心室性期外収縮は心周期において収縮後の回復過程にある心筋の弛緩過程を邪魔する、また心室性期外収縮のあとの拡張期が長くなるので、左室の充満圧が上がって(拡張末期圧)左室心筋に二重の負担がかかり、そのため一日に発生する心室性期外収縮が増えるとその分、左室の収縮障害を起こしやすくなると最近は言われているそうです。かつて、心室性期外収縮の数に比例して死亡率が上昇するという結果に対して、IaやIc群の抗不整脈薬を投与すると、左室の抑制効果や催不整脈作用によって自然よりも有意に死亡率が増加するという研究結果が出てから、心室性期外収縮に対する治療は原疾患の治療(弁膜症や虚血)を優先したり、心筋疾患があればβ遮断薬を中心に治療する流れとなっていました。現在もその基本は変わっていないと思いますが、カテーテルアブレーション全盛時代の今日、カテーテルアブレーションによって心室性期外収縮を抑制すると心機能が改善するという研究結果が出て、より積極的に心室性期外収縮の治療を行なう時代となっているようです。しかし、この研究の結果としては心機能の改善は診られても、死亡率の改善までは証明されたものではないそうです。
現段階では、左室機能障害が起きている、または左室機能が低下傾向にある場合で、心室性期外収縮がホルター心電図で20~30%以上の場合は適応を検討してみるのが一般的な考えのようです。
時代とともにものの考え方は変わっていくのは当然でしょうけど、新しい知見も常に学んでいく必要がある、ということはしばしば実感させられます。
心室性期外収縮のカテーテルアブレーションについてこのブログに頂いたご質問により貴重な勉強の機会が得られ感謝しております。