黄沙霞が遠山を包む朝、緑が色濃くなった山沿いの路を歩いた。
山側の斜面に山吹の黄色が一面に広がって、スポットライトに当りながら舞台に続く花道を歩いているようだ。
日の出前だというのに山吹はなんと明るく咲く花だろう。
雑木林の芽吹きが日毎に森の彩りを整えてゆくのを見ると、津波に洗われた桜が咲いたように、この国の自然の豊饒さを実感する。
林間に山桜の花群が点在して、間近に迫る新緑の季節を告げている。
新緑の林に分け入って、山菜という木の芽、草の芽に出会いたいと思うのだがまだ膝は本調子にならない。
いまさら何を焦ることがあるだろう