横須賀総合医療センター心臓血管外科

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透析中の血圧低下:大動脈弁狭窄症

2022-07-02 12:06:01 | 心臓病の治療
 人工透析は循環への負担が大きいため、透析中に血圧が不安定になったりすることは少なくありません。特に動脈硬化が進行して大動脈弁狭窄症を合併していると、血圧低下によって透析での除水ができず、体重が増加したまま透析を終了せざるを得なくなったりします。大動脈弁狭窄症が重症に判定されている場合は、この時点で手術が必要なタイミングとなります。逆に、透析中に血圧が下がらない、逆に血圧が上昇する場合はまだ循環が保たれていて、もう少し様子を見ることができると判断する場合もあります。
 先日手術目的に紹介いただいた大動脈弁狭窄症の患者さんは、程度としては中等度の大動脈弁狭窄症ですが、透析中の血圧が上昇して特に除水にも影響なく症状もなく落ち着いて透析ができている、とのことでしたので、しばらく検査を繰り返しながら経過観察の方針としました。
 いずれは手術が必要になる可能性が高いとは思いますが、透析患者さんの心臓手術はハイリスクなので、極力、可能な症例は先延ばしするのがいいのではないかと思っています。
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