MICS-CABGは循環器内科にも期待が大きく、施設として開始すると循環器内科からのCABG依頼が増加する印象があります。横須賀市立うわまち病院心臓血管外科では昨年は単独CABGの半数以上にMICSアプローチを採用しましたが、実際はその約半数はLITA-LADの1枝再建症例です。過去の筆者執刀の手術記録を確認したところ、2002年から2016年の1枝再建症例は年間0.8件であったのが、MICS-CABG開始してからは4件/年に増加していました。また、2016年までの正中アプローチ症例ではPCI不成功やPCIトラブルに対して緊急または準緊急手術が多かったのが、MICS-CABG開始後は予定手術が多くなっています。
これは、これまでLADのCTO症例でPCI出来ない症例は、心臓血管外科に紹介すること無く保存的治療で対処されていたのが、MICS-CABGで対応出来るなら外科に紹介する、という明らかな方針の変更が起きているものと実感しております。今度の心臓血管外科学会でもCABGは生き残れるか、という内容の会長要望演題があるようでしたが、MICS-CABGによってまだ循環器内科のCABG認知度を改善して需要を掘り起こす可能性があるものと思われます。