俺流俳句 「いちらくいちらく」

俳句で遊ぼ。

あなたも、優しくなれます。
          
          千秀

十六夜

2008年10月16日 | 俳句

『見つけたよ 小さい秋の もみじ手を』
(みつけたよ ちいさいあきの もみじでを)

『見つけたり 小さい紅葉 小さい秋』
(みつけたり ちいさいもみじ ちいさいあき)

『秋の夕 空が語りぬ 明日晴れと』
(あきのゆう そらがかたりぬ あすはれと)

『十六夜や 雲に恥じらい 身を細め』
(いざよいや くもにはじらい みをほそめ)

『十六夜や 違いの判る 望の月』
(いざよいや ちがいのわかる のぞみのつき)

『十六夜や 虫の鳴く音も ブレスあり』
(いざよいや むしのなくねも ぶれすあり)

『十六夜や いざ酔うほどに 吞むほどに』
(いざよいや いざようほどに のむほどに)

『月と飲む ひとり飲む酒 菊の酒』
(つきとのむ ひとりのむさけ きくのさけ)

『月の出に 筏漕ぎ出す 昔あり』
(つきのでに いかだこぎだす むかしあり)

『秋深し 鳥居の下を 潜る風』
(あきふかし とりいのしたを くぐるかぜ)

『秋深し 隣は何を する国ぞ』
(あきふかし となりはなにを するくにぞ)

『乗り遅る バス停にある 赤のまま』
(のりおくる ばすていにある あかのまま)

『値切りをも 日暮れて許す 秋の店』
(ねぎりをも ひぐれてゆるす あきのみせ)

『鈴虫の 遠くで鳴きて 耳冴えて』
(すずむしの とおくでなきて みみさえて)

『秋風や 一杯飲み屋の 暖簾揺る』
(あきかぜや いっぱいのみやの のれんゆる)

『梅擬 太宰の里は 桃桜』
(うめもどき だざいのさとは ももさくら)


2008年10月15日 | 俳句

『満月は 晴れの予報に 満足す』
(まんげつは はれのよほうに まんぞくす)

『秋の風 色なき風か 白秋か』
(あきのかぜ いろなきかぜか はくしゅうか)

『秋雨の 前後の不思議 嫌い好き』
(あきさめの ぜんごのふしぎ きらいすき)

『中二より 食すを忘る 無花果を』
(ちゅうにより しょくすをわする いちじくを)

『体育の日 良寛新聞 休刊なり』
(たいいくのひ りょうかんしんぶん きゅうかんなり)

『毒の日や キノコにお菓子 中華の日』
(どくのひや きのこにおかし ちゅうかのひ)

『今昔 案山子の顔は へのへのへ』
(いまむかし かかしのかおは へのへのへ)

『芒殿 明日は晴れぞや 満月ぞ』
(すすきどの あすははれぞや まんげつぞ)

『川下り 芒の風の 気持ち良し』
(かわくだり すすきのかぜの きもちよし)

『名月や ボタ山も欠け 月も欠け』
(めいげつや ぼたやまもかけ つきもかけ)

『萩すすき 菊酒に月の あればよし』
(はぎすすき きくしゅにつきの あればよし)

『掻き上ぐる 手櫛の髪に 秋の風』
(かきあぐる てくしのかみに あきのかぜ)

『学び舎に しぶとく実る 銀杏よ』
(まなびやに しぶとくみのる ぎんなんよ)

『街中で 秋風感ず 安堵感』
(まちなかで あきかぜかんず あんどかん)

『事故米を 食べぬ役人 新米か』
(じこまいを たべぬやくにん しんまいか)

『新米を 心待ちして 釜を買う』
(しんまいを こころまちして かまをかう)


清秋

2008年10月14日 | 俳句

『清秋や 空山花と 色さやか』
(せいしゅうや そらやまはなと いろさやか)

『あおによし 奈良には秋の 色があり』
(あおによし ならにはあきの いろがあり)

『あおによし 奈良に柿の葉 鮨もあり』
(あおによし ならにかきのは ずしもあり)

