素人が大上段に構えたテーマでおこがましいが、日経BPの「ESAFTY JAPAN」に「自動車が国内で売れない理由」と題した、経済アナリスト森永卓郎氏の記事を読んでの感想だ。
この記事によると、 昨年の国内新車販売台数は、軽自動車を含めて535万台で、前年比6.7%減という大幅減を記録。しかも3年連続の減少であり、販売台数のピークだった1990年の777万台と比べると31%も減少している。
国内で自動車が売れなくなった理由として、人口減を主張する人がいるが、減少しているのは、子どもの数で、車を運転できる2007年の成年人口は、2006年と比較すると、わずであるが0.3%増えている。だから、人口減が自動車販売減少の理由ではないと氏は言っている。
私の住んでいる町のように1時間に1便の市営バスしか通っていない地方(それでも、道路は立派になったものの、人口減で乗客がいなくなり、民営バスの運行がなくなり、市町村の代替バスも国からの交付金などが小泉改革による大幅減で財政難となって、廃止になった所よりましだが、)では車は生活必需品。
なので、年収が低くても、車は買わなくてはならない。だから、年収300万円台前半という年収の層であっても、66%の普及率を記録している。 森永氏によると車を「買わなくなった」のではなく「買えなくなった」のである。生活必需品といっても、あまりにも低所得になると車を買うことはできない。その証拠に年収200万円未満の世帯になると、自動車の普及率は35%に激減している事実がある。
昨年発表された「民間給与の実態」によると、年収200万円未満の給与所得者が
1023万人と、21年ぶりに1000万人の大台に乗せた。こうした低所得層の拡大が、車の販売不振に結びついているのは間違いない。」と断言している。
もう一つの傍証として、1970年代に20%台あった貯蓄率が、現在、3%になってしまっていることを挙げている。
「貯蓄率が減ったか理由として、日本人が享楽優先のライフスタイルに変わったからではなく、貯金している余力がなくなってしまった 。」と分析している。
そうして、さらにこう断言ししている。
”車の販売台数減少と貯蓄率の低下から、次のようなことが分かる。それは、いままでは貯金を取り崩してモノを消費していたのだが、とうとう蓄えも底をつき、生活必需品である車も買えなくなったということである。
このまま国内自動車販売が減少を続ければどうなるか。外貨獲得のリーダー役である自動車産業が衰退してしまうだろう。自動車は、海外で売れればそれでいいというものではないのだ。中長期の経済政策として日本はだめになってしまう。
小泉元首相以下構造改革派の人たちは、グローバル競争に勝ち抜くためには人件費コストを抑えることが必要不可欠だとして、リストラや非正社員の活用を進めて、平均所得の切り下げを積極的に進めてきた。 そのために、車が買えなくなるくらい庶民の懐が寂しくなってしまったのだ。”と分析。
また、「これまで好調だった軽自動車も、前年比5.1%減の192万台と4年ぶりに減少した一方で、国産超高級車の「レクサス」シリーズが、前年比11.9%も販売台数を増やしたことを挙げ、いわゆる勝ち組が所得を増やして高級車をどんどん買っているのに対して、庶民は軽自動車さえ買えなくなってしまっている。」と主張。
続けて、”レクサスはいい車ではあるが、自動車販売全体の売り上げに対する比率は小さい。自動車業界にとって、レクサスだけが売れても、ほかが落ち込んでしまえば意味がないだろう。ことは車だけではない。若い人たちはお金がないものだから結婚もできない。30代の非婚率は上昇するばかりである。家庭が出来ないから、ファミリー向けの商品も売れないし、年金も倒れてしまう。
日経BPnetには、「国民経済計算確報(2006年度)」のデータをもとにした世界における日本の豊かさの位置づけを整理していた。1人当たりGDPが5万ドルを超える最上位グループには、ルクセンブルクや、ノルウェイなどの北欧諸国が並ぶ。そして4万ドル前後の第2グループには、アメリカ・イギリス・カナダなど欧米の主要国が位置する。日本の位置づけはその下の第3グループである。
1人当たりGDPが3万ドル前後のこのグループには、日本のほかにイタリア・スペイン・ギリシアなどが含まれる。ちなみにOECD加盟国で最下層の第4グループを構成するのは、韓国・ポルトガル・ポーランドなどの中進国だ。つまり日本の位置づけは、先進国の中では最下層に沈んだことになる。
2000年度から2006年度までの6年間で、日本の1人当たりGDPは欧州諸国やカナダ・オーストラリアなどにごぼう抜きにされた。そして今ではイタリア・スペイン・ギリシアといったEUの中では貧しい部類に属する国に追いつかれつつある。日本が「お金持ちの国」だったのは、もう過去の話だ。(「ジャパン・アズ・ナンバーワン」をよく知っている世代としては。まさにため息がでる位置づけである。)
構造改革派の「国際競争力を高めなくては」というかけ声に乗り、「派遣」や「請負」で所得格差は大きく広がった。そして、「政治は2流だが、経済は1流から政治も経済も2流」になってしまった。
