言葉のクロッキー

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神遊 第40回記念公演

2010-07-03 | 能・芸能
神遊 第40回記念公演(祝言能) 於:矢来能楽堂

演目
・能  『菊慈童』
      シテ:観世喜正
      ワキ:森 常好
      ワキツレ:高井松男 梅村昌功 野口能弘 野口琢弘

・狂言 『鐘の音』
      シテ:高澤祐介
      アド:三宅右矩

・仕舞 『枕慈童』 大槻文蔵
    『大瓶猩々』観世喜之

・能  『猩々』
      シテ:観世喜正
      ツレ:小島英明
      ワキ:舘田善博

「祝言」と表記されると結婚式のイメージしか湧かなかったのだけれど、当日能楽堂の入り口で手渡された資料を読むと能に於ける「祝言」についていろいろと記されていて勉強になった。要するに「めでたい曲全般」をいうのだ。めでたい曲ならば脇能かなーと思ったりしたけど研究者の解釈では、一部の曲が明治以降に「祝言能」と呼ばれ現代に至ってるらしい。「めでたさ」の印象を強くするためなのか、演能の最初か、最後に演ぜられ、簡潔にということかどうか知らないが、演目の後半のみを抜粋して演ずるいわゆる「半能」の形式をとるのが一般的らしいが、今回の神遊の試みは、半能でなく完曲で演じたということにあるのだ。「菊慈童」は謡本まで半能に改訂されてるくらいでこれを全曲通して演じたのは平成16年と記載されていることから、復曲された能なのでしょう。仕舞に「枕慈童」とあってこれは誤植かと思ったが、物語の内容からすると両方ともありで「湯谷」と「熊野」みたいなものだった。「菊慈童」は「帝に永遠の生命を捧げることで当代の泰平を寿いだ作品」また「猩々」は「猩々夫婦が曲を通し登場し、夢を信じて商売する男の孝行や御代の泰平を讃美した作品」とあった。めでたい曲だけに装束は豪華絢爛。舞台は華やいだものでした。ちょっと物足りなかったのは、地謡とお囃子でした。湿気のせいか大鼓のカーンという冴えた音が少なかったです。また入り口ではいつもの和菓子の販売に加え、特製の軽井沢モルトウィスキー販売とワンコインのワインサービスがあった。