『銀杏の葉 黄葉進む 縁周り』
(いちょうのは こうようすすむ ふちまわり)

『仲秋の 明日香を包む 色畳』
(ちゅうしゅうの あすかをつつむ いろたたみ)

『飛鳥川 紅葉の流れ 留まらず』
(あすかがわ もみじのながれ とどまらず)

『もみじ葉の 裏には淡き 侘しさが』
(もみじはの うらにはあわき わびしさが)

『丹波栗 産地偽装で 渋さ増す』
(たんばぐり さんちぎそうで しぶさます)

『体育の日 運動会は してないの』
(たいいくのひ うんどうかいは してないの)

『豊の秋 学生食堂 消化薬』
(ほうのあき がくせいしょくどう しょうかやく)

『腹の虫 いつ治まるや キュルキュルと』
(はらのむし いつおさまるや きゅるきゅると)

『薄の穂 風を誘いて 右左』
(すすきのほ かぜをさそいて みぎひだり)

『秋澄みて ジェットの音も 遠くあり』
(あきすみて じぇっとのおとも とおくあり)

『秋風と 仲良くなれば 歩も進み』
(あきかぜと なかよくなれば ほもすすみ)

『赤錆びた 郵便ポストに 秋夕日』
(あかさびた ゆうびんぽすとに あきゆうひ)

『銀杏は 焼くには臭し チンしてね』
(ぎんなんは やくにはくさし ちんしてね)

『窓の月 明日は満月 雨らしき』
(まどのつき あすはまんげつ あめらしき)

『名月も 明日の雨には 勝てまいに』
(めいげつも あすのあめには かてまいに)


2008年10月13日 | 俳句

『遠き日に 想いを馳せて 秋の昼』
(とおきひに おもいをはせて あきのひる)

『不景気も 暴落もなき 秋来ぬや』
(ふけいきも ぼうらくもなき あききぬや)

『秋の蝶 つまめば獲れる のろさなり』
(あきのちょう つまめばとれる のろさなり)

『そぞろ寒 大型ゴミと 処分さる』
(そぞろさむ おおがたごみと しょぶんさる)

『ロス疑惑 何から何まで うそ寒く』
(ろすぎわく なにからなにまで うそさむく)

『政治家の 約束違う 穴惑い』
(せいじかの やくそくたがう あなまどい)

『この月は 神も仏も 神無月』
(このつきは かみもほとけも かんなづき)

『蓑虫も 渡る世間が 身に沁みて』
(みのむしも わたるせけんが みにしみて)

『蓑虫を 見つけて不安 手出しせず』
(みのむしを みつけてふあん てだしせず)

『秋風に アゲインスト好き 臍曲り』
(あきかぜに あげいんすとずき へそまがり)

『秋夕陽 天守瓦も 金ピカに』
(あきゆうひ てんしゅがわらも きんぴかに)

『体育の日 ひたすらメタボの 腹を撫で』
(たいいくのひ ひたすらめたぼの はらをなで)

『菊の花 刺身のつまの 毒消しよ』
(きくのはな さしみのつまの どくけしよ)

『菊の花 噛めば苦味の 瘦せ我慢』
(きくのはな かめばにがみの やせがまん)

『菊膾 奈良には奈良の 菊の酒』
(きくなます ならにはならの きくのさけ)

『さみどりの 酒の肴よ 銀杏よ』
(さみどりの さけのさかなよ ぎんなんよ)


秋刀魚

2008年10月12日 | 俳句

『衣替え 元に戻しぬ この暑さ』
(ころもがえ もとにもどしぬ このあつさ)

『シリーズも レジェンドとなりて ジ・エンドに』
(しりーずも れじぇんどとなりて じ・えんどに)

『秋の日や 電車の揺れの 目覚め時』
(あきのひや でんしゃのゆれの めざめどき)

『天高し 角無きをいつ 自覚すや』
(てんたかし つのなきをいつ じかくすや)

『戀こがれ 月待ち居るに 時流れ』
(こいこがれ つきまちおるに ときながれ)

