言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
グッと感じた言葉・一文などを残してゆきたい。
その他勝手な思いを日記代わりに。

映画『ブラックボックス』

2022-01-22 | 映画 音楽
JAL123便は尾翼付近にある圧力隔壁に問題があって墜落
多くの人命が失われた
この映画は個体が原因で墜落、多数の人命が失われたというのではなく
電子機器アプリの操作が原因とする架空の話だ

考えてみれば現代の世の中、ソフトの進化はすごいものがある
将来的にも生活に大いに入り込んでくるのだろう
それだけに物理的な個体に命を預けることは
覚悟がいる・・・と思うのは年寄りの抱く恐怖感か
今を生きる幼児たちは何の疑問も持たないのかもしれない
社会の進化とはそういうものなのかもしれない
緊迫感・スリル・考えさせるものがあって面白かった

映画『ハウス・オブ・グッチ』

2022-01-17 | 映画 音楽
グッチに創業家所縁の人間は誰もいないらしい
映画を観た限りでは一家は悲惨な行く末をたどり滅んでしまった感がする
そのきっかけ?ともなった女がいて
その女はたまたま知った男がグッチの御曹司とわかり
あの手この手と近づき、ついに結婚することになる
しかし一族の人間とは認めてもらうには時間がかかる
その間彼女はグッチの製品向上に意欲的になり
意見するも受け入れられず、夫とも険悪な関係になり遂に離婚される
娘も出来ていたのに,納得できない彼女は
夫を暗殺しようとまで思いつめ、大金を積んで実行する
しかしその後当局に逮捕され長い投獄生活をおくることになる
肝心のグッチに気の利いた跡取りは居らず
遂に全株を他者に譲渡
坂道を転がるように没落していったようなのだ

映画で重要なこの女の役をレディ・ガガが演じてる
アクドサといい、迫力といい、華麗さといい、
歌一つも歌ってないけれど地で演じてるかのようで面白かった
グッチが背景にあるからか、スクリーンからは
ヴィスコンティみたいな豪華さが滲み出てくる感じがした

映画『クライ マッチョ』

2022-01-14 | 映画 音楽
クリント・イーストウッドも91歳
歳らしい飄々とした演技だ

物語からはあまり面白さは感じなかったが
風景とかそれを背景にした役者のシルエットが印象に残る

歳をとってもクリント・イーストウッドの帽子姿は様になってて
さすがと。嬉しくなった。

映画「ドライブ・マイ・カー」

2021-08-20 | 映画 音楽
監督:浜口龍介 脚本:浜口竜介 大江崇充 音楽:石橋英子  179分  原作:村上春樹
演者:西島秀俊 三浦透子 霧島れいか 安部聡子 韓国ユニット

村上春樹作品に触発された映画。最近では「ハナレイ・ベイ」。この映画ではハワイの潮風のような後味を感じたけれど、今回のは違った。
主役は脚本家であり俳優という設定だし、物語に戯曲「ワーニャ伯父さん」の舞台演出を手掛けるシーンも多く取り入れてあって、車の中でもそのセリフをおぼえようとするシーンがあったりで、このことはこの作品の底に流れる大きな要素になってるのかもしれない。
原作を読んでないので映画だけの世界かもしれない。
ついでに本では感じられないと思うけど手話のシーンがあって、とても印象に残った。しなやかに様々に変化する手の激しい動き、身体の動き、顔の表情、目の動きなどと相まって手話も演劇に十分に耐えられるのだと知ったのは収穫だった。
いい加減途中まできて配役の字幕が流れる。あれって最近の映画のハヤリなのかな。
しかし何が言いたかったのだろうか。私小説の世界ではさほど珍しくもないストーリーのように思うけど、わからない。全体、映画というより演劇という印象だ。
主役の連れ合い、また短期契約の専属ドライバーはともに女性。二人ともどことなくアブノーマルで何かを秘めている、他人に話さないものを感じさせて、役者って凄いなと思う。
息抜きとして観る映画ではなかったな。でも長さを感じさせない緊張感と迫力のある映画だった。

