ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

健康と健常の定義

2016年06月20日 11時38分14秒 | 障害者の自立

 Markus Rehmの話に戻ると、実はこうした議論は過去にも巻き起こったことがある。「射撃の選手がメガネを掛けることはフェアといえるのか。選手の力を器具によってサポートすることはある種のドーピングのようなものではないか」と物議を醸したのだ。もちろん現在はアスリートがメガネやコンタクトで視力を矯正することは認められている。ここから、当時と現在とのメガネに対する感覚の違いが垣間見える。

 「私たちはサイボーグ化されている」と為末氏は言う。「私たちは日々何らかの道具に頼りながら生活している。たとえば記憶しきれないものをノートに書いたりスマホにメモしたりして記憶をアウトソーシングするように、道具がないと日常生活もままならない人は多い。健常とは何か、人間本来の体とは何か、義足を作っていると感じる」

 健康という言葉も健常同様に定義が難しい。「健康と不健康といった一見相反する状態も実はグラデーションの濃淡であり互いにいったりきたりする。そこに予防医療のテーマが隠されているのではないか」と為末氏は語る。健康でなくなる様々な要因は健康な状態のときにもひそんでいるからだ。常に健康と不健康を行き来する私たちに、医療はどこまで関わりを持つのだろうか?

EVENT   2016年6月19日


レーム五輪出場、陸連結論先送り 義足の独選手

2016年06月20日 11時31分58秒 | 障害者の自立

 【ウィーン共同】国際陸連は17日、ウィーンで理事会を開き、2012年ロンドン・パラリンピックの陸上男子走り幅跳びを制した義足のマルクス・レーム(ドイツ)が希望するリオデジャネイロ五輪への参加について「義足が有利に働いていないか公平性の問題を証明しなければならない」と結論を先送りした。

  「ブレード・ジャンパー」の異名を持つ同選手は昨年、障害者による世界選手権で8メートル40の世界記録をマークした。
 
毎日新聞  2016年6月18日 東京夕刊

奇跡の笑顔 全盲・重複障害を生きる(10)あっという間に追い風

2016年06月20日 11時24分54秒 | 障害者の自立

 2008年春、生命の危機を乗り越えて3歳となり、前向きに生きようとした山崎音十愛ちゃんと母、理恵さん(当時41歳)。その前に立ちはだかったのは教育の壁だった。

 母は娘を高知県立盲学校(高知市)の幼稚部へ入れ、専門教育を受けさせたかった。だが、高知県教育委員会は前年12月の時点で、「鼻腔(びくう)チューブの入った医療的ケアの必要な子は前例がない」と後ろ向き。2008年3月初めの高知県議会予算委員会では議員が「看護師配置で対応を」と迫ったが、当時の高知県教育長、大崎博澄さん(71)は「保護者や学校と十分に協議しながら検討したい」と即答を避ける。そして後日、高知県教育委員会の担当課長は「医療機関と併設、あるいは隣接している養護学校で受け入れる」という旨を理恵さんに伝えた。

 一見、理解を示したようにも見えるが、何の進展もなかった。受け入れ先は若草養護学校の二つの分校(高知市と南国市)のみ。だが、そこに幼稚部はない。つまり、音十愛ちゃんの受け入れ先はないと言っていたのだ。

 その経緯を調べていた私は、ふに落ちなかった。人権問題にも理解の深い大崎教育長が、そんな冷たい対応を指示したのだろうか。聞いてみると大崎さんは言った。「庁内力学的に、僕は人と予算を取る力がなかったんですよ。子供はみんな、教育を受ける権利があるわけでね。悔しいですが、腕が立たなかった。そう書いておいてください」

 実はこの時、大崎さんは退任直前だった。大崎さんを高知県教育長に抜てきした橋本大二郎知事は、前年12月に勇退。既に後任教育長も公表され、大崎さんに権限はなかったのだ。

 それはともかく、理恵さんは納得できなかった。「重度の障害があるからこそ、余計に早期の教育が要るはずなのに…」

 入学を拒んだ高知県教育委員会は代案を示した。それは、音十愛ちゃんが生後8カ月から通っていた高知県立盲学校の早期教育相談「ひまわり教室」(午前中の1時間半)の通園日数を、週1回から増やすことだった。取りあえず、4月から2回の通園となったが物足りない。その状況に、「ひまわり教室」の担任だった沢田京子教諭(61)は秘策を伝えた。「どうしても幼稚部に行かせたいなら、高知県母親大会で話してみれば」

 母親大会は、戦争反対や子育て、教育、暮らしの諸問題に母親の立場から訴える社会運動で、困りごとを抱えた母の駆け込み寺的存在。年に1度の高知県大会が7月に迫っていた。教育関係者や育児中の母親が運営し、事務局も高知県教職員組合内にある。大会での意見発表が重点項目に選ばれると、高知県の担当部署への交渉の道が開けるのだ。