森永氏の言う「いいかげんにしろ! 構造改革派――。前年比6.7%減という自動車販売台数の大幅減少は、そうした警告なのではないかと思えるのだ。」は、まにそのとおりだと思う。
この記事によると、 昨年の国内新車販売台数は、軽自動車を含めて535万台で、前年比6.7%減という大幅減を記録。しかも3年連続の減少であり、販売台数のピークだった1990年の777万台と比べると31%も減少している。
国内で自動車が売れなくなった理由として、人口減を主張する人がいるが、減少しているのは、子どもの数で、車を運転できる2007年の成年人口は、2006年と比較すると、わずであるが0.3%増えている。だから、人口減が自動車販売減少の理由ではないと氏は言っている。
私の住んでいる町のように1時間に1便の市営バスしか通っていない地方(それでも、道路は立派になったものの、人口減で乗客がいなくなり、民営バスの運行がなくなり、市町村の代替バスも国からの交付金などが小泉改革による大幅減で財政難となって、廃止になった所よりましだが、)では車は生活必需品。
なので、年収が低くても、車は買わなくてはならない。だから、年収300万円台前半という年収の層であっても、66%の普及率を記録している。 森永氏によると車を「買わなくなった」のではなく「買えなくなった」のである。生活必需品といっても、あまりにも低所得になると車を買うことはできない。その証拠に年収200万円未満の世帯になると、自動車の普及率は35%に激減している事実がある。
昨年発表された「民間給与の実態」によると、年収200万円未満の給与所得者が
1023万人と、21年ぶりに1000万人の大台に乗せた。こうした低所得層の拡大が、車の販売不振に結びついているのは間違いない。」と断言している。
もう一つの傍証として、1970年代に20%台あった貯蓄率が、現在、3%になってしまっていることを挙げている。
「貯蓄率が減ったか理由として、日本人が享楽優先のライフスタイルに変わったからではなく、貯金している余力がなくなってしまった 。」と分析している。
そうして、さらにこう断言ししている。
”車の販売台数減少と貯蓄率の低下から、次のようなことが分かる。それは、いままでは貯金を取り崩してモノを消費していたのだが、とうとう蓄えも底をつき、生活必需品である車も買えなくなったということである。
このまま国内自動車販売が減少を続ければどうなるか。外貨獲得のリーダー役である自動車産業が衰退してしまうだろう。自動車は、海外で売れればそれでいいというものではないのだ。中長期の経済政策として日本はだめになってしまう。
小泉元首相以下構造改革派の人たちは、グローバル競争に勝ち抜くためには人件費コストを抑えることが必要不可欠だとして、リストラや非正社員の活用を進めて、平均所得の切り下げを積極的に進めてきた。 そのために、車が買えなくなるくらい庶民の懐が寂しくなってしまったのだ。”と分析。
また、「これまで好調だった軽自動車も、前年比5.1%減の192万台と4年ぶりに減少した一方で、国産超高級車の「レクサス」シリーズが、前年比11.9%も販売台数を増やしたことを挙げ、いわゆる勝ち組が所得を増やして高級車をどんどん買っているのに対して、庶民は軽自動車さえ買えなくなってしまっている。」と主張。
続けて、”レクサスはいい車ではあるが、自動車販売全体の売り上げに対する比率は小さい。自動車業界にとって、レクサスだけが売れても、ほかが落ち込んでしまえば意味がないだろう。ことは車だけではない。若い人たちはお金がないものだから結婚もできない。30代の非婚率は上昇するばかりである。家庭が出来ないから、ファミリー向けの商品も売れないし、年金も倒れてしまう。
日経BPnetには、「国民経済計算確報(2006年度)」のデータをもとにした世界における日本の豊かさの位置づけを整理していた。1人当たりGDPが5万ドルを超える最上位グループには、ルクセンブルクや、ノルウェイなどの北欧諸国が並ぶ。そして4万ドル前後の第2グループには、アメリカ・イギリス・カナダなど欧米の主要国が位置する。日本の位置づけはその下の第3グループである。
1人当たりGDPが3万ドル前後のこのグループには、日本のほかにイタリア・スペイン・ギリシアなどが含まれる。ちなみにOECD加盟国で最下層の第4グループを構成するのは、韓国・ポルトガル・ポーランドなどの中進国だ。つまり日本の位置づけは、先進国の中では最下層に沈んだことになる。
2000年度から2006年度までの6年間で、日本の1人当たりGDPは欧州諸国やカナダ・オーストラリアなどにごぼう抜きにされた。そして今ではイタリア・スペイン・ギリシアといったEUの中では貧しい部類に属する国に追いつかれつつある。日本が「お金持ちの国」だったのは、もう過去の話だ。(「ジャパン・アズ・ナンバーワン」をよく知っている世代としては。まさにため息がでる位置づけである。)
構造改革派の「国際競争力を高めなくては」というかけ声に乗り、「派遣」や「請負」で所得格差は大きく広がった。そして、「政治は2流だが、経済は1流から政治も経済も2流」になってしまった。
森永氏の言う「いいかげんにしろ! 構造改革派――。前年比6.7%減という自動車販売台数の大幅減少は、そうした警告なのではないかと思えるのだ。」は、まにそのとおりだと思う。