カマキリの仔

モコとの散歩で　堤防まで来た
暑いので　自転車でゆっくりこいで来た

堤防に　大きくて高い樹がある
側（そば）を通りかかると
ちょろっと何かが見えた

カマキリだった　
小さなかわいいカマキリの仔だった

近づくと　チョロ　チョロっと
樹の裏に回って隠れてしまった

今日は　危うく　生きるパワーを
吸い取られそうな憂鬱な日であった

カマキリ見逃して　西の空を向くと
梅雨の雲の合間に　夕日が見えた
そこだけ楕円形に　光が溢（あふ）れ
河畔は　明るく照らされている

照ろうが　降ろうが　曇ろうが
きっと　太陽（ひ）は　また昇る
　
どんなことがあったって
太陽は　空の向こうで
この地球（ほし）を廻り
きっと　きっと　私たちを
忘れずに照らしてくれる　
厳しい冬は暖めてくれる

もう既に親は居ないだろう
カマキリの仔よ
お前は寂しかないか
お前はひもじかないか

だけど　そんなお前にも
体の分だけお陽様は
光を分け与えてくだされるであろう

小さくて見逃してしまいそうなお前だけど
お陽様は　決してお前を忘れつことはないだろう

この梅雨空の下　一人で生きるお前は
とんでもなく　すっげえ奴なんだよなあ

なあ　お前　カマキリの仔よ
　
PS　２００７．６．２０　草稿　なお画像はカマキリではありません　６月１７日　公園で撮ったものです