『枯れオヤジ 加齢還暦 虫の息』
(かれおやじ かれいかんれき むしのいき)

『掠れけり 秋明菊の 香淡し』
(かすれけり しゅうめいぎくの こうあわし)

『秋風や 臍曲げ屁をも 曲げて吹く』
(あきかぜや へそまげへをも まげてふく)

『秋旱 齢増しても 骨は減り』
(あきひでり よわいましても ほねはへり)

『何故か 秋刀魚が二匹 皿にあり』
(なにゆえか さんまがにひき さらにあり)

『銀杏を 揺すり落として 秋深む』
(ぎんなんを ゆすりおとして あきふかむ)

『逆光に 目細めて見る 夕芒』
(ぎゃっこうに めほそめてみる ゆうすすき)

『弘法も 顔赤くする 曼珠沙華』
(こうぼうも かおあかくする まんじゅしゃげ)

『明日香村 ふさわしき花 曼珠沙華』
(あすかむら ふさわしきはな まんじゅしゃげ)

『心でも 月は出せるぞ 夜半の月』
(こころでも つきはだせるぞ よわのつき)

『月浮かべ 団子は要らぬ 酒芒』
(つきうかべ だんごはいらぬ さけすすき)


秋風

2008年10月11日 | 俳句

『その香り 目敏く見つく 金木犀』
(そのかおり めざとくみつく きんもくせい)

『秋の雲 雨雲に負け 流されて』
(あきのくも あまぐもにまけ ながされて)

『誕生花 十月十日は マツタケと』
(たんじょうか じゅうがつとおかは まつたけと)

『風吹きて 我が想い出の 秋が揺れ』
(かぜふきて わがおもいでの あきがゆれ)

『秋澄みて 心も澄みて 青き空』
(あきすみて こころもすみて あおきそら)

『良い秋や コスモス揺れる 風の中』
(よいあきや こすもすゆれる かぜのなか)

『秋風に 共に揺れるや 影法師』
(あきかぜに ともにゆれるや かげぼうし)

『秋風の 我が背を押して 散歩する』
(あきかぜの わがせをおして さんぽする)

『秋風や 地下には地下の 秋の風』
(あきかぜや ちかにはちかの あきのかぜ)

『掠れ雲 千切れ雲やら 秋の空』
(かすれぐも ちぎれぐもやら あきのそら)

『丼の 高き安きや 秋の昼』
(どんぶりの たかきやすきや あきのひる)

『また別れ さびしき極み 吾亦紅』
(またわかれ さびしききわみ われもこう)

『飯事の 相手も居ずに 赤まんま』
(ままごとの あいてもいずに あかまんま)



藪虱

2008年10月10日 | 俳句

『金木犀 二階に伸びて 匂い増す』
(きんもくせい にかいにのびて においます)

『日を追って 黄落目立つ 散歩道』
(ひをおって こうらくめだつ さんぽみち)

『県花とは 知らで見にけり 野路菊を』
(けんかとは しらでみにけり のじぎくを)

『秋風に くしゃみ乗りて しぶき飛ぶ』
(あきかぜに くしゃみのりて しぶきとぶ)

『秋風に 乗りて鳶の 急旋回』
(あきかぜに のりてとんびの きゅうせんかい)

『銀杏の 数と色とを 確認す』
(ぎんなんの かずといろとを かくにんす)

『口曲げて じいの葉巻の 薄ら寒』
(くちまげて じいのはまきの うすらさむ)

『藪虱 二選三選 落ちもせで』
(やぶじらみ にせんさんせん おちもせで)

『鴨来たる 水に合わずか 流されて』
(かもきたる みずにあわずか ながされて)

『秋の膳 生姜を効かし 味冴える』
(あきのぜん しょうがをきかし あじさえる)

『つれなくも 風の音にも 秋を見る』
(つれなくも かぜのおとにも あきをみる)

『朝茶飲む 周りに欲しき 菊の花』
(あさちゃのむ まわりにほしき きくのはな)

『稲雀 群れを成しては 往来する』
(いなすずめ むれをなしては いききする)

