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ニコンあれこれ

2017年04月16日 | カメラ

「D7500 」発表

ニコンが新しい一眼レフ「D7500 」を発表しました(ニコンのリリース参照)。6 月発売予定。

ニコンD7500 (ニコンのニュースリリースより。クリックで拡大。)

ニコンの新しい一眼レフが発表されるのは、久しぶりのような気がしますね。(昨年11月に、エントリーモデル「D5600」が発表されていますが)

1000 人規模のリストラとか、高級コンパクトカメラ「DLシリーズ」発売中止とか、何となく元気がなくなったような印象があったニコン。いやなムードを払拭するためにも、せっかく100周年の今年、魅力的な新しいカメラを出してほしいところです。

 

さて、「D7500 」は、同じDXフォーマット(APS-C サイズ)の「D500 」(2016年4月発売)と「D7200」(2015年3月発売)の中間の性能を持った“中級機”という位置づけになるようです。

 

下は「D7500」のプロモーションムービー(YouTube より)。

高性能で、それでいて軽量の一眼レフ。イイじゃない… 

 

「D500 」の良いところをかなり取り込んでいるのが魅力ですね。

個人的に、キヤノンユーザーですが、「D500 」は高速連写機として絶対いいカメラだという確信があって、ニコンに浮気するなら「D500 」だなと思っているところ… (『ニコン「D500」の印象』 2016年02月14日 記事 参照)

 

画像処理エンジンとセンサーが「D500 」のそのままで、同じように高感度に強い( ISO100〜51200 )。グループエリアAF とか、180KピクセルRGBセンサーによる測光で全体的にAF・AE性能が強化。蛍光灯などのチラツキ(フリッカー)を低減する機能もあり、4K 動画に対応しています。

連写速度は約8 コマ/秒。さすがに「D500」の10 コマ/秒には及びませんが、APS-C 中級機としてはキヤノン「EOS 80D 」の約7 コマ/秒を上回り、高性能。

「連写時間を長く」というユーザーの要望に応え、バッファーメモリー容量を拡大したそうです。これによって、最高約8コマ/秒で50コマ(14ビット記録のロスレス圧縮RAW)という高速・連続撮影を実現。

以上、いずれも前モデルの「D7200」から大幅に進化しています。

にもかかわらず、ボディーは720gと、「D7200 」(約765g )より軽くなりました(バッテリー、カード含む) 。

 

「プロ仕様のD500 はちょっと手が出ないが」と思っているアマチュアには、魅力的な高性能機。

 

ですが、そればかりでもない一面があって… その辺が今のニコンの複雑な事情を感じさせるところなんですね。

 

一部スペックダウンも

あえて短所を上げると、画素が「D7200」の2416万画素から2088万画素へとダウンしています。これは「D500」の2088万画素センサーをそのまま導入したためで、やむを得ないところがあるかも。まあ、その程度の画素の差は見た目に分からないといえばそうですが。

また、「D7200」はSD カードスロットがダブルスロットでしたが、「D7500 」はシングルスロットになってしまいました。

「D7200」に用意されていたマルチパワーバッテリーパック(縦位置グリップ)も用意されていません。

液晶モニターがチルト式、タッチパネルになったのはいいものの、解像度が落ちています(122.9万ドット→92.2万ドット)

ボディーのコンパクト化でバッテリーが変更されたためか、撮影可能コマ数が「D7200」よりやや少なくなっています(約1110コマ → 約950コマ )。

それから、プロモーションムービーを見て「やっぱりね」と思ったことがあります。AFの測距点数。「D500」は153点もあるのですが、「D7500 」は51点。「D7200」と同じままです。これはスペックダウンではないものの、もうちょっと「D500」に迫るまで頑張ってほしかったな、という印象でした。

 

「D7200」よりすべてのスペックが上がったわけではなく、また“尖がった機能”も見当たらないのは、製品化する過程で慎重に取捨選択が行われたことをうかがわせます。

需要に応じた性能にとどめ、開発コストを絞りこむ--- そういう意識が働いたかも。

 

収益性重視に転換

ニコンの牛田一雄社長が4月6日、日経の取材に応じたインタビュー記事『ニコン、牛田社長「もう神風に頼らない」 』が、これからのニコンの方向性を示しています。

要は「収益性重視」ということ。

 

日経の記事によると、牛田氏は『カメラ事業は一眼レフなどの中高級品にシフトして、収益性が悪いものはやめていく。市場の縮小を前提として経営し、売り上げの拡大は追わない。大事なのは収益性だ。光学レンズの開発も集約していく。』と話しています。

牛田氏はまた、『恥ずかしいことだが、ニコンはそういうこと(収益性)を考えなくてもこれまで100年生き延びてきた。フィルムカメラの需要がなくなっても、2000年以降、デジタルカメラの普及が始まった。半導体ブームで半導体露光装置が伸びて、それが終われば液晶露光装置の投資が増えた。神風に助けられて生きてきたんだと思う。これからはその保証もない。だから、筋肉質にすることで、各事業が利益を出す体質に変わって、神風を頼りにしない経営に変えていく。』とも。

ウ~ム、そういう方向に向かうのか… と、いささか微妙な、感慨深いものがありました。

 

新製品の「D7500 」も、そういう目で見ると「D500 」と「D7200」の“いいとこ取り”をした上、市場調査で需要が少ないと見たスペックはそぎ落としたモデルなのかも。

すでにある技術を活用しているので、開発コストもあまりかかっていないんじゃないでしょうか。

もちろん、それはそれでユーザーにとって手ごろで使いやすいカメラになる可能性もあるわけで、全く別の問題ですけど…

  

ニコンが堅実経営を目指すこと自体は良い方向。

カメラ市場でのシェアは大きいし、プロ・アマとも根強い人気。人員削減規模も実はそれほど大きくない(半導体露光装置分野の方が大きい)。経営陣が適切に手を打っていけば「ニコンのカメラ」は大丈夫という気がしています。

ただ、カメラファンとしては、収益性など度外視した、あっと驚くような新製品も見たいな~ (矛盾!)

 

100年の歴史を誇るニコンのカメラ。その未来は… (2015年、東京・品川のニコンミュージアムで)

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