横須賀総合医療センター心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

免疫力を上げるには:新型コロナウィルス予防につながる?

2020-02-23 07:46:43 | その他
 現在流行しているCOVID-19=新型コロナウィルスの感染予防、もしくは感染しても重症化しないためには普段から免疫力をアップしておく必要があります。
 毎年流行するインフルエンザに対する対策と同じかもしれませんが、30年以上毎年たくさんのインフルエンザ患者さんと接しながらも一度も感染しなかったのは、普段から免疫力があるのか、普段からウィルスに暴露されていて免疫ができているからのどちらかではないかと思います。実は一年前、31年ぶりにB型インフルエンザに罹患し、点滴治療をうけて一日で回復したことがありました。やはり年齢により免疫力が低下してきたのか、それとも心臓血管外科としての仕事がインフルエンザと接することが少なくてウィルスに接することによる免疫賦活が不十分なためか・・・。
 代わりのいない心臓外科医としてはこうした大きな病気にかかるわけにはいきません。現在新型コロナウィルスに対する対応としては病院として災害対応になっています。災害時に心臓血管外科医として最も大事なことは自分が病気になったり怪我したりしないこと、必要な時に対応できるように待期しておくことです。東日本大震災の時も筆者は被災地に出向くことを禁じられたのは、代わりの効かない職種の人間が病院を離れてしまうことの病院機能低下を避けるためでした。

 いずれにしろ、免疫賦活しておくための一外科医の生活上の心がけていることは
①カロリー摂取 特に疲労がたまっているときなどは十分なカロリーをとる
②乳酸菌摂取  腸内細菌を整えて免疫力を上げると言われている
③ビタミンC摂取 こちらも免疫強化  海外では風邪をひいたらオレンジジュースを飲めと言われている、と聞いたことあります
④グルタミン酸摂取 小腸に多く存在する免疫担当細胞の餌になると言われています 薬品名では胃薬のマーズレンS
⑤十分な睡眠
⑥うがい、手洗い、マスクの着用などの標準予防策
⑦満員電車、バーゲンでの買い物、混んでいるお店で食事するなどの人ごみを避ける
⑧運動
⑨保温、保湿
⑩こまめな水分摂取
などでしょうか。

 早く簡易診断キットができ、またワクチンや特効薬が開発されることを心待ちにしています。
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新型コロナウィルスのパンデミックと心臓血管外科診療

2020-02-23 07:28:44 | その他
 新型コロナウィルスの流行が社会的に大きな影響を与える中、心臓血管外科の診療に与える影響はどうかというと、実は非常に大きいものがあります。
 幸い、心臓血管外科医が直接感染者および感染の疑いのある患者さんを前面に立って診療する段階ではありませんが、重症化した患者さんが入院してきた場合は、ICUなどの通常心臓血管外科が最も多く使用している院内施設を使用される場合は同じ環境に術後患者さんを入室させておくことが出来なくなる可能性があります。
 連日、新型コロナウィルスに対する病院としての対策を会議で議論していますが、横須賀市立うわまち病院は、指定感染症の入院施設ではない為、このCOVID-19が同定された場合は最初に指定施設に紹介して対応してもらうことになります。しかしながら、神奈川県内における指定病床は48床しかなく、それらが満床になった場合は一般病床で入院対応させることになり、当院でも受け入れをしていくことになります。
 このパンデミックに対応するため、現在は災害時対応として病院では対応することになり、東日本大震災の時の対応と同じように、厚生労働省のほうでも病院のスタッフの割り当てを柔軟に対応できるように医療費に関する緩和の通達が来ております(これは、たとえば許可病床以上の数を入院させたり、指定の看護師数を一時的に満たさなくとも、減額の対象にしない、など)。
 心臓血管外科においては、すでに入院している患者さんを優先して治療を継続しますが、病状が安定して必ずしも急ぐ必要のない手術はパンデミックが終息してからの対応にすることとして、県外から入院予定であった患者さんを延期としています。心不全を発症している患者さんは待てませんが、たとえば未破裂の大動脈瘤でサイズが5cm以下であれば、定期的にCT観察して拡大傾向がなければしばらく様子をみることとします。
 東日本大震災の際には通常の手術再開までは一か月近くを要したと記憶していますが、今回は先が見えないので、状況をしっかり把握するために情報収集に努めるとともに医療者が感染しないように最大限の努力をする必要があります。

 日本循環器学会が延期となりましたが、それよりも前に開催予定の日本心臓血管外科学会は今のところ延期や中止の連絡は来ていません。横須賀市立うわまち病院からは2演題を発表予定で、すでにスライドやポスターもほぼ完成しています。
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