※今日の記事は虫嫌いな方でなくても、うわっと思う写真があるかもしれません。しかも長文ですが、最後まで読んでくださると嬉しいです。この興奮と感動が伝わりますように!
梅雨入りし、じめじめと蒸し暑い日が続いています。卵だったモンシロチョウが次々に蛹になってきました。
そんなある日、驚きの出来事が起こりました∑(゚Д゚)
アオムシだけが入っていたはずのケースに、謎の卵が!!!
否、繭でした。
体液を吸われ続け、体に小さな穴を無数にあけられたアオムシさん。
亡骸を掲載するのは、どうかなとためらいつつ、ここは記録として残しておきます。
アオムシサムライコマユバチについて、wikipediaにはこんな風に説明されています。
アオムシサムライコマユバチは、モンシロチョウの幼虫の体内に約80個の卵を産卵する。産卵後約14日で、アオムシサムライコマユバチの幼虫は寄主の体を食い破り、繭を作って蛹化する。蛹化後約7日で成虫が羽化する。
なんとも、身の毛のよだつお話。80匹らしいですよ。しかも生き残りをかけた寄生蜂の戦略はこれだけにとどまらないのです。説明はこう続きます。
メス蜂が産卵する時に、寄主制御物質としてvenom(毒液)、polydnavirus(ポリドナウイルス)、卵巣タンパク質を卵と共に寄主に注入する。モンシロチョウの幼虫は、免疫系として、フェノールオキシダーゼによる液性免疫と血球による細胞性免疫を有しているが、これらは、寄主制御物質により抑制される。このため、寄生蜂の卵及び孵化した幼虫は、異物と認識される事がなく、寄主体内で生育が可能と
なっている。
なんかもうよく分からないんですが、ただ産むだけでなく、毒まで注入しちゃうんですね。
なんとも狡猾で抜け目がなく、サムライっていうイメージからは程遠いと思うのは私だけ?
成虫は一見するとハチというよりも羽アリのようです。その体長は、わずか3mm。
君たち、相当エグい生き方をしてるよね。
アオムシに食べられて瀕死のキャベツ君が、「誰か、た〜すけ〜て〜!!」というSOSを出すんだそうです。
そして、その匂いに引き寄せられて、やってくるのがアオムシの天敵であるサムライ君なのです。
実は自然界では半数近くのアオムシが、寄生蜂の仲間に寄生されて命を落としてしまうんだそうです。よく見ればあちこちに繭ができているじゃあないですか。
確かにキャベツ君は瀕死の状態。
寄生という手段はなんともエグいとは思うのですが、子孫を残すということを考えれば、有効な手段であることは間違いありません。
しかし、因果応報といいましょうか、アオムシサムライコマユバチもまた、さらに小さな寄生蜂に寄生されることがあるんだそうです。
ちなみに羽化するときに失敗してしまうサムライ君もいるようです。
左端は残念ながら羽化途中で命を落としてしまった個体。そして真ん中の繭は左のものとは反対側の蓋を開けて出てきた様子。どうやら繭作るときの規則性はなく、上下左右バラバラのもよう。
空になった繭の下にある黒い塊は蛹化の時の脱皮の殻でしょうか?
双眼顕微鏡で見ると、やはりハチっぽいかな?
キャベツにとってはヒーロー。アオムシにとっては脅威。きっと、アオムシに寄生するハチがいなくなれば、アオムシは増えすぎ、キャベツを全滅してしまうことでしょう。そうなれば、次はアオムシの絶滅。
それにしても、植物であるキャベツが助けを呼ぶなんて…!!!
ちなみに、モンシロチョウの幼虫によく似たコナガの幼虫に寄生するコナガサムライコマユバチってのもいるそうです。…というか、寄生蜂の種類は非常に多く、アブラムシのような小さな虫に寄生するものもいるんだとか、そして、寄生蜂に寄生する種類も!!
