九月夜能 平成24年9月12日 17:30~20;30 国立能楽堂於
・番組
《舞囃子》
1.宝生流 「松尾」 山内崇生
2.宝生流 「七騎落」 小林与志郎
3.観世流 「東岸居士」 観世喜正
《狂言》
1.和泉流 「酢薑」 シテ 野村萬 アド 野村扇丞
《 能 》
1.観世流 「砧 梓之出」
シテ 観世喜之 ツレ 坂 真太郎
ワキ 宝生 閑
大曲「砧」。地べたを這うような深刻な能。愛する夫の帰郷を待ちわびて、待ちわびて、待ち切れず、砧を打つ音がかき消えるように地獄へ落ちる。やっと帰郷した夫は、亡霊となった妻と夢の中で会い、妻の恨みつらみを聴く。が、法華経の功徳によって成仏してゆく。 七〇〇年もの昔、遠く離れた異郷にいる人間がどうなってるのかは闇の中なのだ。愛するが故に日々の寂しさを募らせてゆくシテ(妻)が何を想い、狂わんばかりに死んでいったということも当時はあったのかもしれない。 この曲はシテの台詞と地謡の謡をジックリ聴くとジワっとしたものを感ずるかもしれないのだけど、雰囲気は良いものの善之師の台詞が今一つ聞き取りにくかったのが残念だった。