映画『ジャズ喫茶 ベイシー』

2020-09-20 | 映画 音楽
岩手県一関市にあるジャズ喫茶BASIE。
オーナーが好きなジャズメン、カウントべーシーを、50年前、店名に。
JBLのオーディオシステムをチューニングして原音再生にこだわり
愛好家には超有名なジャズ喫茶になってる。・・・らしい。
何時しかジャズを愛する有名人が全国から訪れるようになり
映画でそのうんちくを語る。 だれもうれしそうな顔してる。
カウントべーシー本人もいつしか来店するようになったらしい。
この映画はドキュメントなのだ。
がっちり目の垢ぬけた古民家のような店内には数多くのLP
そして大きな音響機器。
どんな音を吐き出すのかは、店にゆかなければわからないけど、
雰囲気は十分伝わる。
東京ではなく、地方にジャズ喫茶の一流があるというのは
当世風でおもしろいと思った。
映画館内は、このところコロナ対策で隔席だったが、今日は最前席含め
全席うまっておりました。
このままコロナが終息することを願うばかりだ。


映画『マイルス・デイビス』

2020-09-06 | 映画 音楽
マイルス・デイビスの成長アルバムをパラパラとめくってるような映画だった。
「俺は音楽に呪われてきた。寝ても覚めても頭には音楽があった。
 人生は冒険であり挑戦だ。安定を求めるものじゃない。
 創造を続けるには変わることだ。」(フライヤーから抜粋)
マイルスは地元でも有数の富裕層に生まれた。幼少のころ父からもらった
トランペット。まもなく頭角を現し音楽活動に没頭。
それから亡くなるまでジャズのトップランナー。
よく知らないがジャズのスタイルを10年置き位に変革していったらしい。
その1時期に映画「死刑台のエレベーター」は試写を見ながら即興でレコーディングした。
このような記録を観るなんてすばらしい。
高音の冴えた音色は何故か夜の摩天楼に合う。その頃の音がいいな~。
2時間くらいの映画だったけれど、マイルスのトランペットを中心に
ベース・トロンボーン・・・・様々な音に溢れた映画だった。
久々に聴きいった映画だった。
         原題: Miles Davis:Birth Of the Cool 115分
         2019年制作  製作国:アメリカ

映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』

2020-08-14 | 映画 音楽
コロナの最中、映画館に行く。混むかと思い初回上映時間に行った。
思ったほどではなく、着席不可の席を除いても余裕あった。
ヒットラーのナチス・ポルポトのカンボジア・毛沢東の中国・・どこの国でも過去に百万を超える人々が虐殺されてきた。先の大戦で日本は300萬人余りの戦没者とか。
ソ連も例外ではないのだけど、あまり歴史に出てこない。

映画では、あるイギリス人記者が抱いた疑問・・何故世界各国が不況に喘いでいるのに
ソ連だけが不況知らずを喧伝しているのか?その理由を知りたい・・というものだった。
実際に行動し始めてすぐに、体制の異なる国での行動は身の危険極まりないことを知る。
共産党員の有力者は裕福にくらしている反面、木の幹を食べるほど、兄弟の死肉を食べざるを得ないほど飢餓に苦しむ百万を超えるとも言われるウクライナの民衆の実態を、ひたすら世間から隠しとおしているスターリン下の共産党の実態を、イギリス人記者は危険に晒されながら体験するが、ソ連に住み着いてる住民やジャーナリスト達は、うすうす感じて知ってはいたのだろうが真実を公にすることなど思いもよらないことなのだ。長いものに巻かれてるのが処世術なのだ。また他国の一部の知識人は、革命のあの国の実験中のできごとだからと言ってあまり問題視しないこともあったようだ。
今、香港で似たような事象が起きている。若い反政府主義者や・新聞人達は様々な電子機器を用いて世界に発信して、世界の人々がすぐにも事実をある程度知ることができる世の中になって当局は乱暴なことはできなくなっているけれど、それでも体制に反する人々への対応は本質的にあまり変わらないように思え、中国の政策に批判的な人々にとっては言いようのない不気味さはある。
映画はカラーではあるけれど、白黒映画を観てるような感じがした。

邦題:『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』  118分
監督:アグニェシュカ・ホランド
制作国:ポーランド・イギリス・ウクライナ

映画「三島VS東大全共闘」

2020-03-20 | 映画 音楽
『三島由紀夫vs東大全共闘50年の真実』を観た。

三島も全共闘のリーダー達も、バリバリの血の気の多い青年達で、
「今日は三島をぶん殴りに来たのだ」とか「今日は三島を論破し、舞台で切腹させるのだ」と息巻いて集まったものの暴力ではなく、言葉で互いの主張をぶつけ合う様は、なにか清々しさを感ずるものだった。

