レモンの木に産み付けたアゲハの卵を見ているうちに,おもしろい風景が目に飛び込んできました。二つの卵が一カ所にかたまって付いているのです。もちろん,葉の裏側でのことです。
さて,同時に産み付けられたものか,また同じ成虫によって産み付けられたものか,一応考えてみたいと思います。
同時に産み付けられたかどうかなのですが,卵をよく観察するとまったく異なった姿であることがわかります。向こう側の卵は明らかに孵化間近のものです。殻を透かして,幼虫のからだが見えています。
手前の卵は,そこまではいっていません。まだ全体が黄色っぽい感じです。
つまり,同時に生み付けられてはいないということになります。
卵を産み付けた成虫は同一のものかどうか,これは推測の域を出ません。同一なら,再び同じ葉の同じ位置を訪れて産んだことになります。違う個体だとすれば,よくもまあ,同じ場所を訪れた個体がいたものだなあと驚くばかりです。
わたしにはどちらの可能性が高いかということも,判断がつきかねます。
自然は単純でありながら,まことに複雑です。共通性を包み持ちながら,まことに多様でもあります。ほんとうに奥深く,味わい深いと感じ入ります。あいまいなものはあいまいにしか,語れないのです。