言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
グッと感じた言葉・一文などを残してゆきたい。
その他勝手な思いを日記代わりに。

犬の写真

2022-04-04 | 所感折節
部屋の壁に、4枚の写真がそれぞれ小さな額に収まって飾ってある。
我が家で14年余り過ごした犬の写真だ。
1枚目はペットショップで見つけ、家で飼い始めてから数か月すぎた頃のものだ。
座卓の下にもぐりこんで、狭い空間でスリッパをかじり、得意げにこちらを見ている写真。
2枚目は、それから数年経った頃、元気溌剌として、全身筋肉という感じで
公園を走り回っていた頃で、空を見上げ長い舌を出している写真。
3枚目は、それから更に数年後で、
首に赤いマフラーをし、頭にちょこんと小さな三角帽をかぶった写真。
しかし顔は痩せ、頬骨が浮き出、目に光なくやっと正面を向いてる状態だ。
この頃病んでいたのかもしれない。
4枚目は、突然というか目の前でバッタリと倒れ痙攣し、そのまま死んでしまって
数時間経った頃の写真。
首から下の毛は油気のないパサパサしていて歳を感じさせるけれど
顔だけはどういうものかふっくらとして明るく、とても穏やかだ。
毛並みすら違って見える。  ゆっくりと顔の様子が変わっていったのを覚えている。
苦しさから解放されたのかもしれない。
思えば老年になってから、外に散歩に連れ出しても次第しだいにユックリとしか歩けなく
なってしまった。冬の風の冷たく吹く日など犬舎の奥に横たわってなかなか出てこなかった。
排泄も犬舎の中でしていた。あの頃、本当は散歩などしたくなかったのかもしれない、
あるいは出来なかったのかもしれない。
飼い主の勝手に付き合わされて犬はとっても辛かったのかもしれない。

4枚目の写真を眺めるたびに、反省めいた気持ちにさせられる。