そして当時を回想する現代の識者が「熱と敬意と言葉」ということを言っていたけれど、
まったく納得のゆく表現だと思った。

この言葉の決闘のような記録は、テレビのTBSの倉庫に長い間眠っていたそうで、半世紀を超えて改めて見せてくれるといろいろと考えさせられた。

三島由紀夫を再認識させられた。

映画「帰郷」

2019-11-14 | 映画 音楽
第32回東京国際映画祭 特別上映 11月4日 TOHO CINEMAS Roppongi Hills SCREEN7
ゲスト:仲代達矢 常盤貴子 北村一輝 田中美里 杉田成道監督

新聞の抜粋:仏カンヌで開かれたテレビ業界が対象の国際見本市で初公開された作品で、作家の藤沢周平の短編小説が原作。CS放送などの「時代劇専門チャンネル」のオリジナル作品で、時代劇では初となる8Kで撮影。第32回東京国際映画祭は特別功労賞に俳優、仲代達矢(86)と大林宣彦監督(81)を選んだ。

映画界のお祭り。たくさんの国内外の映画が上映されていた。その中での時代劇は異色。観客も少なかろうと思って言ったら、満員。メディア関連の方々が前席のほうに詰めていたのはゲストの面々の撮影のためでした。

仲代達矢氏は86歳というけれど、老けた感じなど毛頭なくすごいと思った。時代劇に通用しそうな役者さんは少なくなったけど、この作品に出てくる年寄りは、中村敦夫79歳、橋爪功78歳なのだが、仲代と中村が大太刀回りを演ずるのだ。なんか滑稽なところも感じて面白かった。それはかつての喧嘩相手(中村敦夫)にも会いたくて故郷に帰ってきたというのだから、男っぽさを感じてしまう。自分の娘(常盤貴子)を妾にしようとしているその相手。歳はとっても顔見れば喧嘩するというわけで、中村が切り下げた刀が失敗するや仲代にブッスリと刺されてしまい一件落着。辺りは血まみれの修羅場。テレビ的、歌舞伎的。舞台は信州・木曽福島。日本の自然の風景をみずみずしい美しさで撮られていた。

映画「永遠の門 ゴッホの見た未来」

2019-11-12 | 映画 音楽
久しぶりの画家の映画。主人公はゴッホ。星の数ほど画家はいるのに、やはりゴッホかという思いはする。

監督のジュリアン・シュナーベルという人はかつては有名な画家だったらしい。彼はゴッホの目線で映画を撮りたかったらしく、映画での風景が、まるで動くゴッホの絵のようですばらしい。ただ画面の動きが大きい。意識的なカメラワークかもしれないが、観ずらいところもあった。小さな小屋の中の様子なんかは目が回る感じがした。

自分の絵とか周囲に懐疑的なゴッホに、ゴーギャンは「南に行け」と勧めるのだった。
南フランスのアルル。色彩溢れるアルルで、何かが弾けたように、彼は自然に埋もれるがごとくたくさんの風景を描く。
絵具をたっぷり使い、彫刻のようだというゴーギャンなのだが、これでもかというくらい強烈なインパクトを放つ黄色。緑、空の色。もう迷いはないという自信に満ちて作品を生み出していったのだ。だがどこか異常に見えた行動はアルルの住人からは警戒されてしまう。犯罪ともとれる行動を幾度も起こし、精神異常者の収容所へ収監されてしまう。
収監された施設から釈放されるときの最終判断は、牧師との面談によるらしいが、この面談で取り交わす言葉のやり取りにはこの映画への、たくさん意味が含まれていたように思う。

経済的に困窮者とも言える状態で亡くなったゴッホの絵が、現在信じがたい値で取引されていることにものすごく違和感を感じる。絵はチューリップ騒ぎと同じなのか、それが今も続いているのではないのか・・そのうえ銃に撃たれ、亡くなってからその名声が高まるなどというのはもう理不尽に近いものを感じる。

背景に流れる音楽だけれど、画面がどちらかといえば静かな印象なのにやたらと大きな音量で・・特にピアノの音が耳にガンガンと入ってくる感じでうるさかった。この映画館だけの事かどうかは知らない。

ゴッホ役のウィレム・デフォーはゴッホになり切っていたと思う。名演。「狂人の目」を感じさせたら快演と思う。