『金木犀 二階に伸びて 匂い増す』
(きんもくせい にかいにのびて においます)
『日を追って 黄落目立つ 散歩道』
(ひをおって こうらくめだつ さんぽみち)
『県花とは 知らで見にけり 野路菊を』
(けんかとは しらでみにけり のじぎくを)
『秋風に くしゃみ乗りて しぶき飛ぶ』
(あきかぜに くしゃみのりて しぶきとぶ)
『秋風に 乗りて鳶の 急旋回』
(あきかぜに のりてとんびの きゅうせんかい)
『銀杏の 数と色とを 確認す』
(ぎんなんの かずといろとを かくにんす)
『口曲げて じいの葉巻の 薄ら寒』
(くちまげて じいのはまきの うすらさむ)
『藪虱 二選三選 落ちもせで』
(やぶじらみ にせんさんせん おちもせで)
『鴨来たる 水に合わずか 流されて』
(かもきたる みずにあわずか ながされて)
『秋の膳 生姜を効かし 味冴える』
(あきのぜん しょうがをきかし あじさえる)
『つれなくも 風の音にも 秋を見る』
(つれなくも かぜのおとにも あきをみる)
『朝茶飲む 周りに欲しき 菊の花』
(あさちゃのむ まわりにほしき きくのはな)
『稲雀 群れを成しては 往来する』
(いなすずめ むれをなしては いききする)
『窓開けて 机に止まる 草の絮』
(まどあけて つくえにとまる くさのわた)
『赤とんぼ 夕焼け空が 好きなよう』
(あかとんぼ ゆうやけぞらが すきなよう)
『手鏡で 華を散らして 夕化粧』
(てかがみで はなをちらして ゆうげしょう)
夕化粧=白粉花(おしろいばな)