前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

『核兵器のしくみ』 (山田克哉/講談社現代新書)

2011-03-20 00:12:09 | 
核分裂、核融合などの核物理学に興味があったので
以前、山田克哉著『核兵器のしくみ』(講談社現代新書)という本を読みました。

タイトルは「核兵器の・・・」となってはいますが、
内容は、原子核の構造から始まり、陽子・中性子、アイソトープ・・・、
ウラン235の核分裂、臨界、アルファ線・ベータ線などの放射線、
そして核爆弾や原子炉の構造、核融合反応・・・と多岐に渡ります。


文系の素人にもわかるように順を追って要点を解説してあり、とてもよい本だと思います。
もちろん、一度読んだだけですべて理解できるわけではありませんので、
何度も読み返していますが。

今回の地震による福島原発の事故が起こった際、この本を手元において
ニュース解説を聞きながら、改めて内容を確認したりしていました。


3月16日付の新聞で「再臨界の可能性がゼロではない」
とのニュースが報じられています。

『核兵器のしくみ』に書かれている内容と、それに関する私の理解では、
どのようにして、この「再臨界」が起こるのかは理解できません。
(そもそも本当に「再臨界」などあり得るのかも)


本に書かれていることで、私なりに重要だと思う点を(私の理解のもと)いくつか上げます。

 〇核分裂によって生じる熱を利用し、水を水蒸気にしてタービンを回し発電するのが原子力発電である

 ◇通常の原子力発電(原子炉)には「ウラン燃料」が使用されている
 ◇ウランとプルトニウムの混合「MOX燃料」を使用したのが「プルサーマル原子炉」である

 ◇ウラン核(ウラン235)を核分裂させるには[中性子]が必要である

 ◇核分裂を起こしたウラン核からは、熱と平均2.5個の[中性子]が新たに放出される
 ◇放出された[中性子]が、次々と別のウラン核の分裂を引き起こすのが核分裂連鎖反応である

 ◇核分裂連鎖反応を短時間に一気に起こす(暴走)のが核爆弾である
 ◇分裂から放出され、新たに分裂を引き起こす[中性子]数を(一定に)制御したのが原子炉である

 ◇ある世代の分裂を起こす[中性子]数が、その一つ前の世代の分裂を起こす[中性子]数と
  同じになった状態の時、原子炉が「臨界」に達したという

 ◇ウラン燃料が「何事も起きていない状態」(=原子炉が完全に停止している状態)では
  自然に(勝手に)核分裂連鎖反応は起きない

 ※[中性子]によって分裂したウラン核から、新たに[中性子]が出てくる点が重要だと
  著者は何度も説明しています。
  そしてその数が2個以上であることで、連鎖反応が続くと分裂する核の数が
  「ネズミ算」式(2倍、2倍)に増大し、制御しないと「暴走」(爆発)が起きます。


核分裂連鎖反応をスタートさせるには、最初に必ず[中性子]が必要であり、
それがなければ、ウラン核(燃料棒)がいくら熱くなろうが再度連鎖反応は起こらない、
(ゆえに「再臨界」にもならない)というのが私の理解です。


ですから今、懸念されている最悪の事態も、
燃料棒が「余熱」で格納容器等を溶かし、それによって生じる水素などで大爆発が起きる、
そしてその爆発により核燃料などの放射性物質が大量にかつ広範囲に飛び散る・・・
というものだと理解しています。

放射性物質の飛散となれば、大変重大な事態です。
(放射性物質がなぜ危険か、ということも本の中に書かれています)

しかし爆発自体はあくまでも「化学反応」によるもので、
「核分裂連鎖反応」による爆発(≒核爆発)ではありません(と思います)。



『核兵器のしくみ』には、チェルノブイリやスリーマイルなど
過去に起きた事故についても説明されています。

そこで次のようなことも書いておられます。少し長くなりますが、引用致します。

   事故が起きて原発側が隠蔽しようとするのは「世間が騒ぎ立てる」ということと
  「誰が責任を取るか」という問題が絡んでくるためであろう。
  しかしこれは必ずしも原発側だけを責めることはできない。
  そこには「説明したところで話が専門的になり、世間は分かってくれないだろう」
  という先入観もあるからだ。
  世間一般の人達がもう少し原子力の知識を持たねばならない。
  今、日本にある全原発の運転を停止したら、停電や節電だけでは済まなくなるだろう。
   (山田克哉著『核兵器のしくみ』141ページより)


今の事態を予測していたような内容です。一読をお勧め致します。


(注)
核分裂、原子炉、臨界等に関する私の理解(記述)で重大な誤りや誤解を招く点、
または私の知らない知識や情報などがありましたら、是非、ご指摘下さい。
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その日、その時、その後・・・7

2011-03-19 11:35:56 | 「その日」
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平成23年3月18日(金)

4日ぶりに帰宅。
自分が利用した交通機関は正常。混乱もなく家に着く。

地震がおき、徒歩で帰った日からもう一週間たったのか・・・。
身体、心の疲れは少なくない。なのにどこか"現実感"が乏しい。


各国メディアが、被災時、被災後の日本人の行動について、
賞賛する声を紹介している。
曰く、「落ち着いている」「暴動がない」「助け合っている」・・・

確かに目に見えるような非道は少ない。
しかし、被災地以外では目に見えない"非道"が徐々に増えているように感じる。
これが日本人の特性か?


