東日本大震災の教訓を今後の備えに生かすため、河北新報社は19日、通算56回目の防災ワークショップ「むすび塾」を宮城県山元町のつばめの杜地区で開いた。同地区は震災で被災した住民の集団移転地。復興まちづくりが進む新市街地の災害対策をテーマに、住民13人が話し合った。
つばめの杜地区は12月末に再開予定のJR常磐線の新山下駅に近く、分譲宅地と災害公営住宅に5月末現在で439世帯970人が住む。8月に保育所の新設と小学校の移転新築、10月に商業施設の出店を控える。
各地から集まった住民が新生活を始めたばかりで、参加者からは「近所付き合いはこれから」「1人暮らしの高齢者や障害者が把握されていない」との声が出た。お年寄りの防災対策を心配する意見も相次いだ。
進行役を務めた減災・復興支援機構(東京)の木村拓郎理事長は、災害に強いまちづくりには住民同士の交流の活発化が欠かせないとの考えを強調。「高齢者の安否確認を盛り込んだ防災訓練を実施したらどうか」などと助言した。
新しいまちづくりが進む集団移転地の防災対策について意見交換した「むすび塾」
2016年06月20日 河北新報