『孫の日や 相手されるは いつまでか』
(まごのひや あいてされるは いつまでか)
『この秋は 孫らしき人 増えに増え』
(このあきは まごらしきひと ふえにふえ)
『秋深し 一期一会の 邂逅よ』
(あきふかし いちごいちえの かいこうよ)
『爽やかや いつも母娘の ペアルック』
(さわやかや いつもおやこの ぺあるっく)
『木の実独楽 回って弾けて 横になり』
(このみごま まわってはじけて よこになり)
『うすもみじ 赤味を増して 夕紅葉』
(うすもみじ あかみをまして ゆうもみじ)
『山積みの 案山子の顔の 煤けおり』
(やまづみの かかしのかおの すすけおり)
『学び舎に 色なき風の 忍び寄る』
(まなびやに いろなきかぜの しのびよる)
色なき風=秋風
『月明かり 半月ならば こんなもの』
(つきあかり はんげつならば こんなもの)
『里芋の 穴から覗く 月世界』
(さといもの あなからのぞく げっせかい)
『秋旨し 膨れし腹を 撫で食べる』
(あきうまし ふくれしはらを なでたべる)
『気に掛かる 夜寒の床の 荒れ姿』
(きにかかる よさむのとこの あれすがた)
『鳥渡る 今日の寝ぐらは どこぞやら』
(とりわたる きょうのねぐらは どこぞやら)
『はぐれ者 渡り鳥に見る 己が身を』
(はぐれもの わたりどりにみる おのがみを)
『残る虫 静寂を破り 啼くことよ』
(のこるむし しじまをやぶり なくことよ)
残る虫=蟋蟀(こおろぎ)
『残る虫 所詮蟻には 勝てぬもの』
(のこるむし しょせんありには かてぬもの)
『身に沁むは 風にはあらで 心なり』
(みにしむは かぜにはあらで こころなり)