川柳・ボートっていいね!北海道散歩

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現代川柳『泥』終刊号によせて

2008年01月23日 | 川柳
 
◎良質な川柳・・・池さとし

 ひとりの川柳人が精神や魂にかかわるようなことを表現しようとするとき、その川柳人のパーソナリティーが、作品をつらぬいている筈である。
 (個性のある作品とはこのことを言い表している。)

ひとりひとりが違う素質を持っていることを念頭において、適格に掘りおこして育て上げる努力を積み重ねることで、良質の作品が誕生することだろう。

◎優しいユダ・遠方探美・ゆたかな闇 川柳句(イリュージョン)

     一句目  日和見のユダと虚実語り合う   テイ子

 いつもどっちを向いているの!まるであなたは聖人のような、悪魔のようなつかみ所の無い男。
でもキリストにそむいたユダだって、キリストにとってまずい恥部を知られたから世記を超えて悪者になってるだけ・・あちらこちらの社会の体制にどこでもあることじゃない。だからあなたと語れる。毅然としているときは聖人。自己保身の虚はユダ。
虚も実も分かって語る。さしずめあなたって優しいユダってとこね。

     最終句  おやゆび姫サンバのリズムに酔い痴れる  テイ子

 終わった!終わった!『泥』。今までの三年間は、好きなダンスも「泥」のことが脳裏から離れることがなかった。やっと川柳の難産から開放されて、私はおやゆび姫・・皆のものおおお・・・踊るわよー!!飲むわよー!白痴と呼ばれても・・。

          ポケットをまさぐる僕だけの楽園     さとし

 仕事・仕事・男は仕事第一が原則通念。外は7人の敵どころか足を引っ張るものばかり。家に帰れば男の休まる居場所は無い。女房は雲龍型の相撲取りのようにでーんとしている。こども達は物質文明の落とし児。やれやれ・・僕の穴のあきそうな小さなポケットをまさぐる。ここが僕の小宇宙なのか。のぞいてみよう僕だけの森羅万象パラダイス。

    最終句   きらめく夜景夢追い人の滑走路      さとし

 故郷は遠い北見に近い生田原。終の棲家はここ函館。夜景を見ながら自分もこの一灯の下で生きる覚悟。現実主義者だから夢を・追える。理想主義者には・・夢は・・遠い・・。
 僕の羽根はここから又、夢を携えて飛び立とう!

           散乱の机上助走はもうしない      容 子

本・本・本・柳誌・柳誌・柳誌・国語辞典・漢和辞典・広辞苑・和英辞典・英和辞典・小説の積読。料理本・読みかけの柳論。柳友の作品集。書きかけのエッセイ。締め切りが迫った投句の宿題・課題。鑑賞句のコメント・各大会の出場・全国誌上大会。柳人へ手紙の返事の数々。こども達の晩ご飯。そして生活の糧の仕事。
終刊号「泥」への構想。あーあー完璧主義のわたし。しばらくは・・走りたくない!

     最終句   はればれと秋雨に打たれ泥の魚     容 子

二の腕をぷるんぷるんと春爛漫・・あれから三年。もう三年目の秋。はやいなー月日の流れは・・。それなりに頑張った「泥」。でもそれは、私のほんのひとこま。いろいろな川柳の賞を頂いたのだけれど・・満足なんてしていない。まるでスタートラインに戻されたようなゼロ地点。でも書こう・・はればれだって!泥の中で泳ぐ川柳の魚は容子です。


                                 続く・・・。
   

 

       
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