11月29日、太陽に最接近したアイソン彗星。12月初めには夜明け前の東の空に現れるというので、撮影しようかと思っていました。ところが、最接近のさいにバラバラになって蒸発したというニュース。がっかりでしたね。
ただ、SOHO(太陽観測衛星)がとらえた彗星の映像を見ていておかしいなと思っていました。
下の写真は、SOHO LASCO C3 Latest Image という最新画像を見られるページで、29日の最接近直後に見たもの。
(Image Credit: NASA/SDO/ESA/SOHO/GSFC)
中央の白い円が太陽の位置。見えない円盤部分は強烈な光をさえぎるための遮蔽板です。
アイソン彗星は右下の方向から太陽に接近、太陽の左側をかすめて行きました。そして蒸発?
しかし、左上に三角形をした彗星らしきものがありますよね。
もう少し時間がたった映像にも…
(Image Credit: NASA/SDO/ESA/SOHO/GSFC)
はっきり写っています。
そして今日見た映像。
(Image Credit: NASA/SDO/ESA/SOHO/GSFC)
尾を広げて、太陽から遠ざかるもの。
これは生き残ったアイソン彗星ではないでしょうか。
これを裏付けるニュースがいろいろ出ています。
その一つ、アイソン彗星、生き延びた?(CNN.co.jp )によると、
『太陽への接近で消滅した可能性もあるとみられていた「アイソン彗星(すいせい)」について、米海軍研究試験所の研究者は28日、彗星の核の少なくとも一部が残っているとの見方を示した。研究者のカール・バッタムズ氏は、アイソン彗星の核の一部が近日点を無事乗り越えたと思われると発言。「核の一部は太陽コロナを通過し、再び姿を現したようだ。ちりとガスをまき散らしているが、これがいつまで続くかはわからない」と語った。』
と書かれています。
読売新聞も、アイソン彗星「生き延びたかも」…白く輝き飛ぶ(YOMIURI ONLINE)で次のように報道。
『【ワシントン=中島達雄】太陽に最接近した際に蒸発したとみられていたアイソン彗星について、米航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)は29日、「彗星本体の核が、部分的に残っている可能性がある」と発表した。』
SOHOのサイトに掲載されている動画を見ると、さらに良くわかります。
アイソン彗星は太陽の高熱に耐えて一部だけが残り、宇宙を飛び続けているのでしょう。12月初めの夜明け前、望遠鏡を使えばその姿を捕らえられるかもしれません。
「蒸発」の各種ニュースでは、ギリシャ神話のイカロスにもたとえられたアイソン彗星。ちょっとばかり、たとえ話が早すぎたようです。
注) SOHOは、欧州宇宙機関(ESA) とアメリカ航空宇宙局(NASA) が開発した、太陽観測衛星。LASCO C2、LASCO C3 という視野角の異なる2つのカメラで太陽を常時観測しています。
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