『窓開けて 机に止まる 草の絮』
(まどあけて つくえにとまる くさのわた)

『赤とんぼ 夕焼け空が 好きなよう』
(あかとんぼ ゆうやけぞらが すきなよう)

『手鏡で 華を散らして 夕化粧』
(てかがみで はなをちらして ゆうげしょう)
                夕化粧=白粉花(おしろいばな)

木の実独楽(このみごま)

2008年10月09日 | 俳句

『その香り 引かれ行く先 金木犀』
(そのかおり ひかれゆくさき きんもくせい)

『秋の旅 路線で変わる 艶がある』
(あきのたび ろせんでかわる いろがある)

『秋日和 三日続けて 晴れマーク』
(あきびより みっかつづけて はれまーく)

『山の辺の 道先案内 柿伝い』
(やまのべの みちさきあんない かきづたい)

『しなやかに 色消して降る 秋の雨』
(しなやかに いろけしてふる あきのあめ)

『我に似て 弾けて止まる 木の実独楽』
(われににて はじけてとまる このみごま)

『我が宿の 簾を揺する 秋の風』
(わがやどの すだれをゆする あきのかぜ)

『君待つと 想い伝えよ 秋の風』
(きみまつと おもいつたえよ あきのかぜ)

『栗飯を 握りにしても 残りあり』
(くりめしを にぎりにしても のこりあり)

『秋萩は 咲きても散りても 風の中』
(あきはぎは さきてもちりても かぜのなか)

『身にしむや 空の光の 戸惑いが』
(みにしむや そらのひかりの とまどいが)

『秋の空 冷たさ増して 昼の月』
(あきのそら つめたさまして ひるのつき)

『渋柿の たわわに実る わびしさよ』
(しぶがきの たわわにみのる わびしさよ)

『秋風や 草刈り済んだ 地にも吹け』
(あきかぜや くさかりすんだ ちにもふけ)

『草の露 結びしはじめ 芯のあり』
(くさのつゆ むすびしはじめ しんのあり)

『露の玉 壊れて残る 露の種』
(つゆのたま こわれてのこる つゆのたね)


金木犀

2008年10月08日 | 俳句

『気が付けば 学び舎沿いに 金木犀』
(きがつけば まなびやぞいに きんもくせい)

『見るからに ここかしこにも 金木犀』
(みるからに ここかしこにも きんもくせい)

『わっと出た 金木犀が わっと出た』
(わっとでた きんもくせいが わっとでた)

『往きに咲き 帰り散りたる 金木犀』
(ゆきにさき かえりちりたる きんもくせい)

『木犀に 煙草吹き掛く 野暮な女』
(もくせいに たばこふきかく やぼなひと)
                木犀=金木犀

『曼珠沙華 火炎地獄の 道標』
(まんじゅしゃげ かえんじごくの みちしるべ)

『雁来紅 大振りの葉の 黄と赤と』
(がんらいこう おおぶりのはの きとあかと)
                雁来紅=葉鶏頭

『生駒山 二山越えて 霧湧けり』
(いこまやま ふたやまこえて きりわけり)

『野の草の 煌めく一葉 寒露あり』
(ののくさの きらめくひとは かんろあり)

『加齢臭 老人高齢 死語の秋』
(かれいしゅう ろうじんこうれい しごのあき)

『稲雀 メタボなりしや 腹膨れ』
(いなすずめ めたぼなりしや はらふくれ)

『桃の香の コーヒーお呼ばれ 秋の昼』
(もものかの こーひーおよばれ あきのひる)

『鈴虫に 寝不足託つ 君と僕』
(すずむしに ねぶそくかこつ きみとぼく)

『さやさやと 秋風吹いて ひとりぼち』
(さやさやと あきかぜふいて ひとりぼち)

『豊の秋 学食の量 半分に』
(とよのあき がくしょくのりょう はんぶんに)


秋風

2008年10月07日 | 俳句

『雨雲の 破れて見える 秋の空』
(あまぐもの やぶれてみえる あきのそら)