ACジャパン(旧公共広告機構)のCMが多いことに苦情が出ているという。
曰く、「しつこい」「不快感がある」「内容がそぐわない」・・・
あのCMがしつこく感じるほど、TVを見ている余裕がある立場の人だ。


被災地の状況、原発の状況、そして停電・交通の情報は気になる。
でも、報道番組は見る気がしなくなった。

速報性こそTVメディアの最大の武器であり唯一の武器だ。
しかし、「その時」から時間が経つにつれ
政府や東電の対応等、「したこと」に対する検証、非難ばかりだ。

まだ「今」できることがあるだろう?



「その瞬間」
最悪なのは何もしないこと、どうしようか判断に迷って無駄に時間を浪費すること。
「その瞬間」
最善だ、と信じて咄嗟にとった指示・行動は、後で検証して今後に活かすことはできても
非難することはできない。

そう思います。
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その日、その時、その後・・・6

2011-03-18 17:50:14 | 「その日」
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平成23年3月18日(金)

昨日と同じくいい天気だ。でも空気の冷たさは冬。
今日からお彼岸だというのに・・・。


出社時間を遅らせたり、早めに帰宅させたりしたので、
帰宅(出社)困難者は出ず。

念のためとっておいたホテルは自分で泊まることに。
会社まで徒歩で10分かからない場所なので、楽といえば楽だが・・・。


年末の忙しい時期、深夜近くまで仕事が終わらないため、
やはり会社近くのホテルに各自泊まってもらったことがあった。

仕事が終わってから1~2時間かけて帰って、数時間寝て又出社・・・
という日が続くと、当然疲労も溜まるし仕事の効率も悪いので。

その時は「身体が楽だ」ということしか感じなかったが、今回は少々異なる。


やはりずっと「仕事から解放されていない」という気になり、ストレスが溜まる。

「たまには仕事を忘れて、どっかに行ってリフレッシュ!」などというが
自分の家に帰るだけでも、普段は十分"リフレッシュ"されているのだ。
家・家族の有難みを改めて感じる。


(自分にとって)長かった一週間がようやく終わる・・・でも事態は一向に収束しない。
原発の状況次第では、さらに悪化する可能性もある・・・。

会社、仕事、社員、自分、家族・・・
なにかブレークスルーが必要だ。
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その日、その時、その後・・・5

2011-03-18 08:29:21 | 「その日」
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平成23年3月17日(木)

今朝も都会の空は青い。でも昨日より風は冷たい。


社員とのミーティングは30分の予定が1時間30分になってしまった。
でも、成果はあった。

やはりみんな、いろいろ言いたいことがあったようだ。
でも「非常事態」だし、わがままを言ってられないということも自覚している。
よかった。

暫くは週1回程度は話し合う場を設けることにした。


一人ひとり、自宅の場所も通勤経路も違う。担当している仕事も違う。
一律に「全員自宅待機」だとか「強制出社」とかはできないし、意味もない。

ある程度仕事の目処がついたところで、出社か自宅待機か、ということになった時
「各自の判断に任せる」としたところがあった。
しかし、これはよくなかった。

緊急時は、自分の判断でいろいろ指示せざるを得ないが、
それが一旦落ち着いてきたあとは、今後の対応について皆が話し合う方がよい。

「各自の判断に・・・」はかえって無責任であることがわかった。
気持ちに"迷い"を生じさせてしまうことはしてはならない。
それを学んだ。


「夕飯なにがいい?」「なんでもいい」は奥さんを怒らせる・・・
という理論と同じかもしれない?


夕方、大規模停電の可能性が報じられる。
これでまた、帰路は混乱だ。


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平成23年3月18日(金)

昨日と同じくいい天気だ。でも空気の冷たさは冬。
今日からお彼岸だというのに・・・。


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ハイドン先生のお言葉 「プップクプー♪」

2011-03-17 17:31:53 | 先生のお言葉


♪プップクプー♪

  ど、どうしたんですか?先生

ん?トランペット協奏曲の旋律だよ。♪プップクプーってね。

  ・・・・
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