 言われるままに理恵さんは、障害児者問題の分科会に参加。状況を訴えた。すると予想以上の反応があった。「『これは音十愛ちゃんだけの問題じゃない』となって、対高知県交渉の要求項目に入れてくれたんです」

 追い風が吹き始めた。驚いているとスタッフは次々と提案した。「お母さん、新聞に投書をしましょう」「署名活動もやらないと」。そして教職員組合や障害関係団体が集まり、「音十愛さんの高知県立盲学校幼稚部入学をすすめる会」が立ち上がることになる。追い風は勢いを増した。

盲学校入学への道を開いた高知県母親大会の記録集(高知県母親運動連絡会発行)

2016.06.08   高知新聞


声ひろば 2016年6月18日

2016年06月20日 11時20分50秒 | 障害者の自立

1.災害時のアマ無線
【高木重信、68歳、宿毛市西町】
 先日、高知県防災訓練が宿毛市で実施され、私もアマチュア無線連盟の非常通信訓練の一員として参加した。現在、携帯電話の普及などでアマチュア無線をする人は非常に少なく、ごく限られた人だけになった。
 当日は現地にアンテナを建て、高知市の対策本部に電波が直接届かないので、山頂の中継自動車で中継、音声で短い単語で区切り電文を確認しながら伝えた。さすがに、カタカナの電文はなくなったが、慣れないので時間もかかった。
 すぐ隣に県警本部の普通自動車による中継局とNTT中継車が並び、航空機による災害情報収集訓練が行われていた。音声、映像が送られて来ていて、最新型通信手段が用いられていた。
 アマチュア無線は、個人の趣味で交信を楽しむものであったが、東日本大震災や今回の熊本地震など、災害時に携帯電話などが使えなくなった時に役立った。高知県医師会が、アマチュア無線網を作ろうしているとも聞いた。
 少し本来の目的からそれるかもしれないが、災害時には役立つ。アマチュア無線人口が増えることが大切であろう。

2.避難所の危険性改善を
【近沢孝雄、69歳、技術士、(土佐市新居】
 高知県が平成26年8月の広島市土砂災害を受け、全世帯に配布した土砂災害危険箇所マップによると、土佐南中学校(土佐市宇佐町)付近は土砂災害警戒区域となっている。南海トラフ地震で津波が発生、襲来した場合、生徒や先生、住民は災害警戒区域内の中学校の裏山の避難場所に逃げることになる。これは大きな矛盾をはらんでいる。
 広島の土砂災害で崩れた土砂はマサ土(風化した花こう岩の土)。また、熊本地震で震度7を2回も経験し、甚大な被害が発生した地域は阿蘇山の火山灰が厚く堆積している所。過去にも大雨で法(のり)面が崩れ、大きな被害が出た。マサ土と火山灰は土砂災害が発生しやすい特殊土である。
 ところで、南海トラフ地震では津波が襲来した時、地震の揺れの中での避難となる。もし土砂災害が発生したら、避難路と避難場所が埋まる恐れがあり、まず避難はできない。
 私は現地で、表面の石は割れ目の多い頁岩(けつがん)と判断した。避難場所の右側の山に崩れたむき出しの法面がある。住民が「この山は崩れやすい」と話していた。南海トラフ地震で、この法面が崩れる危険があり、大雨と重なると危険度は増す。
 県は危険箇所の発表後、重要な施設については関係者に危険性を説明し、対策を協議し実施すべきである。県の早急な対応を期待する。

3.夢に向かって
【北村花、安芸市穴内小6年】
 私には夢があります。自分でカフェを経営することで、軽食やケーキを出したいです。
 理由の一つ目は私が、料理をするのも食べるのも好きだし、自分の料理を食べてもらうのも好きだからです。自分の料理を食べて笑顔になる人を見るのも好きです。いろんな人を笑顔にしたいです。
 二つ目は周りの人が夢に向かっているのを見ていて、私も夢を目指してがんばりたいと思ったからです。私の好きなバンドも沖縄から高知へ来て、紅白歌合戦目指してがんばっています。
 私の知り合いも美容師を目指して、大阪でがんばっています。そういう人たちを見てきて「夢を目指すのはいいな」と思いました。
 今、いろんな料理が作れるようがんばっています。まだ作れる料理が少ないけど、これから勉強も練習もたくさんして、たくさんの人を笑顔にできる料理を作りたいです。
 私の近くにはまだ夢が決まっていない人も、私より先に夢が決まって努力している人もいます。他の人の夢も応援したいです。

