公共工事の場合、地元が反対する理由として多いのが、当初に予定された場所ではないということ。つまり、役所の計画策定段階で当該土地が、最適地として建設予定地に選定されているという情報を得た地元が、強固な反対運動を起こしたため、地元の反対の少なそうな(地元自治会等の力が弱い)場所が選ばれる場合だ。
代替土地として選ばれた地元の住民が役所に場所の選定理由を聞いても後からこじつけた理由が多く、納得できる理由がないからだ。
また、役所が地元との交渉相手の対象とするのは、予定地となる直接の地元の自治会ではなく、各自治会の上部団体で、実際は各自治会の親睦団体的組織である○○町自治会連合会とか、○○町運営協議会だからだ。先ずは、各自治会の了解を得て上で、協定書を締結する相手として、これらを選ぶのであれば理解はできる。
これらの組織の長は、旧来からの地元のボスや地元の建設工事に恩恵を蒙る者が少なくない。組織の長は役所から地元に対し、少しあめ玉(集会所の設置等)を提供してくれるから、長として面目も立つということで、容易に賛成するであろう事を地元住民は気づいている。実際に被害が及ぶ住民の意見をないがしろにした工事の着手が難航することは容易に理解できる。
それにしても、地元の問題に真剣に取り組む住民が少なくなったことも事実だ。
実際、非正規雇用者が増え、働くことで精一杯という住民が増えているので、無理もないとも言える点もある。しかし、最近、特に「長い物には巻かれよ」という風潮が蔓延し、地元住民の自治能力が減少していると捉えるのが正解かも知れない。
だから、役所は利権に関係する者の意見しか聞いていないという結果にも繋がっている。