つれづれ写真ノート

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冥王星の素顔

2015年07月16日 | 宇宙

 

これが冥王星。おそらく歴史に残る写真ではないでしょうか。最接近前日の7月 13 日、ニューホライズンズのカメラ「Long Range Reconnaissance Imager (LORRI)」が、768,000キロ手前から撮影。(Credits: NASA/APL/SwRI)

 

いよいよ、米航空宇宙局(NASA)の探査機「ニュー・ホライズンズ」が、冥王星に最接近した時(正確には最接近の直前)の画像が届きましたね!

上の写真で特徴的な「ハート形」の下の部分で、山脈のような突起が写っていました。

 

冥王星の赤道付近のクローズアップ。高さ3,500メートル級の若い山々がそびえる驚きの映像(NASAの写真説明より。Credits: NASA/JHU APL/SwRI)。50 マイル(約80. 5キロ)の縮尺が付けられています。

 

NASAによると、山脈の標高は3,500メートルぐらい。1億年ほど前にできたと考えられ、太陽系の年齢(約46億年)と比べると非常に若く、まだ形成過程にあるとしています。写真の領域(冥王星の表面の約1%)は、現在も地質学的に活動している可能性があるそうです。

この領域の“若さ”を推定する根拠は、クレーターが無いこと。冥王星の他の領域と同じように、この領域も数十億年の間に、たび重なる隕石の落下でクレーターができたはずですが、最近の(地質学的な)活動がその痕跡を消してしまったというのです。

(地球の造山運動のようなもの? )

巨大惑星の周りにある氷の衛星と違い、冥王星の周りに自分より大きな天体はないので、そうした大きな天体との重力の相互作用で熱せられる(その結果、地質学的活動を起こす)ことはなく、別のプロセスがこの山岳風景を形成しているとのこと。

(まだナゾなんですね…)

「氷の星の世界で、何の力が地質学的活動を起こしているのか、再考を迫られる」と研究者は話しています。

 

また、これら冥王星の山々はおそらく「水の氷」(地球では変な言い方ですけど…)で出来ていると考えられるそうです。冥王星の表面は、「メタンや窒素の氷」が覆っていますが、山を形成できるほどの強度はない。つまり、メタンや窒素とは別の硬い素材が山を構成しているはずで、最も可能性が高いのが「水の氷」。

冥王星の温度(-228℃~-238℃)では、「水の氷」は岩と同じ振る舞いをするのだそうです。

 

ここで「冥王星はマジ寒い!」(当ブログ“超訳”)と題したNASAの報道用イラストをご覧ください。

冥王星の温度について解説したNASAのイラスト(PDF)。(クリックで拡大)

 

冥王星の温度は、下から二番目。一番下の絶対零度より少し高いだけ。瞬間冷凍に使われる液体窒素(Liquid Nitrogen)より冷たいです。

お~寒!

 

冥王星の衛星カロンについて

 

 

 冥王星の衛星カロンの鮮明な映像。7月 13 日、ニューホライズンズのカメラ「Long Range Reconnaissance Imager (LORRI)」が、466,000キロ手前から撮影。(Image Credit: NASA-JHUAPL-SwRI )

 

冥王星には5 つの衛星が確認されていて、そのうち最大の衛星がカロン。

冥王星(プルートー)はギリシア神話で冥府の王プルートーから名付けられていますが、この衛星もギリシア神話で冥府の川の渡し守カロンにちなんだもの。

 

画像を見ると、手前には峡谷(長さ約1,000キロ)が見えます。右上隅の峡谷の深さは7~9キロありそうだとのこと。

クレーターが少ないことから、衛星の表面は地質活動によって再形成された比較的若いものだとしています。

(冥王星もカロンも、恐ろしげなネーミングにかかわらず、素顔は若々しかった。冥王星にはハートマークもありましたしね… )

 

冥王星とカロンは、同じ面で向き合いながら回転しています。大きさが地球と月ほど差がなく、冥王星もカロンに引っ張られた状態で回転しているのが次のGIFムービーで分かります(クリックで拡大)。

4月12 日から4月 18 日にかけて撮影された冥王星とカロンの動き。(Credit: NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute)

フィギュアスケートのペアか、ハンマー投げみたいですね。

重力の作用というものを実感。

 

ニューホライズンズは残り4 個の衛星のうち、ヒドラの画像も撮影しています。

ヒドラ。ニューホライズンズからの距離は約64万3,700キロ、ごく小さい衛星なので画像はぼやけています。(Image Credit: NASA-JHUAPL-SwRI)

 

球体ではなく、じゃがいものような形ですね。

ちまみにヒドラとは、ギリシャ神話に登場する、9つの首を持つ蛇のような怪獣。

 

残り3つの衛星は、

ニクス(ギリシャ神話で夜の女神)

ステュクス(同、冥界と現世の間を流れる川、および女神)

ケルベロス(同、冥界の番犬)

 

いやはや…

 

ニューホライズンズの“冥界の旅”。これからも驚きの世界を見せてくれることでしょう。

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関連記事・動画

  ・『はじめての冥王星』(ナショナルジオグラフィック)

  ・NASAのアニメーション(ニューホライズンズの旅)

  ・NASAのアニメーション(冥王星最接近)



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