『破れ雲 キラキラ白く 天高し』
(やぶれぐも きらきらしろく てんたかし)

『曼珠沙華 茎の緑の 淡きこと』
(まんじゅしゃげ くきのみどりの あわきこと)

『吹く風の 香りを辿れば 金木犀』
(ふくかぜの かおりをたどれば きんもくせい)

『猫じゃらし 空のクシャミを 誘うかな』
(ねこじゃらし そらのくしゃみを さそうかな)

『雲霞 霧に包まる 生駒山』
(くもかすみ きりにつつまる いこまやま)

『秋時雨 山の色にも 濃い淡い』
(あきしぐれ やまのいろにも こいあわい)

『ざっくりと 石榴の割れて ばれし嘘』
(ざっくりと ざくろのわれて ばれしうそ)

『ふわふわと コスモス畑の 風になる』
(ふわふわと こすもすばたけの かぜになる)

『活花に 菊の多きは 節句かな』
(いけばなに きくのおおきは せっくかな)

『花芒 月も下弦の 神無月』
(はなすすき つきもかげんの かんなづき)

『秋風や スクールバスは 蒸し風呂に』
(あきかぜや すくーるばすは むしぶろに)

『秋風に 揺れる龍馬の 懐手』
(あきかぜに ゆれるりょうまの ふところで)


秋の雨

2008年10月06日 | 俳句

『秋の夜や 虫の鳴く音に 目も冴えて』
(あきのよや むしのなくねに めもさえて)

『キリギリス 夜の寂しさ 増すばかり』
(きりぎりす よるのさびしさ ますばかり)

『草の畑 静かに隠る キリギリス』
(くさのはた しずかにかくる きりぎりす)

『秋雨の 降りたるを告げし 膝の音』
(あきさめの ふりたるをつげし ひざのおと)

『雨だれの 音重くして 秋の雨』
(あまだれの おとおもくして あきのあめ)

『雨の日や 車の撥ねる 秋の音』
(あめのひや くるまのはねる あきのおと)

『夜の雨 秋の夜長の 佳き友よ』
(よるのあめ あきのよながの よきともよ)

『哀しくも 秋の朝寝に 腹空かし』
(かなしくも あきのあさねに はらすかし)

『門あたり 幽かに匂う 金木犀』
(もんあたり かすかににおう きんもくせい)

『雲に鳥 流れて飛んで 秋の朝』
(くもにとり ながれてとんで あきのあさ)

『俤や 思えば泪 秋の雨』
(おもかげや おもえばなみだ あきのあめ)

『傘もせで 濡れるも楽し 秋の雨』
(かさもせで ぬれるもたのし あきのあめ)


秋日和

2008年10月05日 | 俳句

『秋一番 笑顔の弾む いい写真』
(あきいちばん えがおのはずむ いいしゃしん)

『鶏頭の 鉢の一輪 流行りもの』
(けいとうの はちのいちりん はやりもの)

『吾亦紅 手を繋ぎ合って 門前に』
(われもこう てをつなぎあって もんぜんに)

『秋日和 あちらころころ こちらころ』
(あきびより あちらころころ こちらころ)

『曼珠沙華 天女の指か エイリアン』
(まんじゅしゃげ てんにょのゆびか えいりあん)

『石仏に 野菊の枯れて しな垂れて』
(せきぶつに のぎくのかれて しなだれて)

『簾揺れ 秋風の中 君想う』
(すだれゆれ あきかぜのなか きみおもう)

『月白を 眺めて居るや 北の子よ』
(つきしろを ながめているや きたのこよ)

『蓮の葉は かくこそあらん 月浮かべ』
(はすのはは かくこそあらん つきうかべ)

『葉鶏頭 色淡くして 嵩高く』
(はけいとう いろあわくして かさたかく)

『一心に 栗の皮剥く 女が居て』
(いっしんに くりのかわむく ひとがいて)

『小さな手 つぶらな瞳 良夜かな』
(ちいさなて つぶらなひとみ りょうやかな)


秋薔薇(あきそうび)

