言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
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その他勝手な思いを日記代わりに。

映画「躍る旅人」

2015-07-02 | 映画 音楽
ロマではない。観世流能楽師・津村禮次郎の肖像である。能楽師というけれど津村は現職の日蓮宗の僧侶でもある。能楽師としてその立ち位置を確たるものにしておきながら、バレエやパントマイム・詩の朗読・バリ舞踊など様々な分野で活躍する若きアーチストと共演する。70をいうに越え、津村の子供とも言える年代の若い踊り手と共演を果たす。年の差もなんのそのという元気の良さだ。能楽師が共演をするというのは大抵、歌舞伎とか日舞とか日本の伝統芸能の先手の人びととが主だと思っていたけれど、津村は違うのだ。しかし70歳を超えてなお、なぜ新たな表現を求めて異なる分野の身体表現に挑戦するのだろうか。共演した演目で、能の表現をより際立たせようとするのだろうか。異分野と共演することで、新たな表現を作りだしたいというのであろうか。あるいは能楽師としてその表現を高めようというのだろうか。映画は110分。監督の三宅流は「フィルムは、約5年間、300時間を超えるフィルムを編集して作成した」という。答えはその中にあるのかもしれない。映像も音声も素晴らしい。でも古典と現代とのコラボというのはどうもすんなり理解できない。狂言ではないが、
古典は守って滅びても良いのではないのか。