コブシ咲く
近づけば薄緑の若葉が
昨日の熱気が嘘のように消えて、吐く息が白い。
歩き始めてから手袋を付けずに来たことを悔やんだ。
底抜けに明るいのはヤマブキ
久しぶりに山沿いの道を歩いた。
コブシの花の下を過ぎて、そこだけ日が差しているようなヤマブキ回廊を抜けた。
対岸に色とりどりの花桃が咲く集落が見える。
この地に最初の花桃を咲かせた友人によると、花の後小さな食用にならない実が成り熟して落下する。
そのうちのいくつかが翌年発芽する、親木より素晴らしい花を咲かせるものもあれば咲かないものもある。
きれいに咲くものを選りすぐって近所に頒布した。 美しい花桃の集落はこうして形成された。
訪問する台湾の友人に届ける小礼品(祖品)を探しに昼近くモール街に出かけた。
そこで思いがけなく花桃の友人にばったり出会った、夫人が体調を崩しているので代わりに買い物にいたのだという。
短い時間立ち話して別れたが、その時花桃のことはすっかり忘れていた。