人らも対象に含めた。

 障害の原因となった病気の影響を聞いたところ、「仕事や家事の時間を減らしたり、種類や内容を変えた」と答えた人が35%、「仕事や家事をやめた」人は24%いた。

 仕事を持つ人は131人。職場の人に病気について知らせたかどうか聞くと、76%が「知らせた」と答えた。病気について、「よく理解してくれる」(16%)、「一応、理解してくれる」(40%)と答えた人もいたが、「あまり理解してくれない」「全く理解してくれない」と感じている人は23%いた。

 仕事で困っていることは、「体力的につらい」と答えた人が32%と多く、「収入が少ない」「精神的につらい」が続いた。

 

■「残業できない」で退職勧告

 ログイン前の続き茨城県に住む元公務員の男性(64)は、心筋梗塞(こうそく)の後に狭心症を発症し、08年に心臓機能障害と診断された。

 当時の勤務は外回り。「デスクワークが限度、残業は禁止」と書かれた診断書を携え、上司に配置換えを申し出たがかなわなかった。勤務中に発作を起こし、度々病院に駆け込んだ。上司に何度も呼び出され、辞めたらどうかと迫られた。ようやくデスクワークの部署へ移った後も、繁忙期は無理をしてしまい、発作を起こすことが続いた。

 「このままでは倒れますよ」。主治医に言われ、59歳で退職した。男性は「外見は健常者と変わらない。どこが悪いのか、なぜできないのかという目で見られるのが、つらかった」と話す。

 京都府の看護師の女性(50)は、転職の不安を抱えつつ働いている。

 3年前、ほおの発疹など全身に多様な症状が出る「全身性エリテマトーデス」という難病と診断された。職場は介護療養型の医療施設。疲れやすく、体は常にだるいが、寝たきりの人を車いすに移すといった力仕事は避けられない。体調を崩し4カ月休んだ後、正職員から夜勤のない週4日のパートに切り替えた。

 同僚の理解はあるものの、再び体調を崩すことがあれば、負担の軽い所へ転職しなければと考えている。家に帰ればシングルマザー。元気な時に買った家や車のローンが残っており、仕事を辞めるわけにはいかない。(十河朋子)

長崎県立大の吉田恵理子准教授(成人看護学)の話 

 内部障害者といっても、原因の病気もつらさの度合いも様々で、日によって体調が違うなど周囲からわかりづらいという特徴がある。4月に障害者差別解消法が施行され、どんな配慮をしてほしいか障害者が声を上げるチャンスができたが、現実は厳しい。対策として、会社側の態勢や意識が問われるのはもちろん、同僚に「大変だね」と言われることで働きやすくなるかもしれない。ただそう言われたくない人もおり、個々のコミュニケーションの中で探っていってほしい。こうした配慮は、介護や子育て中の人などすべての人が働きやすい職場づくりにもつながる。

■内部障害者

 心臓や腎臓、呼吸器など体の内部に障害がある人。疲れやすい、ウイルスに感染しやすいなど様々な困難を抱えているが、見た目でわかりにくいため理解されないことが多い。身体障害者手帳を持つ人のうち、少なくとも約3割にあたる約150万人にのぼる。

 写真・図版

2016年6月7日   朝日新聞


就学中―社会切れ目なく 発達障害者への就労支援

2016年06月08日 03時00分52秒 | 障害者の自立

 学生から社会人まで、発達障害者を対象にした切れ目のない就労支援事業が利用者数を伸ばしている。手掛けているのは大阪市中央区のエンカレッジ。支援が手薄とされる高校卒業後の学生期間をはじめ、社会人向けのプログラムを充実させている。コミュニケーションが苦手な発達障害者の支援を通して「誰もが活躍できる社会の環境づくりができれば」と展望を示す。