4.奇跡の笑顔を読んで
【西口啓子、47歳、香美市土佐山田町】
 想像を絶する過酷な毎日を過ごされてきたのですね。胸が詰まります。失礼な言い方かもしれませんが、山崎さんと音十愛ちゃんの存在、生きざまは人々に勇気と感動を与えていると思います。
 少しずつ改善されてきているようですが、高知県で障害者が生きていくには他県よりも金銭、肉体、精神面でもきついようです。山崎さんや掛水さんたちが、福祉の世界を開く突破口をつくられたことに頭がさがります。
 わが子に障害があることを、子供も自分も傷つきたくないという理由で隠す人が多いです。けれど、本当に子供のことを思うのなら、自分が亡き後も少しでも生きやすくなるようにサポートしていくことが必要だと思うのです。
 自分の目が行き届かない時も状態を分かってくれている人たちが周囲にいることで、精神面が違ってきます。
 誤解や偏見は無知から生まれます。新聞、ラジオ、テレビ等あらゆるメディアで、目に見えにくい発達障害のこともとりあげてほしいです。
 そのためにはこちら側からも、山崎さんのように発信していかなくてはいけません。手をさしのべてくれる人たちもいます。私は性善説を信じます。

5.父の日のベーコン
【池上栞里、高知農業高1年】
 高知農業高校には、「贈りものに感謝の想(おも)いをこめて」という学校行事があります。
 贈りものには、各学科が丹精込めて作った製品が使われます。5月の母の日には、農業総合科で栽培したカーネーション544鉢が全校生徒に配られました。
 19日、今度の日曜日の父の日には、畜産総合科のベーコンを配る予定です。欧米では父の日にバラを贈るという風習があります。
 このバラと豚バラ肉をかけて父の日の贈りものにベーコンが決まりました。500個以上のベーコンパックを作るため、畜産総合科では8頭分の豚バラ肉を購入。生徒は受け取る人が笑顔になってくれたらと思いながら、肉の切り分けや薫製作業に追われています。
 さらに、森林総合科が竹から作った和紙、「竹紙」のカードに感謝のメッセージも添えます。本校のベーコンは人気商品です。渡した時の喜ぶ顔が、思い浮かびます。
 私はカードに「お父さんいつもありがとう」と書きます。きっと父も「おいしい」と笑顔になると思います。感謝の気持ちが伝わるといいと思います。

高知新聞


学校はいま (4)特別支援学校

2016年06月20日 10時57分24秒 | 障害者の自立

教材意訳足りない時間

 わずか2ページだった。昨年12月、全国の高校に国から届いた主権者教育の副教材全95ページの中で、特別支援学校に割かれたページ。「生徒会選挙を通して選挙学習を体験する」といった内容で、真新しさはなかった。大和特別支援学校の熊谷幹哉教諭(55)は「障害の種類も重さも異なる生徒たちがいる状況で、教科書だけ渡されても厳しい」とこぼした。

 高等部3年生は41人。自閉症や重複障害のある生徒たちの理解力はばらつきがあり、国から渡された副教材をそのまま使うことは難しい。他の特別支援学校からも「文字情報ばかりで生徒が読むのに苦労する」といった声も上がる。

 熊谷教諭は教科書をイラストを多用した分かりやすいスライドに意訳する作業に取り組むが、言葉の言い換えや抽象的な概念の説明に頭を悩ませる。

 「選挙は国を動かす代表者を選ぶもの」「主権とは国を動かす大きな力」。できるだけかみ砕いた表現を心掛けるが、言葉を尽くすほど、表面的な説明に終始してしまいがち。各政党の色や参院選の争点といった具体的な内容に触れる時間は減っていく。

 「一人一人に分かるよう説明したいが、本当に時間がない」と熊谷教諭。生徒の就労支援や社会的自立を促す重要な役割も担う特別支援学校で、主権者教育に割ける時間は限られる。

 理解度とともに、どこまで教えるか、内容での影響力に気を使い、現場の教師は二の足を踏む。うれしの特別支援学校の武富美栄子教諭(48)は、政党や候補者の主張を解説すれば「生徒たちの投票基準に第三者の価値観が入り込むのではないか」と心配する。国や社会の仕組みを教え、投票することの意義を伝えることに重点を置く。

 投票日、どれだけの生徒が足を運んでくれるだろうか。どれくらい授業を理解してくれているのかを確かめるすべはない。等しく与えられた「1票」は、政治に参加する貴重な機会。熊谷教諭は「政治に興味を持ってもらえるようにするのが役割。選挙が少しずつ障害者にもやさしいものになってほしい」と願う。=第3部おわり

 国から届いた主権者教育の副教材を基に、内容を分かりやすくした資料を作る熊谷幹哉教諭=佐賀市大和町の大和特別支援学校
 

国から届いた主権者教育の副教材を基に、内容を分かりやすくした資料を作る熊谷幹哉教諭=佐賀市大和町の大和特別支援学校

=18歳選挙権さが=2016年06月19日   佐賀新聞