茱萸を買った。
フリーマーケットで偶然に見つけた。
懐かしい。
昔、子供の時に実家に2メートル以上もあり、小さな実がみのると、枝がゆさゆさ揺れる。
赤い2センチくらいの実は口に含むと甘酸っぱい味がする。
甘酸っぱいのは味ばかりでなく、想い出もだ。
母がいて兄がいて二人の姉がいた頃。
幸せは当たり前。
不安も苦痛も無く、田舎では戦争中も食料の心配も無かったが、おやつはいつもお芋、贅沢ができる時は上の姉が買ってくれる餡ぱん。
そんな時分に茱萸は、隣家の子供達にとっても私にも大切なおやつ代わりだった。
よく似た実で山桜桃が隣家にあり、これも今頃の季節だは重宝をした。
亡くなった兄、姉を最近は良く思い出していた。
茱萸を見つけて、はらからの事を甘酸っぱく想いだしたのだ。
茱萸と同じ店で見た算盤。
最近のそろばんは玉が4つだが、この算盤は5つ玉。
商家の番頭さんがパチパチと算盤をはぢいて商いをしている様子を思いうかべていると、骨董商さんが算盤の裏を見せてくれる。
私の考え、想像をしていた景が見えたのか?
能登産業銀行は名前の変遷があり、今は何々銀行だったりしてね、、、と同時に発して笑った。
今だから、茱萸を買った。
枝が長いので、不安定だけれど、ちょうど細い首の花瓶があり、挿して飾っている。
茱萸をフリーマッケトで買うなんて子供の頃考えたかしら。
夢にも思わなかっただろうと、そんな感慨にふけった。
🐞 酸つぱ茱萸の実はらからを偲びけり