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川柳・政治・時事・エッセイ

『狼煙はどこまで届くか』かなまる よしあき

2008年01月10日 | 川柳
              現代川柳『泥』終刊号

 時はあたかも21世紀しょっぱなの、平和憲法放棄、国家経済破産の道をずり落ち続け、「昔陸軍今は官僚、ヤクザの支配」などというフレーズさえ流れ、放漫過剰な消費生活に漂流して未来への希望さえなくしている庶民の現況は、表現者に大きく迂回するゆとりなど殆ど許されてなどいないのだ。

 およそ百年前、すでに巨才剣花坊は「日は西に 月はまだ出ぬ世紀末」と絶唱しているが、ここで『現代川柳』の<現代>という単語の持つ呪文的レトリックをひとまずはがして、大胆な再規定を試みることも意味があるのではなかろうか。

 文学にたよる結びつきは擢歌(かがい)以後連綿と続いているけれど、近世の<座>に到ると仲間同士の心地よい<場>として趣向の摺り合わせで成り立ち、連帯は排他を併存させ、いわば仲良し組だけになる閉塞性は長い目で見ると必ず尻つぼみの結末に到る。

 絶対少数の三人で出発した<泥>が拡散と風化を避け、あえて三年と期間を定めたのは
正か否か、全ては夫々の個性のこれからにかかっているけれど、選択した川柳というジャンルが、たった十七文字に限られた空間だからこそ、拡大する可能性も限りなく大きいし、逆に単純倭少化もすこぶる手易いことにもなる。
 
 終わりに他者の無責任な放言になることを怖れず直言すると、創刊号にほとばしった尖鋭的少数者のみが持つレーザー光の鮮やかな交錯が、号を重ねるにつれ、シンパ層の発言を含め、馴染み合いを濃くしているという印象が、じわじわ浮いて来たのも実感として残っている。

                  2007・11・13 没  合掌
コメント
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