悠山人の新古今

日本初→新古今集選、紫式部集全、和泉式部集全、各現代詠完了!
新領域→短歌写真&俳句写真!
日本初→源氏歌集全完了!

紫式部集058 人らしく

2006-06-12 06:10:00 | 紫式部集

2006-0612-yms058
人らしくないと言われて今さらに
身を捨てるなど出来ない相談   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=「返し 歌本になし」(新潮版注に「歌が写した本にはないという書写者の注」とある)
。続けて詞書。こんなにまで「思ひ屈(くん)じぬべき」(思い悩んで挫けそうな)わが身なのに、「いといたうも上衆(じゃうず)めくかな」(ずいぶん上臈ぶった言動ですこと)との噂が耳に入って。平王ク歌番号063。
 ¶わり(理)なし=道理がない。理屈ではない。現代でも「わり
 に合わない」など。
□紫058:わりなしや ひとこそひとと いはざらめ
      みづからみをや おもひすつべき
□悠058:ひとらしく ないといわれて いまさらに
      みをすてるなど できないそうだん
*now streaming : Artist=BACH|Track=Sonata in d BWV964 - Hewitt*
 http://65.19.173.132:4086


短歌写真165 花ぐはし-万葉集

2006-06-12 06:00:00 | 短歌写真

2006-0612-yts165
花ぐはし葦垣越しにただ一目
相見し児ゆゑ千遍嘆きつ  万葉集


○短歌写真、詠む。【万葉集11-2565】
○万葉集に、「花」始まりの歌数は、片手に満たない
。これはその初出歌。Because of seeing you only once over the fence of reed, with beautiful flowers, I cry thousand times not to see you. くらいの意味か。
【写真の技法】上半分が実写で、下は鏡反転してから、色域指定・色補正を繰り返した。
 ¶くはし(美し。細し)=細やかで美しい。

□はなぐはし あしがきごしに ただひとめ
  あいみしこゆゑ ちたびなげきつ
*now streaming : Artist=TELEMANN|Track=Goebel, MAK - Tafelmusik - Concerto in A*
 http://65.19.173.132:4086


紫式部集057 あれこれの

2006-06-11 06:00:00 | 紫式部集

2006-0611-yms057
あれこれの煩わしさで里居して
ずいぶん長く経ちましたわよ   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=1005(寛弘2)年暮れに出仕した紫は、翌春三月に里居(里帰り)したが、「宮の弁のおもと」(中宮の女房)が、いつごろ戻られるのかしら、と書状を寄越した
。ここから、新潮版と平王ク(061)の歌番号が、大きく乱れる。私は新潮版による。
 ¶宮の弁のおもと(御許)=新潮版は、「中宮の女房。素姓未
 詳。」とするが、平王クは<『紫式部日記』で「宮の」があるのは「宮
 の弁」のみ。中宮付きであることを強調する意味があるか。また、式
 部は自分より上の女房を「君」と呼ぶのに比べて、同格の女房を「お
 もと」と呼んでいる。この宮の弁のおもとも、中あたりなのだろう。左
 大弁源扶義の妻、掌侍藤原義子か。>と詳記。
 ¶うきこと(憂き事)=新潮版は、宮中での「何かいやなこと」の推定に留
 めるが、平王クは、他書になり情交嫌悪説とでもいうべきものを、次の
 ように紹介する。<式部が初出仕後いくばくもなく自邸へ戻ってしまった
 原因を、いずれも同僚女房による式部への冷遇というよりは、道長が新
 参女房に対して挨拶(儀礼)として行う情交に憤りを感じたからだとしてい
 る。諸注釈書には、もっと穏やかな原因しか挙げられていない。>

□紫057:うきことを おもひみだれて あをやぎの
      いとひさしくも なりにけるかな
□悠057:あれこれの わずらわしさで さといして
      ずいぶんながく たちましたわよ


短歌写真164 仲人と

2006-06-11 05:30:00 | 短歌写真

2006-0611-yts164
仲人と潮来の小さき舟に乗り
花嫁さきく眼居のすゑ  悠山人

○短歌写真、詠む。
○行事の名として「嫁入り舟」が使われている。ジューン・ブライドの顔は幸せそう。
□なかうどと いたこのちさき ふねにのり
  はなよめさきく まなこゐのすゑ


紫式部集056 どうなれば

2006-06-10 05:00:00 | 紫式部集
2006-0610-yms056
どうなれば心が満ちていられるか
分かっていても分からないのよ   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=新潮版注に、「不遇な身の上の嘆きが一途に昂じた時
 の思いである。」

 ¶かなふ(適ふ。叶ふ)らむ=(どういう身分になれば)満足すると
 いうのか。
□紫056:こころだに いかなるみにか かなふらむ
      おもひしれども おもひしられず
□悠056:どうなれば こころがみちて いられるか
      わかっていても わからないのよ