うなるような風の音。まさに風颱風のただ中にいる。
最近は屋島颪の涼しい北の部屋でもっぱら過ごしている。
午后4時。車の列が続いている。さすがお遍路さんの姿は無い。歩き遍路の途中のお遍路さんのすごしようが気になる。
颱風圏低き山のみ全容す 津田清子
屋島の全容を机に頬つえをついて見ている。全き屋島をみながら詠んだような句だ。
颱風の去つて玄海灘の月 中村吉右衛門
歌舞伎役者の方々はどなたも俳句をたしなむ。九州での公演か。颱風と荒々しい玄海の海が今は静かに月の光に波がきらめいている。安堵感が伝わってくる。
北の部屋は颱風がまともに襲ってくるような怖さだ。窓を打つ雨と風。それに凄まじい音。
南の部屋は颱風はどこの世界?って思いで窓を開けて風を入れている。同じ建物で北と南の、この違い。暑さから逃すために観葉植物は部屋に入れている。夫が丈の長い鉢の花を少し移動をさせた。いつ風の向きが変化をしないとも限らないから。
ちなみに山頭火の作品。漂泊の旅は毎日が嵐の中にいるようなもの。
湧いては消えては山の高さの雲
お客といへば私一人の秋雨ふりしきる
しぐれてぬれて旅ごろもしばつてはゆく