◆キヤノン ・ ニコンのフラッグシップを超えた!?
ソニーが4 月19 日、プロ仕様のフルサイズEマウントミラーレス機「α9 」を海外で発表したのに続き、21日には日本でも発表しました。(ソニーの国内発表参照)(ボディ・レンズ写真は海外プレスリリースより)
5 月26 日発売。市場推定価格は50万円前後。
ソニー「α9 」。
これまでの「α7 」シリーズとほぼ同じ外観のカメラですが、「9」という新たなネーミングに加え、ロゴをゴールドにしたところなど、「これまでで最高のフルサイズ・ミラーレスですよ!」という、ソニーの意気込みがにじみ出ています。
「FE 24-70mm F2.8 GM 」を付けた「α9 」。
早くからネットで登場が噂されていただけに、カメラ関係のサイトは興奮気味。
『SONY α9 徹底解説!真のゲームチェンジャーここに爆誕!』(Amazing Graph )など、ボルテージが上がっています…
実機が公開されたら、絶対見に行かなくてはなりませんね。
「α9 」の上面。
上面左肩に、ドライブモード(連写H、M、L など)と、フォーカスモード(AF-S、AF-C など)が上下2 段ダイヤルになっています。
「α9 」の背面。3型144万ドットの背面チルトモニターはタッチパネル式。
モニター右横に設けられたジョイスティック(中央)。AFエリアをパパッと素早く変えるのに便利そうです。
ファインダー(EVF)は高性能の369万ドット有機EL。ソニーの内蔵EVFで最高の解像度とか。フレームレートは60fpsか120fpsを選択。おそらく120fpsなら、ミラーレスのファインダーにありがちなぎこちない動きはなく、とてもスムーズでしょう(富士「X-T2 」のフレームレートを変えて試した経験上…)。
このカメラの最大の特徴は、AE/AF追従で最高20コマ/秒という驚異的な連写性能。
同じフルサイズで連写性能を誇るフラッグシップ機、キヤノン「EOS-1D X Mark II」(14コマ/秒)やニコン「D5 」(12コマ/秒)をはるかに上回ります。
秒間のコマ数がすごいだけでなく、RAW(圧縮RAW)で241 枚、JPEGで362 枚の連続撮影が可能。また連続撮影の間、ブラックアウト(ファインダー像の消失)が全くなく、まるで肉眼で見ているように撮影できるとのこと。
AF ポイントは693点(像面位相差AF )! 画面のほとんど全面(93%)でピントを合わせることができます。AE/AF追従の演算は1秒間に60回。AF の速さは「α7R II 」より25%速くなったそうです。
画面のほとんどをカバーするAF ポイント。(ソニーのプレスリリース動画より)
加えて、完全無音・無振動のサイレント撮影が可能で、これは選手の精神集中に配慮した場面や劇場での撮影に威力を発揮しそう。
連写性能を優先したため、2,420万画素と画素数は抑え目ながら、それでもキヤノン「EOS-1D X Mark II(2020万画素)」やニコン「D5 」(2082万画素)以上です。
4K (30 P)動画に対応、プロ向けの外部接続インターフェースも充実。
ボディーの重さは673g(バッテリー、記録メディア込み)。1 kg を超える一眼レフのフラッグシップ機にくらべれば段違いの軽さ。
というわけで、素晴らしいカメラですね。オリンピックなどスポーツ撮影で幅をきかせているキヤノン、ニコンの2 強も真っ青に…?
東京五輪では2 強の間に割って入り、かなりのプロカメラマンが「α9 」を使うのではないか、との観測がしきり。
ソニー、すごいです~
◆積層型センサーの威力
「α9 」の優れた性能の多くは、フルサイズで初めて採用された積層型CMOSセンサー「Exmor RS」と、進化した画像処理エンジン「BIONZ X 」、電子シャッターの連携によるところが大きいようです。
電子シャッターは、メカニカルなシャッター動作がなくてすむため、連写向き。
すでに色々なカメラで使われていますが、これまでは高速で動く被写体に電子的な処理が間に合わないため、画像に動体歪み(ディスト―ション)が出るのが欠点でした。
たとえば、飛行機のプロペラがバラバラに写ったり、走る列車の車体が斜めに歪む、ゴルフスイングでクラブがぐにゃりと曲がったように見えるなどの現象…
左が従来の電子シャッター、右は「α9 」のアンチディスト―ションシャッターによる撮影。(ソニーのプレスリリース動画より)
「α9 」は、積層型CMOSセンサーによる、従来比約20 倍の速さのデータ読み出しで、電子シャッター特有の動体歪みを抑制できたそうです。
これでスポーツ撮影でも、電子シャッターが“使い物になる”というわけです。
電子シャッターでなければ、20コマ/秒の連写なんて、とても無理でしょう(キヤノン、ニコンがメカニカルシャッターでいくら頑張ったとしても)。
◆足りないところは…
とはいっても、まだ「α9 」が最強とはいえない点も。
問題のひとつは、ミラーレス特有のバッテリーの持ちの悪さ、ですね。
この点を解決するため、「α9 」は従来比約2.2倍の容量のバッテリー「NP-F100」を採用。撮影可能枚数はファインダー使用時約480枚、液晶モニター使用時約650枚となっています。
しかし一眼レフのフラッグシップ機なら、ニコン「D5 」で約3780枚、キヤノン「EOS-1D X Mark II」で約1210枚撮れます。
何千枚(ときに何万枚)も撮るプロカメラマンにとって、たびたびバッテリーを交換しなければならないのは大きなネック。
もちろん、ソニーもアクセサリを用意していて、別売の縦位置グリップ『VG-C3EM』を装着すれば約950枚の連続撮影が可能。さらに、最大4個のバッテリーを充電可能なマルチバッテリーアダプターキット『NPA-MQZ1K』を使えば、もっと長時間の撮影もできる、としています。
ただ、オリンピックなどシビアな場面を想定した時、どうなんでしょうね… また、まだレンズ資産が少ないことも問題。
ちょっと気になるところです。
AF の“食い付き具合”やEVF の見え方が光学ファインダーと比べてどうか、など実際に手にとって使ってみなければわからないこともたくさんありそう。
とはいえ、久々に “ゾクッとくる” ような新製品。
「買えないけど…」とは思いながら、色々なサイトで性能解説を見てしまいました。
ソニーの「α9 」機能説明ビデオ
--------------------------------------------------------------------------------
関連記事・サイト
・『ソニー「α9」、日本で5月26日発売。約50万円』(デジカメWatch)
・『ソニー、積層型フルサイズCMOS搭載の「α9」を海外発表』(デジカメWatch)
・『SONY α9徹底解説!真のゲームチェンジャーここに爆誕!』(Amazing Graph )
・『SONY αシリーズ新機種カメラ・レンズ・アクセサリー価格情報!』(Amazing Graph )
・『一眼レフ超えの速写で東京五輪に焦点 ソニー「α9」』(日経トレンディネット)
・『ソニー、フルサイズ積層型CMOS搭載のミラーレス「α9」を5/26発売』(価格.com 新製品ニュース)
・『連写速すぎAFポイント多すぎ!ソニー「α9」というEマウントの決定打(国内正式発表追記あり)』(GIZMODO)