「仕事を任されてうれしい。しっかりやっていきたい」

 今春、トランクルーム運営会社「アンビシャス」に入社した広汎性発達障害の進藤之典さん(23)は、パソコンでのデータ入力作業で力を発揮。やりがいを感じている。

 大学3年からエンカレッジを利用。卒業後は社会人向けコースに約1年通い、インターンシップ(職場体験)で訪れたアンビシャスに就職が決まった。

■職場雰囲気変わる

 自身の得意・不得意について理解を深め、「指示や質問は具体的にしてもらうと対応できる」といった気付きを得てきた。

 上司の三好美花さん(26)は「困ったときにもっと意思表示してほしいとは思うが、打ち込み作業は速く業務上大きな失敗もない」と評価する。

 アンビシャスにとって発達障害者の雇用は初めて。徳永暢也社長(36)は「最初は社会貢献の一環と考えていたが、彼の頑張る姿によって職場の雰囲気はよくなっている」と話す。

■入学直後から用意

 エンカレッジの窪貴志社長(39)は、障害者雇用の支援会社で働いていたとき、発達障害の特性がある学生への支援が手薄と実感。担任制度がない大学などでは個別支援が行き届きにくいためだ。

 一方で発達障害のある学生は増加の一途。日本学生支援機構の調べでは、診断書がある人だけで2014年度は2722人と09年の約5倍になった。

 窪社長は「就職活動の前後でせっぱ詰まらない仕組みが必要」と13年に起業。コミュニケーションや自己理解をテーマにした連続講座を、入学直後から受講できるようにした。利用者は増加傾向で、15年度は40人余りだったが、16年度はすでに50人を超えた。

 卒業後も対応する施設をこれまでに大阪と京都で計4カ所開設。「切れ目のない支援体制」を構築してきた。

 社会人になってから発達障害と診断された人にとっても“駆け込み寺”の役目を果たしている。10回以上の離職後、広汎性発達障害と分かり3月から通う染谷昌輝さん(40)は「心も体も軽くなった感じだ」と喜ぶ。

■効率的な支援模索

 発達障害者に特化した就活支援のサイトも今年開設。今後は、効率的な支援で学生生活を送れるスケジュール管理の仕組みづくりにも挑む。その仕組みは障害のない学生にも有効とみている。

 窪社長は「学生時代をどう過ごすかでその人の人生は変わる。生きづらさがあっても活躍できるような環境をつくっていきたい」と意欲を示している。

三好さん(右)の指導の下、やりがいを感じながら仕事に取り組む進藤さん(左)

2016年6月7日   大阪日日新聞


改正発達障害者支援法が成立 就労定着の強化へ

2016年06月08日 02時55分02秒 | 障害者の自立

 自閉症の人などへの早期発見などを定めた発達障害者支援法の改正案が5月25日、参院本会議において全会一致で可決、成立した。国や都道府県が就労機会を確保するとともに、定着支援を強化する。付帯決議は6項目付いた。

  10年前に策定された同法が見直されるのは、今回が初めて。障害者権利条約を批准したことなどを背景に、超党派で構成する「発達障害の支援を考える議員連盟」(尾辻秀久会長)が改正案を検討していた。

  改正法は、就労と教育支援を強化することなどが柱。子どもから高齢者までどのライフステージでも切れ目のない支援を目指す。

  就労支援については、自治体が都道府県に発達障害者支援地域協議会(仮称)を設置できることとし、関係機関の連携を促進する。また就労機会の確保や、職場での定着支援などを規定。事業主についても、発達障害者の特性に応じた雇用管理を求めた。