そんな1mmにも満たない小さな虫たちも、地球の生態系のバランスを保つためには、けして欠かすことができないってこと。
農業の発展のため、つまりは人間も生きるために必死に戦ってきたってことですよね。
奇跡としか呼べないバランスを保ちながら成り立っている地球。その地球に文明を築いてきた人類。
知ればしるほど、この世は驚きに満ちています!!!!!
啓蟄末候は「菜虫蝶化」。蛹で越冬していたモンシロチョウが羽化して、飛び始める頃です。ひらひらと舞う姿は一段と春を感じさせてくれます。しかし、自然界の熾烈な生存競争のなか、モンシロチョウも過酷な日々を過ごしています。
羽化直前のモンシロチョウの蛹です。羽の模様が完全に透けて見えています。
この後すぐに羽化が始まりました。
しかし、こんな風に羽化までたどり着く個体は自然界ではごくわずか。
本日は命をかけた生き物同士の攻防戦のお話です。
(2016年6月に書いたものを加筆修正しました)
梅雨入りし、じめじめと蒸し暑い日が続いています。卵だったモンシロチョウが次々に蛹になってきました。
そんなある日、驚きの出来事が起こりました∑(゚Д゚)
アオムシだけが入っていたはずのケースに、謎の卵が!!!
否、繭でした。
恥ずかしながら、実物を見たのが初めてで、最初は卵かと思ってしまいました。
アオムシは幼虫ですから卵を産むはずがありません(^^;;
アオムシは幼虫ですから卵を産むはずがありません(^^;;
では、この繭は誰が作ったのか?
実はこのたくさんの繭はアオムシに寄生していたアオムシサムライコマユバチの繭だったのです。
この長い名前の寄生バチは、まだ小さなアオムシの体の中に卵を産み付ます。アオムシの体内で孵化した幼虫は、アオムシの体液を吸いながら成長。やがて十分に成長すると、アオムシの中から這い出してきて蛹を作るのです。
実はこのたくさんの繭はアオムシに寄生していたアオムシサムライコマユバチの繭だったのです。
この長い名前の寄生バチは、まだ小さなアオムシの体の中に卵を産み付ます。アオムシの体内で孵化した幼虫は、アオムシの体液を吸いながら成長。やがて十分に成長すると、アオムシの中から這い出してきて蛹を作るのです。
ひー((((;゚Д゚)))))))
体液を吸われ続け、体に小さな穴を無数にあけられたアオムシさん。
この時点では辛うじてご存命でしたが、そんな体で成長が続けられるわけもなく、この2日目の朝には動かなくなりました。
亡骸を掲載するのは、どうかなとためらいつつ、ここは記録として残しておきます。
アオムシサムライコマユバチについて、wikipediaにはこんな風に説明されています。
アオムシサムライコマユバチは、モンシロチョウの幼虫の体内に約80個の卵を産卵する。産卵後約14日で、アオムシサムライコマユバチの幼虫は寄主の体を食い破り、繭を作って蛹化する。蛹化後約7日で成虫が羽化する。
なんとも、身の毛のよだつお話。80匹らしいですよ。しかも生き残りをかけた寄生蜂の戦略はこれだけにとどまらないのです。説明はこう続きます。
メス蜂が産卵する時に、寄主制御物質としてvenom(毒液)、polydnavirus(ポリドナウイルス)、卵巣タンパク質を卵と共に寄主に注入する。モンシロチョウの幼虫は、免疫系として、フェノールオキシダーゼによる液性免疫と血球による細胞性免疫を有しているが、これらは、寄主制御物質により抑制される。このため、寄生蜂の卵及び孵化した幼虫は、異物と認識される事がなく、寄主体内で生育が可能と
なっている。
なんかもうよく分からないんですが、ただ産むだけでなく、毒まで注入しちゃうんですね。
なんとも狡猾で抜け目がなく、サムライっていうイメージからは程遠いと思うのは私だけ?
