パラリンピックスポーツの楽(たの)しさを子(こ)どもたちに知(し)ってもらうスポーツ体験授業(たいけんじゅぎょう)「あすチャレ!スクール」が6月(がつ)19日(にち)、東京都(とうきょうと)の大田区立志茂田小学校(おおたくりつしもだしょうがっこう)で開(ひら)かれました。当日(とうじつ)の様子(ようす)を紹介(しょうかい)します。【ユニバーサロン編集長(へんしゅうちょう)・岩下恭士(いわしたやすし)】
アナウンサーの実況中継(じっきょうちゅうけい)も
「明日(あす)へのチャレンジ」を目指(めざ)す「あすチャレ!スクール」は、日本財団(にっぽんざいだん)パラリンピックサポートセンター(パラサポ)が全国(ぜんこく)の小中高等学校(しょうちゅうこうとうがっこう)を対象(たいしょう)に実施(じっし)しているプログラムです。東京(とうきょう)2020パラリンピック競技大会(きょうぎたいかい)に向(む)けて、障害(しょうがい)のない子(こ)どもたちもパラアスリートにじかに触(ふ)れ、障害者(しょうがいしゃ)スポーツの気(き)づきと学(まな)びの機会(きかい)を提供(ていきょう)するのが目的(もくてき)です。
今回(こんかい)は初(はじ)めての試(こころ)みとして、2020年東京(ねんとうきょう)オリンピック(五輪(ごりん))・パラリンピックから共生社会(きょうせいしゃかい)の実現(じつげん)を目指(めざ)すなどCSR(企業(きぎょう)の社会的責任(しゃかいてきせきにん))活動(かつどう)に力(ちから)を入(い)れるTBSの藤森祥平(ふじもりしょうへい)アナウンサー(38)が実況中継(じっきょうちゅうけい)をして会場(かいじょう)を盛(も)り上(あ)げました。
当日(とうじつ)は全校児童(ぜんこうじどう)300人(にん)が参加(さんか)しました。「あすチャレ!」プロジェクトディレクターで、シドニー・パラリンピック男子車(だんしくるま)いすバスケットボール日本代表(にっぽんだいひょう)キャプテンの根木慎志(ねぎしんじ)さん(52)がフリースローを実際(じっさい)にやってみせたほか、競技用車(きょうぎようくるま)いすと一般用車(いっぱんようくるま)いすの違(ちが)いについて説明(せつめい)。続(つづ)いて、男子(だんし)と女子(じょし)の代表(だいひょう)、教員代表(きょういんだいひょう)10人(にん)ずつがそれぞれ紅白(こうはく)5人(にん)に分(わ)かれて競技(きょうぎ)を体験(たいけん)しました。
興味津々(きょうみしんしん)の子(こ)どもたち
冒頭(ぼうとう)、競技用(きょうぎよう)と一般用(いっぱんよう)の車(くるま)いすを見(み)せながら根木(ねぎ)さんが「どこが違(ちが)う?」と質問(しつもん)すると、興味津々(きょうみしんしん)の子(こ)どもたちは「こっち(一般用(いっぱんよう))は車輪(しゃりん)が縦(たて)だけど、こっち(競技用(きょうぎよう))は斜(なな)め」「『競技用(きょうぎよう)』には自動車(じどうしゃ)みたいなバンパーが付(つ)いています」と答(こた)えました。
根木(ねぎ)さんが、競技用(きょうぎよう)の車(くるま)いすには、転(ころ)ばないように前(まえ)と後(うし)ろに小(ちい)さい車輪(しゃりん)が二(ふた)つあること、猛(もう)スピードで車(くるま)いすどうしがぶつかるとバンパーから火花(ひばな)が飛(と)び散(ち)ることなどを説明(せつめい)すると、子(こ)どもたちから「ウワーッ!」と大(おお)きな叫(さけ)び声(こえ)が上(あ)がりました。
紅白戦(こうはくせん)で得点(とくてん)も
子(こ)どもたちや先生(せんせい)の代表(だいひょう)による紅白戦(こうはくせん)では、男子(だんし)は0対(たい)0でしたが、女子(じょし)は赤(あか)2対白(たいしろ)0。シュートを決(き)めた6年生(ねんせい)の女子(じょし)に藤森(ふじもり)アナが「今(いま)のお気持(きも)ちは?」と聞(き)くと「初(はじ)めのうちはタイヤがどっちに回(まわ)るか分(わ)からなくて困(こま)ったけど得点(とくてん)できてうれしい」とほほ笑(え)みました。
最後(さいご)に根木(ねぎ)さんが「高校(こうこう)3年生(ねんせい)のときに交通事故(こうつうじこ)で車(くるま)いす使用者(しようしゃ)になりました。当時(とうじ)はかっこ悪(わる)いと思(おも)っていましたけど、今(いま)は恥(は)ずかしくありません。バスケットボールと出会(であ)って幸(しあわ)せ」と話(はな)しました。そして「シュートが入(はい)るまで半年(はんとし)かかりました。がんばれたのはみんなの応援(おうえん)があったから」として「2020年(ねん)パラリンピック、みんなで応援(おうえん)してください」と呼(よ)びかけました。
■人物略歴
いわした・やすし
10歳(さい)で両目(りょうめ)を失明(しつめい)した全盲記者(ぜんもうきしゃ)。1986年(ねん)に毎日新聞入社(まいにちしんぶんにゅうしゃ)。点字毎日編集部(てんじまいにちへんしゅうぶ)を経(へ)て、98年(ねん)から人(ひと)に優(やさ)しい社会(しゃかい)の仕組(しく)み「ユニバーサルデザイン」をテーマにネットコラムを配信(はいしん)しています。55歳(さい)。
■ことば
車(くるま)いすバスケットボール
車(くるま)いすに乗(の)ってプレーするバスケットボール。コートの広(ひろ)さやゴールの高(たか)さは一般(いっぱん)のバスケットボールと同(おな)じです。ルールも一般(いっぱん)のバスケットボールとほぼ同(おな)じ。ただし、ボールを持(も)って車(くるま)いすを3回以上連続(かいいじょうれんぞく)でこぐと反則(はんそく)になります。障害者(しょうがいしゃ)スポーツの花形(はながた)と言(い)われ、パラリンピックの正式種目(せいしきしゅもく)でもあります。
毎日小学生新聞 2017年7月7日