悠山人の新古今

日本初→新古今集選、紫式部集全、和泉式部集全、各現代詠完了!
新領域→短歌写真&俳句写真!
日本初→源氏歌集全完了!

紫式部集055 人かずに

2006-06-09 07:00:00 | 紫式部集

2006-0609-yms055
人かずに入らない身であるけれど
せめて心は高くありたい   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=なかなか上級貴族の仲間とは見做されない。いつしか心の中は、そのことで占められそう。そういう身にならないように、と詞書。その中の、「…嘆くことの、やうやうなのめに、…」の「なのめに」で、思考が止まった。平王クで、この解釈の分かれを紹介している。現代かと思える心象風景の一首である。

 ¶なのめに=「日常化すること」「程度の甚だしいこと」の二説が
 ある(平王ク)。旺文版古語辞典には、「なのめ(斜め)」の見出
 し語のもと、「①ありふれたさま。平凡なさま。②いいかげんなさ
 ま、不十分なさま。心をこめないさま。」とある。
□紫055:かずならぬ こころにみをば まかせねど
      みにしたがふは こころなりけり
□悠055:ひとかずに はいらないみで あるけれど
      せめてこころは たかくありたい
*now streaming : Artist=HANDEL|Track=English Concert, Pinnock - Op. 6 Concerto No 5*
 http://65.19.173.132:4086


image109 潮来の花嫁

2006-06-09 00:00:00 | images
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title : June bride of Itako
yyyy/mm : 2006/06
notes : 潮来(いたこ)の花嫁。観光客用ではなく、本物の「嫁入り」に偶会した。この日、午前中に二組あって、午後はこの一組だとのこと。お幸せに! Amorem aeternum!

紫式部集054 若竹よ

2006-06-08 05:10:00 | 紫式部集
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若竹よ育っておくれすくすくと
私にとってはいやな世だけど   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=世は無常と思っている人(紫式部本人)の一人娘が病になった。侍女たちが漢竹(からたけ)呪(まじな)いをするのを見て、と詞書。先の絵といい、この呪術といい、紫の意識の先進性が見える。
 ¶おひゆく(生い行く)=成長する、~してゆく。「生ふ(おふ)」「お
 ゆ(老ゆ)」は、酷似する反対語なので、要注意。
 ¶ものから=接続助詞。「逆接の確定条件を表す。…けれども。…
 ものの。」(旺文版古語辞典)
□紫054:わかたけの おひゆくすゑを いのるかな
      このよをうしと いとふものから
□悠054:わかたけよ そだっておくれ すくすくと
      わたしにとっては いやなよだけど
*now streaming : Artist=BACH|Track=Gilles Colliard - Violin Concerto BWV 1042 In E Major*
 http://65.19.173.132:4086

紫式部集053 わが身さえ

2006-06-06 06:25:00 | 紫式部集
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わが身さえ果敢ない命と知りながら
さらに哀れな朝顔と露   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=このごろ、疫病で死ぬ人が多い、と詞書。人の命のはかなさは、十分に分かっている。でも、朝顔と露が争って消えるのを見ると、いっそうせつない。
 ¶消えぬま(間)=命のあるあいだ。
□紫053:きえぬまの みをもしるしる あさがほの
      つゆとあらそふ よをなげくかな
□悠053:わがみさえ はかないいのちと しりながら
      さらにあわれな あさがおとつゆ
☆秋霜烈日追記(image101金鶏草(05月23日)の記事関連)。朝日新聞・人脈記は「秋霜烈日のバッジ」シリーズを連載中。

短歌写真163 平らけき

2006-06-06 00:20:00 | 短歌写真

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平らけき下総行けば梅雨前に
早や美しき扶桑花の見ゆ  悠山人

○短歌写真、詠む。
○通称は英語訛りのハイビスカス。中国では扶桑花
。朱槿.。日本で訛って仏桑花(華)。
□たひらけき しもふさゆけば つゆまへに
  はやうるはしき ふさうくゎのみゆ
*now streaming : Artist=The Burney Ensemble|Track=BACH - Sonata in G*
 http://65.19.173.132:4086


紫式部集052 時が来て

2006-06-05 00:30:00 | 紫式部集

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時が来て一重に残る山吹は
薄黄に見えてとても薄くは   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=ある高位の方に八重山吹を差し上げたところ、名残の一重山吹をいただいた。花は季節のものですから、たとえ残った一輪でも、愛でるもの。薄黄色だなとと、とんでもございませんわ。あなた様のお心の濃さをうれしく感じています。山吹の花と歌の、贈答の相手はだれか、意図は何か? 真っ先にわく疑問である。これについては、平王クの詳論を参照されたし。なお前歌との間に、写本者の書き込みがあって、欠歌の存在が推定されている。
 ¶をりから(折柄)=ちょうどそのとき。just at the time。現代語
 に同じ。
 ¶ひとへに=「一重に(一重咲きを)」「偏に(一所懸命に)」と懸
 ける。
 ¶うすき=「薄黄(色の花)」「薄き(心)」の掛詞。
□紫052:をりからを ひとへにめづる はなのいろは
      うすきをみつつ うすきともみず
□悠052:ときがきて ひとえにのこる やまぶきは
      うすきにみえて とてもうすくは
*now streaming : Artist=MYSLIVECEK|Track=Prag Chamber Orchestra-Symphony in C Major, F26*
 http://65.19.173.132:4086