  教育に関しては、学校が発達障害児の長期個別計画を作成する。福祉関係機関との情報共有や連携も推進し、いじめ対策も強化する。

  このほか、発達障害者の特性に配慮した刑事捜査についても盛り込まれた。

  一方、付帯決議は6項目付いた。

  発達障害者やその家族に対する心のケアも含めた相談体制の構築や、学校の教職員への発達障害に関する研修の実施が盛り込まれた。

  また、発達障害者の多くが障害者手帳を所持していないことから、障害者手帳について在り方を検討することや、発達障害の定義の見直しについても言及した。

 付帯決議の内容

 (1)発達障害と診断された者およびその家族が適切な支援を受けることができるよう、ペアレントメンター等による心のケアも含めた相談・助言体制構築の支援を強化すること。その際、個々の障害の特性や家庭状況に対応できるよう、夜間等の相談・助言体制の構築についても留意すること。

 (2)小児の高次脳機能障害を含む発達障害の特性が広く国民に理解されるよう、適正な診断や投薬の重要性も含め、発達障害についての情報を分かりやすく周知すること。特に、教育の場において発達障害に対する無理解から生じるいじめ等を防止するには、まずは教職員が発達障害に対する理解を深めることが肝要であることから、研修等により教職員の専門性を高めた上で、早い段階から発達障害に対する理解を深めるための教育を徹底すること。

 (3)発達障害者の就労機会の確保および職場定着のためには、個々の障害の特性に配慮した良好な就労環境の構築が重要であることに鑑み、職場におけるハラスメント予防のための取り組みやジョブコーチ等を活用した相談・助言体制の一層の充実を図ること。

 (4)発達障害者が持つ障害の程度は個人によって異なるため、就労および就学を支援する上では主治医や産業医等の産業保健スタッフおよび学校医等の学校保健スタッフの役割が重要であることに鑑み、これらの関係者が相互に連携を図りながら協力できる体制を整備するとともに、産業保健スタッフおよび学校保健スタッフが受ける発達障害者の雇用や就学に関する研修について必要な検討を行うこと。

 (5)地方公共団体により障害者手帳の取り扱いの状況が異なることおよび発達障害者の多くが障害者手帳を所持していないこと等の実情に鑑み、障害者手帳について在り方を検討すること。

 (6)個々の発達障害の原因究明および診断、発達支援の方法等に関する調査研究を加速・深化させるとともに、発達障害に関する症例を広く把握することにより、不足している分野における調査研究に重点的に取り組むこと。また、これら調査研究の成果や国際的動向等も踏まえ、常に施策の見直しに努めること。その際、発達障害の定義の見直しにも留意すること。

2016年0607日  福祉新聞編集部


障害者働く37施設 情報を新たに掲載 16年版宇都宮ガイド「宴多」完成

2016年06月08日 02時49分43秒 | 障害者の自立

 宇都宮市の名所や飲食店などを紹介するガイドブック「宇都宮おもてなしいろいろガイド 宴多(えんた)2016」が新たに発行された。2008年から毎年発行され、今年で9冊目。2万部をホテルや観光案内所などで無償配布している。

 16年版は、恒例の祭りや民話、時刻表などの情報に加え、障害者が働いたり、技能を習得できたりする37施設の情報を新たに掲載。2ページにわたり、市内の作業所や農園の住所、連絡先を紹介している。

 事故で下半身が不自由になり、車いす生活を送りながらバリアフリー住宅の販売をする宇都宮市の不動産業、大塚訓平(くんぺい)さんの活動を応援しようと、ガイドブックを発行する市内の警備会社代表取締役、高山實(みのる)さんが新設した。

 不動産業の傍ら、障害者向けに車いすで入れる店の紹介サイト運営に取り組む大塚さんは「障害者向けの専門誌やサイトだけでなく、ガイドブックに載ることで、一般の人に施設を知ってもらえる」と感謝する。ガイドブックの企画運営を手掛けた市内の出版社「随想舎」の担当者は「障害者が働く場所で、一般の人と触れ合うきっかけになってほしい」としている。

 片手で持ち歩きできるA6判サイズで、計176ページ。問い合わせは随想舎=電028(616)6605=へ。

新たに発行された「宇都宮おもてなしいろいろガイド宴多2016」

2016年6月7日  東京新聞