横須賀総合医療センター心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

ウィズコロナ時代のオンライン心臓血管外科カンファレンス

2022-08-05 14:25:51 | 心臓病の治療
 新型コロナウィルスパンデミック下でスタッフが狭い空間で集合して行なうカンファレンスは、感染と濃厚接触のリスクを生む場になりうる。そこで、小規模の診療カンファレンスをオンラインで実施することの意義と課題を検討した。
 横須賀市立うわまち病院心臓血管外科の実施状況は、院内カンファレンスとして、循環器内科カンファレンス、心臓血管外科カンファレンス、心エコーカンファレンスを実施してきたが、COVID-19パンデミックによりなかなかカンファレンスが出来ない状態が続いたため、2021年1月からオンライン開催に変更した。心臓血管外科カンファレンスは、連携病院等院外からの参加もしやすいZoomを採用し、毎回参加予定者に招待状を送り、約30分間行なっている。内容は、週の術後報告、次週手術の検討、諸連絡、学会発表の予演等である。毎回パワーポインで作成したプレゼンテーションスライドを使用している。意見交換にはオンライン会話以外にチャット機能を利用したコメント、質問なども利用して議論が活発になるようにしている。学会期間中などを除いて2021年1月から2022年8月まで計87回のカンファレンスを行ない、毎回平均15名の参加者もしくはチームがあった。臨床工学部、臨床検査科、および連携する他病院循環器内科は一つのアドレスからチームで参加している。心臓血管外科チームメンバーのみのミーティングは対面で別日程に行なっている。
 オンラインカンファレンスのメリットとして、事前に準備するので症例の報告や検討内容がまとまっており短時間で濃密な議論が可能で結論が出やすい、感染や濃厚接触等で出勤停止中のスタッフも自宅から参加可能、カンファレンス記録が残せる、マルチウィンドウで議論しながら同時に検索なども可能、予演等のプレゼンテーションがスムースである、議論の流れが見え解説もしやすいので教育効果が高い。一方、デメリットとして、準備に時間がかかる、画質不良、個人情報流出リスク、電波状況やデバイスの不具合などに影響される、等が考えられるが、定着すると短時間で効率の良いカンファレンスが可能となる。
 インターネット環境が整ってきた現代では今後もオンライン化が進み、短時間で濃密かつ高効率の議論が出来ることで、働き方改革にも繋がる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする