もう少しで収穫というところで
台風が 無情にも 一瞬の内の
いろんな果樹の実を もぎ取ってゆく
リンゴや梨 栗や柿…
ただでさえ 不景気で
農作物の売り上げも 芳しくない時に
よりによって もう少しでという時期に
非情な大風が 細い果樹に吹き付ける
冬は 幹や枝を守り
春は 施肥や 枝の剪定
初夏や夏は 消毒や摘花・摘果 袋がけ
秋は 水やり 草取り …
そして 収穫の準備と 農家は年中忙しい
だけど 今度も台風は
今までの苦労を 水の泡とし
取り入れの楽しみを 吹き飛ばして去ってゆく
ああ だれが自然に何をしたという
土地を愛し 土地に感謝し
大地を愛おしみつつ 大地の世話をし
その地からの恵みを 遠慮がちにそっと少し頂く
そんな年月を重ねて来た農業者を
今年も 台風や大雨が これでもかといためつける
自然も農民も お互いに けっして恨み辛みなどないものを…
来年こそは 田畑で 町で 笑顔あふれんことを
吾 ただひたすらに 天に願うのみ