成虫は一見するとハチというよりも羽アリのようです。その体長は、わずか3mm。
君たち、相当エグい生き方をしてるよね。
もっとも、その強かさで、種を存続させてきたわけですから、小さいながら、恐ろしい知恵の持ち主。
…と、ここまでは気持ち悪さが先行していた今回の観察。しかしながらここで知った新たな事実が、生き物の不思議、生命の神秘を感じさせてくれました。ここからがこの記事の本筋と言えます!!!
…と、ここまでは気持ち悪さが先行していた今回の観察。しかしながらここで知った新たな事実が、生き物の不思議、生命の神秘を感じさせてくれました。ここからがこの記事の本筋と言えます!!!
そもそもアオムシサムライコマユバチがどうやってモンシロチョウの幼虫を見つけるかという話なんですが…。
なんと、なんと、なーんと∑(゚Д゚)
なんと、なんと、なーんと∑(゚Д゚)
アオムシに食べられて瀕死のキャベツ君が、「誰か、た〜すけ〜て〜!!」というSOSを出すんだそうです。
その危険信号は「カイロモン」と呼ばれる揮発性の化学物質。つまりは匂い?
そして、その匂いに引き寄せられて、やってくるのがアオムシの天敵であるサムライ君なのです。
「真実は人の数だけ」とはまさにこのこと。キャベツにとってみれば、この恐ろしいサムライ君は敵をやっつけてくれる救世主なのです。
このことは2021年に開催された国立科学博物館の「植物展」でも紹介されていました。
キャベツ同士でもコミュニケーションをしてちるなんて、ほんとびっくり!!ただ食べられているだけでなく、自衛しているのですね!!!
実は自然界では半数近くのアオムシが、寄生蜂の仲間に寄生されて命を落としてしまうんだそうです。よく見ればあちこちに繭ができているじゃあないですか。
確かにキャベツ君は瀕死の状態。
寄生という手段はなんともエグいとは思うのですが、子孫を残すということを考えれば、有効な手段であることは間違いありません。
しかし、因果応報といいましょうか、アオムシサムライコマユバチもまた、さらに小さな寄生蜂に寄生されることがあるんだそうです。
ちなみに羽化するときに失敗してしまうサムライ君もいるようです。
左端は残念ながら羽化途中で命を落としてしまった個体。そして真ん中の繭は左のものとは反対側の蓋を開けて出てきた様子。どうやら繭作るときの規則性はなく、上下左右バラバラのもよう。
空になった繭の下にある黒い塊は蛹化の時の脱皮の殻でしょうか?
双眼顕微鏡で見ると、やはりハチっぽいかな?
キャベツにとってはヒーロー。アオムシにとっては脅威。きっと、アオムシに寄生するハチがいなくなれば、アオムシは増えすぎ、キャベツを全滅してしまうことでしょう。そうなれば、次はアオムシの絶滅。
それにしても、植物であるキャベツが助けを呼ぶなんて…!!!
ちなみに、モンシロチョウの幼虫によく似たコナガの幼虫に寄生するコナガサムライコマユバチってのもいるそうです。…というか、寄生蜂の種類は非常に多く、アブラムシのような小さな虫に寄生するものもいるんだとか、そして、寄生蜂に寄生する種類も!!
そんな1mmにも満たない小さな虫たちも、地球の生態系のバランスを保つためには、けして欠かすことができないってこと。
自然界はそれぞれの種が必死に生き残りをかけて戦うことで成り立ち、均衡を保ってるんだなぁ…と。
そして、そんな小さな虫のことまで解明している研究者がいるっていうこともまたすごい!!
そして、そんな小さな虫のことまで解明している研究者がいるっていうこともまたすごい!!
農業の発展のため、つまりは人間も生きるために必死に戦ってきたってことですよね。
奇跡としか呼べないバランスを保ちながら成り立っている地球。その地球に文明を築いてきた人類。
知ればしるほど、この世は驚きに満ちています!!!!!