2008年10月04日 | 俳句

『秋暁に 小学校歌 想い出し』
(しゅうぎょうに しょうがくこうか おもいだし)

『秋薔薇 秋には秋の 艶があり』
(あきそうび あきにはあきの つやがあり)

『世を拗ねて 葉見ず花見ず 曼珠沙華』
(よをすねて はみずはなみず まんじゅしゃげ)

『古の 息吹そのまま 曼珠沙華』
(いにしえの いぶきそのまま まんじゅしゃげ)

『菊の香や 大仏さんは 鼻詰まり』
(きくのかや だいぶつさんは はなづまり)

『野菊咲く 畦の細道 右左』
(のぎくさく あぜのほそみち みぎひだり)

『鞄抱き 眠りこけたる 秋電車』
(かばんだき ねむりこけたる あきでんしゃ)

『菊人形 心なしかよ 独り立つ』
(きくにんぎょう こころなしかよ ひとりたつ)

『懐手 出して歩けり 秋風に』
(ふところで だしてあるけり あきかぜに)

『秋風の 吹き行くホーム 人まばら』
(あきかぜの ふきゆくほーむ ひとまばら)

『電線に 椋鳥止まりて もう一羽』
(でんせんに むくどりとまりて もういちわ)

『歯にしむや 梨の固さの 取れぬまま』
(はにしむや なしのかたさの とれぬまま)


さわやか

2008年10月03日 | 俳句

『桃桜 真綾なす 宝なり』
(ももさくら まことあやなす たからなり)

『幼子の 微笑み受けて さわやかに』
(おさなごの ほほえみうけて さわやかに)

『空澄んで 天の高きに 感嘆す』
(そらすんで てんのたかきに かんたんす)

『露の精 小さき指に 煌めけり』
(つゆのせい ちいさきゆびに きらめけり)

『眠られぬ 羊の多き 夜長かな』
(ねむられぬ ひつじのおおき よながかな)

『見送れば 流星多く 流れけり』
(みおくれば りゅうせいおおく ながれけり)

『秋晴れや 来訪者に 多き幸』
(あきばれや らいほうしゃに おおきさち)

『苦くとも 初恋ながら 玉の露』
(にがくとも はつこいながら たまのつゆ)

『椋鳥の 恋のさえずり 距離の有り』
(むくどりの こいのさえずり きょりのあり)

『赤とんぼ 明日を信じて 我が前に』
(あかとんぼ あすをしんじて わがまえに)

『一本の 芒に思う 月と風』
(いっぽんの すすきにおもう つきとかぜ)

『秋の風 尾っぽをそっと 握りたし』
(あきのかぜ おっぽをそっと にぎりたし)



吾亦紅

2008年10月02日 | 俳句

『歩道沿い 行列してる 猫じゃらし』
(ほどうぞい ぎょうれつしてる ねこじゃらし)

『さやけしや 雲一つ無き 青き空』
(さやけしや くもひとつなき あおきそら)

『爽やかや 陽の眩しさの よみがえり』
(さわやかや ひのまぶしさの よみがえり)

『久方の 光のどけき 秋に会う』
(ひさかたの ひかりのどけき あきにあう)

『西陽受け キラキラと飛ぶ 赤とんぼ』
(にしびうけ きらきらととぶ あかとんぼ)

『吾亦紅 我も恋して 三年半』
(われもこう われもこいして みとせはん)

『見上ぐれば 月のさやけさ なつかしく』
(みあぐれば つきのさやけさ なつかしく)

『西の空 寝ぐらに帰る 鳥に月』
(にしのそら ねぐらにかえる とりにつき)

『曼珠沙華 ぽつんぽつんが 好きなのよ』
(まんじゅしゃげ ぽつんぽつんが すきなのよ)

『地下鉄の Sの字カーブ 秋の風』
(ちかてつの えすのじかーぶ あきのかぜ)

『赤い羽根 議員のみ付ける 同じ羽根』
(あかいはね ぎいんのみつける おなじはね)

『並木にも 紅葉の葉の ちらほらと』
(なみきにも こうようのはの ちらほらと)