神遊 第43回公演 平成24年10月19日 於:矢来能楽堂
プレ公演 「徹底解剖 秘伝 道成寺」 本番 平成25年3月
・能「道成寺」の秘伝トーク 観世喜正 森常好
・乱拍子 観世喜正 小鼓:観世新九郎
・素囃子 「道成寺組曲」
笛:一噌隆之 小鼓:観世新九郎 大鼓:柿原弘和 太鼓:観世元伯
・能「道成寺」一部 鐘なし。後半のワキの語りから
今回は「道成寺」について、その演出のいろいろを可能な限り観客に公開し、この曲をより知ってもらうために企画された。もっぱらお囃子方の裏話が多かったが、鐘そのものについては全てを観客に公開することはできないようだ。他の多くのシテ方の都合もあるのかあるいは能の秘伝の一つとして、やはり公開するにはいたらないようだった。
いろいろと演出について実演を交えて語られたけれど、「乱拍子」がインパクトがあって面白かった。通常囃子は笛・小鼓・大鼓・太鼓で拍子付をしてゆくけれど、乱拍子は小鼓だけでシテと演るのだ。(節目節目で笛が簡潔に吹かれる程度。)具体的には小鼓のメリハリ付けた音とかけ声。それのみでシテが舞う。双方気後れしたり遠慮などしない。気力でそれぞれのパートを努める。シテは小鼓方より前で舞うので、いつ鼓の音が出るか、かけ声が出るか分らない。また小鼓方はいつシテが次の舞に移ってゆくのかそのタイミングが分りずらい。したがって互いの空気感でもって一連の舞を完結させてゆくのだ。シテの所作も能にしてはダイナミックだし、小鼓も思い切り良く観客に音をぶつけてくるので、2人が噛み合ってないと観れたものではないのだ。今回は良かった。挑戦的で戦闘的ですら感じ、緊張感があった。